Because, I'm Because, I’m<br>迷惑メール評論家 前編
Interview 12 / GO羽鳥さん

Because, I’m
迷惑メール評論家 前編

知れば知るほど、迷惑メールは「格闘技」だ!

騙されてもいいから、ワクワクしたい!

インターネット全盛の時代。毎日送られて来るおびただしい数の迷惑メールに辟易している人も多いのでは。間違って開いてしまい、架空請求のメッセージが来て冷や汗……、近ごろはSNSのアカウントを乗っ取られ、友人や仕事上の知り合いに迷惑メールをばら撒いてしまうなんてことも。そんな厄介な迷惑メールに立ち向かい、そのやりとりを面白おかしくネット記事に仕立てて評判なのが迷惑メール評論家でロケットニュース24編集長のGO羽鳥さんだ。そもそもなぜ迷惑メールに興味を持ったのか、これまでどんな戦いを繰り広げて来たのか。死闘の歴史を紐解いてもらった。

Q. そもそも迷惑メール評論家になろうと思ったきっかけは?

昔から怪しいところに潜入するのが好きだったんですよ。
20歳の時から漫画家・ライターとして、サブカル雑誌などで仕事をしていたのですが、特にサブカル雑誌は過激なことをやらないとページが取れない。だから〈潜入モノ〉が私のスタイルだったんです。

迷惑メールの魅力について語る羽鳥さん

迷惑メールに目をつけたきっかけは楽天市場のアカウントを乗っ取られたことです。
ある日、楽天市場から「アカウント変更しましたよね?」というメールが届いていたので電話すると、知らない間にパスワードが変更されていて、買物もされている。買われたのは赤い炊飯器と一眼レフカメラ。住所は大阪の全く知らない場所で、名前だけが私の本名、羽鳥豪となっていました。「うわーっ!」と思って配送業者に連絡したら、もう送った後だという。警察に連絡しても埒が明かないから、これは自分で行くしかないと思ったんですね。

ある日とつぜん、楽天市場から問い合わせメールが…

相手は炊飯器を買っていたので、洒落をきかせるためにお米買って熨斗(のし)までつけて、書いてある住所のアパートの玄関をコンコンとノックして、「楽天市場のものです」ってやりました。怖くて足なんかガタガタ震えてましたよ。そうしたらカタコト日本語の人が出てきたので、「炊飯器買われましたよね?」って言ってやったら……そこから先は残念ながら上手く話が通じず、美味しいお米を渡しただけで帰ってきちゃったんですが、その顛末を書いた記事が大ヒット。あれ、ネット犯罪や迷惑メールのネタ行けるな、と思ったのがきっかけですね。2013年から2014年頃のことだと思います。

もっと真相を知りたい方はコチラ⇒ https://rocketnews24.com/2012/02/13/181999/

Q. その頃から、迷惑メールというのはどのように進化してきたんですか?

微妙な進歩はあるんですけど、革命的な進化はなくて、基本的な手法はいまも変わりませんね。例えばひと昔前はメールが来て、そこから出会い系のようなサイトに飛ばされて、メッセージをやり取りするにはポイントが必要だからお金を下さいというのが王道パターンでした。いまはメールが来るとすぐLINEに飛ばすんですね。そこでちょっとやり取りしたら、事情があってLINE のアカウントを脱退するからこっちでやりましょうと怪しいサイトに飛ばすんです。つまりワンクッション置くだけで、結局は同じ事をやっているんです。
Facebook でメッセージが来るパターンも同じです。LINEに誘導されて、少しやりとりしたら、怪しいサイトに飛ばす。なぜLINEなんですかね? わからないですけど、そっちのほうが信用されやすいということかもしれませんね。

誘い文句に時事ネタを織り交ぜてくるのも迷惑メールの特徴ですね。いまのブームは「給付金」です。「嵐」ネタも昔からありますが、解散を発表してからは「僕たち解散するんだけど……」みたいな言葉が入るようになりました。鬼滅の刃はまだ無いですね(笑)。

いまのブームは「給付金」、「嵐」ネタは定番

もっと真相を知りたい方はコチラ⇒ https://rocketnews24.com/2020/09/20/1414248/

随分と昔に来た迷惑メールなんですけど、印象的だったのは「スンドゥブチゲ迷惑メール」です。まず内容が〈スンドゥブチゲのレシピを教えます〉と至極シンプル。そしてスンドゥブチゲの写真と、本文の下には「つくる」というボタンが付いているだけ。当然「つくる」ボタンを押すじゃないですか。そうしたらレシピページに行くと思いきや、スンドゥブチゲの写真があって、あとは〈戻る〉ボタンしかないんです。それを押したら、いきなり出会い系サイトに飛ばされました。

スンドゥブチゲ迷惑メール

スンドゥブチゲのレシピ教えるよって言われて行ったら、よくわからないうちに戻されて、気づけばぼったくりバーにいたみたいな感じ。自分がどこにいるか分からなくなるようなイリュージョン感が最高でしたね。見えない鮮やかなキックが飛んできたみたいな。そういうふうにやられると「いやー、いいの来たな!」と興奮しますよね。

もっと真相を知りたい方はコチラ⇒ https://rocketnews24.com/2014/03/13/422308/

Q. そういう迷惑メールはどういう人たちが作っているんでしょう?

全くわからないし、知りたいとも思いませんね。
以前、知人から「やっていた人を紹介する」と言われたんですけど、断りました。内情なんて知りたくないって。なぜかというと、知ってしまったら迷惑メールに興奮できなくなるからです。「わーっ、すげーの来た! このボタン押したらどうなるんだろう?」という熱量が大事で、知らないままのほうがワクワクできるからです。そう、私は迷惑メールの内情を知りたいわけではなく、ましてや予防策を学びたいわけでもなく、逆に騙されてもいいからワクワクしたいんです。

「ワクワクする気持ちをいかに読者に伝えるかが記事の大切なポイント」という。

Q. どんな迷惑メールにワクワクしますか?

私のワクワクポイントは〈中の人が出てくるか出てこないか〉なんですよ。もしくは画期的なシステムというか、騙し方をしている迷惑メール。このどちらかが来ると興奮しますね。
一番ワクワクしたのは最近なんですけど、「迷惑LINE」の中の人が出て来たんです。
LINEでやりとりする時ってあまり中の人が出て来なくて、こっちから質問をしたり答えたりしても、定型文がコピペで送られてくるだけなんですが、「これはどう考えても中の人が打ってるでしょ!」という返事が来たんですね。

例えば──あ、私趣味で女装してるんですけど……と、その写真を送ったら「けっこう綺麗ですね」って。これ、絶対定型文には無いですから。

女装写真を送ったら…「お綺麗ですね」、と生身の人間が顔を出した!

だから「来た来た来た!」って一気に興奮しましたね。そこで一気に畳みかけて、「おっさんやん!」みたいな一言を相手から引き出せればオチになったんですけど、ズルズル引き伸ばしちゃって、結局出会い系サイトに誘導されて「これ以上続けたければポイント下さい」といういつものパターンに。いいパンチが来ないまま寝技に引き込まれ、そのまま時間切れという幕切れでした。

そう、迷惑メールとのやりとりは、格闘技やスポーツに近いですね。

(前編 了)

写真 sono
インタビュー いからしひろき
編集 徳間書店

GO羽鳥さん

本名・羽鳥豪。1979年東京都出身。迷惑メール評論家。100均評論家。調理師免許所持。ロケットニュース24編集長。代表作は『絶対に返してはいけない迷惑メール、LINE乗っ取りにマジレスしてみた。』など。別名、漫画家・マミヤ狂四郎。
「ロケットニュース24」(https://rocketnews24.com/author/go/)
個人ブログ「羽鳥商店」(https://gohatori.com)

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