Because, I'm Because, I’m<br>厨二星人 後編
Interview 03 / HIDEYUKI KATSUMATAさん

Because, I’m
厨二星人 後編

知れば知るほど、大人も自由だ。

前編はこちら

浮世離れっていいと思います。

「日本厨二化計画」「厨二革命」「厨二サバイバーの逆襲」。これはすべて、アーティストHIDEYUKI KATSUMATA氏が開催したり、計画していた展覧会のタイトルです。
厨二は中二のネット語ですが、今、強く中二病をポジティブに捉えるそのココロはいかに?
もともとは音オタクと聞きつけての取材スタートから、一転。後編は、KATSUMATA氏とともに流れ着いた厨二のお話です。

アトリエ2Fで使用しているスピーカーはMONITOR AUDIO BRONZE 2。ONKYO CR-D1 LTD とのセットがお気に入り。オールジャンル聴けて、爽快。

Q. 厨二(中二)のままいられることを幸せだ、とおしゃっていましたが、それに気づいたきっかけは何だったのでしょう?

そもそも、アートは脳で納得するものではなくて、見てなんだか泣いてしまうとか、ココロが動くとか、そういうもののはず。新鮮で、感動するものであればいい。でも、今の美術界には理由をつけたり、アンチテーゼを唱えたりと違うアプローチも多く存在します。アートが錬金術になってしまっているところがあるんですよね。
自分の展覧会のことを考えていた時に、そんなアート業界とか、今の政治とか社会とか、さまざまなシステムに違和感を感じていたんです。僕はそういうシステムはよく分からないし、やっぱり、ピカソとかゴーギャンとか、浮世絵とかが好き。で、自分はどういうアプローチにしようかと思った時に厨二のキーワードに行き着いて、がぜんやる気が出てきました。

まさに今、描いている絵。

Q. 厨二という言葉に行き着いて、作品にも変化があったんですか?

ありました、ありました。僕の春画にリーゼントやヤンキーが登場するようになった(笑)。
北斎って90歳くらいで死ぬんですけど、あと5年生きられたらもうちょっと人並みの良い絵が描けた、あと10年生きられたら本当の画家になれたなんて言っていたらしいですよ。名言ですよね。90歳で何を言っているんだか。偉人も厨二なわけです。
生きている人で言えば、みうらじゅん大先生は厨二のヒーローですよ。あの人は本当にこじらせちゃっている。でも、世間との付き合い方もうまくて、ひょうひょうとそのままの自分でいる。僕はただの厨二で、まだあんな風にはうまくできないなあ。
よく、中二病は悪のように捉えられているけど、何が悪いのって肯定して、浮世から離れてそのまま存在していることが結果的に社会を動かす原動力にもなると思うんです。今こそ必要な存在というか。

KATSUMATA氏による『昭和絵画』

Q. ちなみに、女性有名人だと誰がそのグループに入りますか?

清水ミチコさんとか、ナンシー関さんかな。女の子は割に早い段階で大人びるから、実際に中二の頃には大人になっていることも多い。ハイハイ、男子がアホなことやってって冷ややかな目で見ているような気もしますね。
理想でも、怒りでも、それぞれの人が秘めている先天的な思いが中二病的な部分だと思います。ある意味、浮世である現世から離れて、普段我慢していることを出すことが、ブレークスルーになることってあるんじゃないかな。中二病ってという言葉がついちゃっているけど、ちょっと言い方を変えたらいい。そうだ、厨二星人というのはどうかな。世の中全員が厨二星人というわけにもいかないだろうけど、ま、そこは多様性の時代に似合う役割分担でいけばいい(笑)。

フランスのフレグランスブランド、MAD et LENのプロモーション動画を制作。

護符三部作。仲良し女子3人で購入。それぞれ所有しているそう。

それで、お酒を飲んだ時なんかは、いつもは違う星で生きている人も厨二星人になることで新しい動きを作り出してみるとか。普段は大人な人だって、お酒を飲んだ時に中二の部分が呼び起こされて、ロマンチックになったり怒りを叫んだりする人も多いですよね。そういうスイッチが入ることって悪いことじゃないと思うんです。

ヨーロッパで人気のバンド「Little Dragon」のアルバムカバーをデザイン。ミュージック・ビデオも手がける。

新宿ISETANでのアート展示。

スコットランドの美術館での個展風景。

BCTION Art Project in TOKYOにて。

TOKYO BAR SHOW用に描き下ろしたKARUIZAWAシングルモルトウィスキーのデザイン。

MOGRAGギャラリーのこけら落としでの個展風景。この夏、7月25日〜8月16日、同ギャラリーにて、日本で5年ぶりになる、個展が開催される。

(後半 了)

写真 河内露
インタビュー・校正 土本真紀(µ.)

HIDEYUKI KATSUMATAさん

日本的であり独特な画法が特長的な画家・アーティスト。 「HANAUTAH」が世界中で人気を博す。 新宿ゴールデン街での個展や海外アーティストとの コラボアート企画、似顔絵ワークショップなど フィールドワーク型とも言える自由な活動を精力的に実施。

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