１９９５年のボルドーは、果実味が柔らかく、素直な甘さがあるので、とても飲みやすく、飲み頃です。グリオラローズは、熟成の若い段階では、少し野暮ったさがある場合が多いのですが、この１９９５年は違います。熟成を重ねて、しっとりと、柔らかい奥行きを感じて、非常に滑らかです。葡萄の自然な凝縮した果汁が心地よく、余韻に、サンジュリアンらしい酸とミネラルの綺麗さがあるため、とても上品に味わうことができます。ボルドーの数多くある蔵の中でも、”優等生”のような存在が、この”ラスカーズ”です。非常にバランスがよく、他の１級シャトーが持ち合わせる”長所”を、そつなく備わっているので、とても完成度が高いのです。もし１級に昇格するなら、真っ先にこのラスカーズだろうと言われているのも、わかるような気がします。１９９５年らしい素直な丸さ、葡萄の豊かな甘さが、極めて品の良いバランスで、佇んでいます。飲んだ瞬間に”何か”を感じずにはいられないほど、芸術的にも完成度が高いのです。この蔵の良さは、透明感のある果実味の奥から、色気が”滲み出てくる”ことではないでしょうか。フワっとした葡萄の優しさ、その背後に、テロワール（土壌）の要素が、ふわふわと漂ってきます。２０１１年は、発売当初は味わいが堅かったのですが、渋みが澱となって底に落ちて、ようやく果実味が”軽く、ふんわり”してきました。これから、まさにブルゴーニュワインらしい美しさを堪能できると思います。 2017年は、葡萄の果実味が優しく、その背後から、テロワールの美しさが自然に浮か上がってくる、本当に美しいヴィンテージだと思います。実際に、肩の力が抜けたような柔らかい触感で、酸とミネラルが本当に綺麗。ここ最近の温暖化によって、ダラっとした甘さが気になるブルゴーニュ地域のワインですが、この２０１７年は違います。こんなに清らかで、上品な余韻を持つヴィンテージは、２０１４年以来です。さらに、この蔵の格調高さが見事に引き出されています。２０１３年のブルゴーニュは、急激に美味しくなりました。発売当初は、なんだか葡萄が”青臭く”、甘さが隠れてしまって、正直言ってあんまり美味しくありませんでした。しかし、熟成して渋みが澱となって底に落ち、余計な”重たさ”が無くなり、透明感のある葡萄の甘さが出て来て、ジューシーな味わいに。ロベールシュヴィヨンらしい、ザラっとした土壌の柔らかい奥行きが出て来て、ニュイサンジョルジュの存在感が迫り出す。非常に完成度の高い味わいに。オジェ村の単一畑という、非常に貴重なシャンパンです。この特級畑の特徴は、ジュワッ！と、汁気溢れる果実味が”ふんわり”しています。メニル・シュール・オジェ村のように、尖っていて、攻撃的な要素はありません。あくまでも優しく、柔らかい触感の奥から、白いミネラルの輝きが、葡萄の甘さと自然に溶け込んでいるのです。心の奥まで解してくれそうな、大きな包容力があります。偉大なシャンパンと言えます。このシャンパンの良さは、口に含んだ瞬間に、”ギュギュッという引っ掛かりがあるとことだと思います。決して単純な味わいではなく、ふんわりと優しいだけの触感もありません。樹齢が古い葡萄を使っているようで、余韻にかけて、圧倒的な存在感と個性があります。まるで黒葡萄を使っているかのような渋みがあって、トリュフを使った料理と、最高に合うでしょう。２０１１年は、ようやく美味しくなり始めています。発売当初は、果実味がなんだか重くって、渋みが甘さを隠してしまっていました。しかし、今では、渋い要素が少なくなり、トロッという葡萄の甘さと、透明感のある酸とミネラルの美しさが出て来て、非常に品の良い味わいとなっています。ラフォンさんらしいふっくらした触感。その中に、まるでミルフィーユのように酸とミネラルが緻密に折り重なっています。豊かさと、繊細な要素が矛盾することなく見事に両立しています。さすが、ラフォンさんです。ジャック・セロスのこの”リューディ”シリーズの良さはやっぱり、豊かな果実味の背後に、”テロワールが透けて見える”ことだと思います。それぞれの村の個性が、鮮烈に表現され、彼のこの”リューディ”シリーズを飲む度に、「凄いな」と痛感するからです。実際に、このマルイユ・シュール・アイは、ジュワッ！というしっかりしたミネラルの堅さ、鉄分のような黒いミネラルが満載で、口に含んだ時の広がり方が、尋常ではありません。まさに芸術的な逸品。２０１５年は、葡萄がしっかり熟した、素晴らしいヴィンテージと言われています。２００９年、２００５年、１９９９年に似ていて、葡萄の豊かさ、ふっくらした厚みのある旨みは、やはり最高だったと言えるでしょう。肉厚で、葡萄の甘さがはっきりしています。特にこの蔵は、極めて品の良い味わいのため、なかなか良さを理解するのが難しい場合がありますが、この２０１５年は、別格です。シャサーニュ村らしいしっとりした触感が、極めて滑らかです。バローロって、ゴツゴツしすぎて、ザラザラしたタンニンがあって、とても”飲みにくい”イメージがありますが、このワインは違います。ブワン！という丸みがあって、豊かな果実味の中から、柔らかい旨みが自然に湧いてくる・・・。強さの中に、洗練した味わいが。牛を炭焼にして、ジュワっ！としみ出る肉汁と一緒に、グイグイ飲みたいワインで、食欲をそそります。決して下品な味わいではないため、奥行きが心地よく、どんどん飲み進みたくなります。ずっと不調の時期が続いた”シャトー・マルゴー”が復活した、伝説のヴィンテージです。溢れんばかりの、充実した果実味の背後に、不調の時代に苦しんだ”陰り”の要素も感じながらも、キューン！と輝くようなミネラルの粒子が本当に美しく、これこそ”マルゴーらしい光彩”だなと、思わず納得します。このワインは、開けて飲む前に、最低２週間は”立てて保存”して下さい。そうすると、渋みが底に落ちて、この”マルゴーらしい輝き”が、より一層引き立ちます。 ”ふっくらした触感”があるのが、リュイナールだと思います。特に１９９０年は、葡萄のポテンシャルが高いため、スケールが非常に大きく、そのふくよかさの”拡がり”が、より深いのです。シャンパンというと、刺々しいイメージがありますが、この蔵とは無縁です。シャルドネの葡萄をふんわりと噛んだ瞬間のような、生命力の鮮やかさと、優しさが共存しています。そろそろ、熟成した蜜のような甘さが、より一層このワインの完成度を増しています。この当時の”グリオ・ラローズ”は、野暮ったい味わいの印象が強いと思います。（最近は、洗練された素直な果実味ですが）実際に、この１９８８年は、熟成の若い時に飲むと、渋みがザラっとしていて、あんまり好きではありませんでした。しかし、３０年以上年月を経て、渋みが澱となって底に落ちたため、トロっとした柔らかい甘さが、品の良いサンジュリアンらしい酸とミネラルが寄り添って、本当に好ましい味わいに。飲み頃に入りました。２０１３年のブルゴーニュは、劇的に美味しくなりました！。発売当初は、なんだか薄く、痩せた味わいで、正直言って物足りない味わいでした。しかし、今では、”青さ”の奥から、蜜のような甘さがジワっと湧き出して、バランスが良くなっているではないですか！。２０１３年があまりにも良い状態なので、個人的に、２０１３年を選んで私は買っているぐらいです。ニーロン家らしい清らかな透明感と、品の良さを思う存分堪能できます。熟成の若いボルドーワインは、私はあんまり飲みません。なぜなら、渋みが強く、果実味が満載で、ちょっと飲むのに辛いからです。しかし、このソシアンド・マレは違います。酸が綺麗て、タンニンの質も綺麗なので、熟成が若くても、十二分に”美味しい”からです。奥ゆかしい柔らかさと、新鮮な牛肉や、羊肉の”乳酸的な旨み”と、めちゃくちゃ合います。２００６年は特に、葡萄の甘さが素直に出ているので、より一層好ましい味わいに。２０１１年のプスドール家のワインって、本当にバランスが良いんですよね。実は、昨日も開けて、味見をしています。渋みが少なく、素直で、柔らかい触感があるので、もう１２本以上も飲んでいます。ヴォルネイらしいしっとりした舌ざわり。嫌みのない、甘さと酸が素直に絡み合って、本当に好感度が高いのです。質の良い鶏肉を焼いて、シンプルなソース（赤ワイン、エシェロット、キノコ、ニンニク）と一緒に召し上がりたいです。２０１７年のブルゴーニュは、極めて品が良く、整っています。驚くことに、嫌な要素がほとんどなくて、今開けて飲んでも、驚くほど”美味しい”のです。この”美味しさ”とは、果実味満載のわざとらしいものではなく、品の良い葡萄の良さだけを、自然に抽出されたジュースを味わっているかのよう。ニュイサンジョルジュらしい、跳ねるようなミネラルの鋭さが本当に心地よく、余韻までその生命力の鮮やかさで充たされます。いいシャンパンですね。熟成の若いシャンパンは、鮮やかすぎて、なかなか、奥行きを感じるのが難しいのですが、これは秀でています。私の店で、もう３０本以上開けているのではないでしょうか。口に含んだ瞬間、鮮烈なミネラルと、重心の低い”ジワッ”というテロワールの存在感がメリハリを奏でて、ブラームズのピアノソナタのような、立体的な要素があります。豚肉のソーセージのような、脂のしっかり載った旨みと一緒にぜひ。このシャンパンが日本に初めて輸入された時（約２０年ほど前？）、私はものすごくいいシャンパンだと感じたんです。しかし、とあるワイン雑誌で、最低の評価を受けていて、その結果に憤ったのを覚えています。買ってすぐに開けて飲むと、ミネラルと酸がバラバラになって、その良さを味わえません。せめて買ってから１週間安置すると、その輝きと純度に透明感が増して、本来のアヴィズ村らしい、”銀色のミネラル”の粒子を、思う存分味わうことができます。今はすっかり有名になって、値段がどんどん上昇しています。お見事です。２０１０年のヴォギュエ家のワインは、良いですよ。例年だったら酸と渋さがきつすぎて、辛くて飲みづらい場合が多いのですが、２０１０年は違います。ヴォギュエ家らしい、輝くようなミネラルの粒子が神々しく、清らかな甘さが余韻を駆け抜けます。まだまだ若々しいのですが、このツルツルの触感は驚異的で、ヴォギュエ家の凄みを体感できます。これはいいシャンパンですね。香りを嗅いだ瞬間に、あまりにも鮮烈で、虜になってしまいます。アイ村のピノノワールは、ゴツゴツしていて、熟成に時間がかかるのですが、これは緻密なミネラルと酸がとても上品なので、今飲んで、その良さを体感できるでしょう。アイ村なのに、こんなに”輝いて、透明感のある”シャンパンはめったにありません。オレンジの柑橘系のようなニュアンスが漂う、小気味よい味わいです。今飲んで、その拡がりや、爽やかさを十分に堪能できるでしょう。ヴェルズネ村のシャンパンは、メリハリと強度がありすぎて、飲みにくい場合も多いのですが、このバランスの良さは希少です。飲んだ瞬間に、心地よさを感じるほどです。これからの暑い季節にピッタリ。２００４年と、ドン・ペリニョンの相性は最高です。ギューン！と、研ぎ澄まされたミネラルの鋭さ、酸の綺麗さが２００４年の特徴でもあり、ドンペリニョンの”ハウス・スタイル”でもあるからです。特に、スケールの大きいヴィンテージで、まだ少し堅いですが、５～６年熟成させると、奥行きの拡がりが出てきて、蜜のような甘さが出てきて、極めて魅力的な味わいになるでしょう。私は、熟成させたドンペリニョンが大好きです。２０１１年のブルゴーニュは、ようやく飲み頃に入っています。熟成の初期は、渋みが気になって、果実味も”重たく”感じたのですが、今では、渋みが収まって、透明感のある綺麗さと、蜜のような甘さがジワジワっと湧いてきました！。このソゼ家のワイン、伸びやかな余韻が心地よく、ミネラルの輝き、しなやかさが本当に美しいのです。まさにソゼ家の真骨頂でしょう。２０１１年は、どんどん美味しさが増しています。熟成の初期は、果実味が”重たくて”、良さがあんまり見えなかったのですが、今では、渋みが澱となって底に落ち始め、透明感のある果実味、素直な甘さ、酸の綺麗さが出てきて、バランスがどんどん良くなっています。グロフィエ家に求めるのはやはり、果実の圧倒的な甘さや迫力。シャンボール村らしい圧倒的な余韻の豊かさに、そのまま身を任せて・・・。２０１８年のブルゴーニュは、とても素直で、わかりやすい味わいです。果実味のバランスが丸くて、葡萄の自然な甘さが綺麗に出ています。２０１７年よりも、はっきりした丸さがあるので、とても飲みやすいのです。この蔵のニュイサンジョルジュは、ミネラルの尖った鮮烈さが見事で、２０１８年らしい葡萄の甘さと、柔らかさと見事に融合しています。良さがはっきり出ています。これはもう”ラフィットらしい”ですね。秘めやかな森の奥へ分け入ったような、湿った樹木の要素。果実味が閉じているのに、なぜだか覗いてみたくなるそのブーケ。１９８８年は、まだ味わいが少し閉じていますが、これから開きそうな、そんな”胎動”を感じる香りの奥深さ。”パンドラの箱”を開けてみたくなるその耐えがたい誘惑。こんな誌的な表現がゆるされるほど、ボルドーワインの中でも、本当に特別な存在だと思います。今まで過去５回ほど味見しましたが、ずっと”閉じた”ままでした。ただし、他の１級シャトーが開き始めているのを考慮すると、そろそろその時が来るのではないかと感じています。２０１０年のブルゴーニュ、ミネラルの輝きに”ふくよかさ”があって、酸味も綺麗で、とても良いんですよね。熟成の初期から、ブルゴーニュらしい美しさが備わっています。彼のエシェゾーは、”伝説の”アンリ・ジャイエさんから引き継いでいますが、神がかり的というよりは、若干淡白な味わいでした。しかし、このあたりから、徐々にエシェゾー本来の”輝き”が滲みでてきて、完成度がどんどん高くなっています。２０１０年ヴィンテージの良さを、最大限に発揮した素晴らしい逸品ではないでしょうか。味わいがシンプル過ぎて、なんだかよくわからないのが”クリスタル”の特徴で、おそらく多くの方は、「飲みやすいけど、それで・・・？」と疑問に思っているのではないでしょうか。しかし、この１９９０年を飲めば、認識が変わります。トロっとした丸い果実味の中から、ほんのりと蜜のような甘さが湧いて、なんて柔らかい触感なのでしょう。ふんわりと、マシュマロのような舌ざわりで、熟した花梨や、マンゴーのような要素も複雑に出て来て、極めて魅力的な味わいに。拡がりのある包容力を感じるのが、シャトー・ラトゥール。熟成の初期から、葡萄の豊かさと、奥行きのある柔らかさを感じます。他の１級シャトーとは違って、美味しさを感じやすく、その真価を理解しやすいのです。そして、この１９８８年というタンニンが気になる年でも、ラトゥールらしいふくよかさが備わっていて、その凄みを体感することができます。これを飲むと、極めて上質な牛のヒレ肉や、仔羊を食べたくなります・・・。ムートンの１９８３年、めちゃくちゃ良いんですよね。葡萄がしっかり熟して、カカオのような茶色い甘さが湧き出て、複雑で、豊かな迫力が。これぞムートンの実力で、これを飲めば、誰でもその凄さを体感できるのではないでしょうか。５年ぐらい前まで、ペリエジュエの”ベル・エポック”って、軽やかで、単純に、華やかなだけのシャンパンだと思っていました。取るに足らない存在で、わざわざ探し求めるものではないと。しかし、１９８０年代のものを飲むと、熟した蜜のような甘さと複雑さが出て来て、ドワーッ！という妖艶なブーケと触感が。も、もうそれ以来虜になってしまって、熟成したペリエジュエを買うようになってしまいました。熟成の若いうちにはないこの奥行き。溶けた触感の中に拡がるこの妖艶さ。１９８８年も、その色気が満載です。熟成した”ベル・エポック”の魅力には、もう抗うことが出来ません。溶けた蜜のような柔らかい甘さ、その背後に、途方もない複雑さが余韻に拡がっていく・・・。発売初期の”ベル・エポック”は、正直言って淡白で、華やかなだけのシャンパンでとても物足りないのですが、ここまで熟成すると、その本当に魅力が、色気が出てきます。特に１９８９年は、果実味の丸さ、甘さが出やすく、その官能的な味わいを、十分堪能することができます。この”グランダネ”の１９９０年は、飲み頃です。熟成の若い段階のボランジェは、果実味がゴツゴツしていて、とても飲みづらいのですが、１９９０年は、柔らかい旨みが出ていて、拡がりのある甘さと酸味が溶け合っています。ある意味、あと１０年後の飲むべきではなく、今飲んだ方が良いと思います。熟成した牛肉や、鹿肉に合わせたいです。複雑な旨みと、重なり合うように美味しさを持ち上げてくれます。ラフォンさんの２０１４年って、本当に品が良いんですよね。酸が綺麗で、ミネラルの粒子が細かく、霧のように漂って、ムルソーらしい素直な甘さと自然に溶けあっています。大御所のラフォンさんならではの、ムルソーらしいフワっとした優しい触感。果実味が単純に”丸い”だけではなく、その背後に、幾層もミルフィールのように、複雑さが折り重なっています。本当に完成度の高いムルソーで、お見事です・・・。この蔵の１９９７年、柔らかさがあって良いですね。本来、このヴィンテージは熟成の初期から、タンニンが強く、その割に内部（コア）の果実味が弱かったのです。しかし、熟成を重ねて、渋みが澱となって底に落ち、クリネらしい円やかなコクが出てきています。牛肉のスペアリブをしっかり炙って、ボルドーワインのソース、ニンニク、エシェロット、ブラックペッパーを混ぜて一緒に。 ”ル・パン”の特徴は、熟成が若い段階から、わかりやすい美味しさがあります。”ペトリュス”と比べて、難解ではありません。１９９４年は、熟成の初期には、優しい果実味がフワフワして、若干物足りなさがありました。しかし、今では、果実味に密度が増して、ル・パンらしい色気と艶が出ています。まさに飲み頃。この蔵のクロ・ド・ヴージョ、丸みがあって、本当に柔らかいです。黒いカシスや、ブルーベリーのようなニュアンスが満載で、滑らかな触感が非常に心地良いのです。１９９５年は、現時点では、さらに丸みと、深みを増しています。豊かな果実味の背後に、懐の深い奥行きを感じます。さすがグランクリュ（特級畑）の品格。キメの細かい触感、これこそがアルヌー家の特徴です。葡萄のしっかりとした存在感の中に、緻密なミネラルの粒子が、綺麗に溶け込んで、なんて美しいのでしょう。１９９６年は、ここ３年ぐらいの間に、ようやく飲み頃となりました。溶け始めた葡萄の甘さの奥に、クロ・ヴージョらしい拡がりを感じて。分厚いです。この果実味の圧倒的な迫力、重層感こそ、グロフィエなんだなと感じます。１９９９年という葡萄がしっかり熟したヴィンテージ、果汁が溢れそうなほど豊か。ただし、偉大なグランクリュ（特級畑）、肉厚な中にも、包容力のある優しさがあります。まさに、「ボンヌ（良き）・マール（母）」のように。こういうリースリングは、ぜひ飲んで欲しいですね。綺麗に熟成したリースリングは、ミネラルの光彩がパーッ！と一気に輝き、派手に香りが拡がります。「リースリングって、こんなに複雑な味わいなんだ！」と、きっと驚かれることでしょう。甘さの”拡がり”も特別で、清らかな酸が、このワインに活き活きとした生命力と、気高さを与えています。ルソー家の良さは、果実味の”自然な密度”にあります。決してわざとらしくはない、凝縮した土の要素が、このワインに確固とした存在感を与えています。ジュヴレイ村の緻密なミネラルの粒子の中から、土壌が持つ寛容性が滲み出て、やはり特別な蔵だなと感じます。２００９年は少し熟成し、果実味が柔らかくなって、より一層、テロワールの良さが透けて見えます。ラフォンさんの２００９年、”たっぷり”とした果実味です。豊かなだけでなく、モカやカカオのような甘い要素が溶け合って、なんて魅力的なのでしょう。熟成の初期は、葡萄の迫力がありすぎて、繊細さに欠けていましたが、ようやく、その輝きを、透明感のある蜜のような甘さを、十分味わうことができます。飲み頃です。そろそろ、２００９年のメオ・カミュゼも、美味しくなってきていると思います。発売当初は、果実味が重たすぎて、豊かな葡萄の甘さだけ感じていた２００９年ですが、時を経て、透明感のある酸や、ジューシーさが出てきました。レンブラントの絵画のように、陰影が濃いこの蔵の個性を、ようやく堪能することが出来るでしょう。１９７９年って、まさに「飲み頃」なんですよね。コンパクトにまとまったバランス、円やかさと優しさが同居して、全てにバランスが取れています。トロっとした甘さが湧いて、奥行きに複雑な余韻を残して、まさに熟成ブルゴーニュに求めるものがここにあります。ロマネコンティの１９７９年も例外ではありません。長い年月熟成させたからこそ、出てくるこの蔵の品の良い色気が、出ていることでしょう。 2002年は、ブルゴーニュにとって理想的なヴィンテージでした。酸とミネラルがとても綺麗で、葡萄の自然な甘さに、寄り添うように余韻に抜けていきます。ヴォギュエ家のワインは、余計な要素が全くなく、シャンボール・ミュジニーらしい清らかさに溢れています。さりげない果実味の中にも、後光が差したようにミネラルの粒子が輝いて。２００２年は、酸とミネラルが本当に綺麗で、葡萄の甘さに自然に寄り添っています。まさにブルゴーニュらしい美しいヴィンテージで、理想的と言えます。このモンジャール・ミュニュレ家のワインは、とりわけ土壌の旨みをたっぷり含んで、偉大な”グランエシェゾーらしい”複雑さを備えています。拡がりと奥行きと、立体感を兼ね備えた、芸術的に完成度の高い逸品です。 2005年のブルゴーニュ、そろそろ飲み頃に入り始めています。発売した当初は、果実味が豊か過ぎて、たしかに美味しいんだけど、ちょっと葡萄ジュースのように単調で、物足りない味わいでした。今は、豊かな果実味の背後から、テロワールの良さが透けて見えて、極めて上品な味わいとなっています。特にこの蔵は、エシェゾーの持つ色気が、グングン湧き上がってきています。 2005年は気候が暑くて、葡萄がしっかり熟しました。そのせいで、熟成の初期から、果実味が「甘く」、上品さに欠ける部分がありました。特にこの蔵はそうで、本来持つ気高さが隠れていて、ゴツゴツしたマッチョな味わいでした。しかし、そろそろ飲み頃に入っています。年月を経て重たい澱が瓶の底に落ちて、なんとピュアーで、透明感のある品の良さがあるではないですか。これから、もっと綺麗になっていいます。 2009年は、落ち着きのある果実味の背後から、自然なテロワールの良さ、柔らかが出始めて、どんどん美味しくなっています。そして、この蔵の「溶けた果実味の柔らかさ」が素直に発揮されています。シャンボール・ミュジニー村のワインは、単調すぎて物足りない場合があるのですが、この「コンブ・ドルヴォー畑」は、トロっとした柔らかさ、丸さがあるのでとても好ましい、拡がりのある味わいに仕上がっています。「クロ　ド　ヴージョ畑」の特徴は、やっぱり「ふわふわの、丸みのある優しい果実味」にあるのではないでしょうか。特に2009年は、葡萄がしっかり熟して、果実味の甘さが非常に心地よいのです。ジャン・グリヴォ家のウロ　ド　ヴージョは、丸い果実味の奥にも、複雑な拡がりと、柔らかさを兼ね備えていて、まさにこの畑の持つポテンシャルを、最大限に発揮していると言えると思います。最初にこの蔵のワインを飲んだ時、透明感があって、なんて「ジューシー」な美味しさのあるワインなんだろうと感じました。汁気が溢れる触感の奥から、ミネラルの輝きが、本当に美しかったのです。２０１１年は特に、カチっとしたﾆｭｲｻﾝｼﾞｮﾙｼﾞｭ村らしい堅さと、溶け始めた葡萄の汁気溢れる果実味が程よいバランスで、ちょうど良い飲み頃に入り始めています。ラルロー家の良さを知るなら、まずこのワイン。ヴォギュエ家の2010年は、とても良いですね。この蔵の普段のワインは、熟成の若い段階では、ミネラルが厳しすぎて、酸も尖っていて、あんまり美味しいと思うことが少ないのですが、この2010年は例外です。ミネラルがふくよかで、酸も丸みを帯びていて、ふっくらした触感があります。気高い要素の中でも、葡萄の甘さを感じるので、美味しさを感じやすいのです。伸びやかな余韻が最高。１９９０年は本当に偉大なヴィンテージ。甘さ、酸、渋みと、全ての点でスケールが大きいです。特にタルボーは、その大きな器を十二分に生かして、柔らかく、ふくよかな触感があります。普段のヴィンテージだと、少しこじんまりしてしまいがちなこの蔵ですが、１９９０年は、やはり特別です。牛肉を炭火焼にし、黒七味と一緒に味わいたいです。１９９０年のデュクリュ・ボーカイユは、とても「洗練」されています。カチっとしたいつもの緊張感のある構造の中に、１９９０年らしいふくよかな豊かさが控えていて、とてもバランスが良いのです。穏やかさと、張りのある果実味の豊かさが調和して、なんて上品なのでしょう。乳酸たっぷりの牛肉を焼いて、キノコや黒トリュフとの相性が良いです。もう、圧倒的ですね。１９９５年は、葡萄の果実味がはっきりとしていて、豊かなのに、きちっとした端正な構造があります。ニュイサンジョルジュらしい、パシッ！と跳ねるようなミネラルの鋭さと、ヴォーヌロマネ村のすぐ隣の畑なので、もう色気が滲みでています。ルロワさんのワインは、なんと言っても迫ってくる妖艶さが圧倒的。２０１１年のブルゴーニュの白ワインは、飲み頃に入っています。熟成の初期に、少し気になっていた渋みが、時間を重ねることによって澱となって底に落ち、トロっとした甘さと酸が、素直に出てきています。品が良くて、優しい触感の「コント・ラフォンらしさ」が出ていて、ムルソーらしいふくよかさと自然に調和しています。２０１３年のブルゴーニュの白ワイン、どんどん美味しくなっています。発売当初は、「ちょっと薄い？」と、淡泊な印象があったのですが、それだからこそ、自然な果実味の背後に、テロワールの良さが透けて見えました。今では、薄いと思っていた果実味に肉付きが増して、豊かさと密度が備わって、非常に完成度の高い味わいとなっています。フォラティエールらしい、フワーっと舞い上がる余韻が素敵。２０１２年は、発売当初は「ボテっと」した甘さがありました。少し重たいというか、若干下品な甘さが気になりました。しかし、熟成を重ねて、その甘さがトロっと丸みを帯びて、綺麗な酸が内部から出てきたので、とてもバランスがよく、上品な味わいになってきています。ソゼらしい余韻のミネラルの輝きが、とても素直で、本当に美しいのです。ヴォギュエ家の２００９年、熟成の初期から、比較的「美味しく」飲めました。２００９年は、葡萄がしっかり熟して、果実味が豊かで、最初からその「甘さ」を楽しめました。神経質になりがちなヴォギュエ家のワインも、２００９年のおおらかな良さに救われています。流れるような美しい余韻と、伸びやかな酸の綺麗さが見事に調和しています。２００９年は、良さがどんどん出てきています。熟成の初期は、果実味が豊かすぎて、ボテっとした甘さがあって、正直言ってあんまり魅力的ではありませんでした。しかし、熟成を重ねた今では、その豊かな甘さの中から、透明感のある酸とミネラルが、コンベットらしい粘土質のしっとりした豊かさが、緻密に組み合わさった圧倒的な余韻に。２００４年のボルドーって、熟成の初期からとても美味しかったのです。タンニンが少なく、酸味が綺麗で、とてもフレッシュな葡萄の甘さが。透明感のある余韻が心地よく、喉の奥まで滑り込んできます。グリオラローズも、スタイルがどんどん洗練されてきて、昔のようなボテっとした地味な感じではなく、サンジュリアンの奥行きと、酸の輝きが、自然に備わって、美味しいと素直に言える「わかりやすい」味わいに。１９９４年のボルドーは、熟成の初期は、ちょっと渋くて、そのわりには、内部（コア）の果実味が弱く、「なんだか薄い？」と思ってしまうほどでした。しかし、熟成を重ねて、タンニンが澱となって底に落ち、相対的に甘さと酸味が自然に浮かび上がってきて、密度のある葡萄の甘さが、密度の豊かさが出てきました。まさにこれこそマルゴーの存在な感で、目がクラクラするほどのミネラルの輝きと、果実味の重層的な複雑さに酔いしれることでしょう。２００９年は、「豊かな」ヴィンテージです。果実味がたっぷりしていて、熟成の初期から甘さを感じて、とても美味しく飲めました。この蔵のクラシックな構造、ニュイサンジョルジュらしい「堅さ」と、2009年の豊かさが融合し、非常に完成度の高い味わいになっています。余韻の緻密なミネラルの輝きは、さすがですね・・・。２０１6年のピエモンテ地区は、葡萄の丸さ、素直な丸さを感じて、非常に”わかりやすい良さ”があります。普段のバローロは、ゴツゴツしていて、飲みづらい場合が多いのですが、これは違います。ブオン！という果実味の豊かさの背後に、黒いトリュフや、キノコのニュアンスが漂い、奥行きの立体感があります。大きめにカットした牛肉を焼いて、そのもっちりした触感を一緒に飲むと、乳酸の要素が相乗して、肉の旨味が迫出してくるでしょう。２０１７年は、”アルザスらしい”素晴らしいヴィンテージです。芯が強くて、冷たいミネラルの輝きと、酸の綺麗さがあります。温暖化の影響で葡萄の果実味が豊か過ぎる近年、本当に貴重な味わいです。リースリングの伸びやかな余韻、アイシュベルグ畑の太陽に恵まれた甘さ、そして清らかな酸が素直な魅力を押し上げて。 2002年のコント・ラフォンは、飲み頃に入りました。ふっくらした、柔らかい触感。そして、この蔵らしい自然な旨みが、素直に滲み出てきます。２００２年ヴィンテージは、ミネラルと酸の粒子が伸びやかに余韻に抜けていく品の良さがあります。ムルソーらしい「溶けた」丸さと、このエレガンスが見事に噛み合って。彼の良さが本当に良く出ています。パルメの2004年、実はとても「美味しい」のです。決して重厚な年ではありません。しかし、だからこそ、ふくよかな果実味と、タンニンと酸が、見事にバランスが取れているのです。本来、マルゴー村のワインの特徴は「ふっくらした、柔らかい奥行き」があります。これはまさにそうで、パルメらしいふわふわの触感の奥から、神々しいミネラルの背景が美しい佇まいを与えて。 2004年のボルドー、実はとても「美味しい」のです。果実味がたっぷりした重厚な年ではありません。しかし、渋みが少なく、酸味がほどほどあって、非常に「バランスが良い」のです。コスデストゥルネルは、熟成の若いうちはちょっと堅くて、重たすぎる場合があるのですが、この2004年は穏やかな触感と、程よいコクと渋みが合わさり、なんとも言えない東洋風の魅力に溢れて。ラモネ家のワインって、やっぱり王道ですね。ズドーン！という圧倒的な豊かさ。そして、シャルドネという品種の、良いところを余さず抽出し、ワインに落とし込む圧倒的な満足感。2005年はとりわけ充実したヴィンテージで、たっぷりしたボディの中に、ビアンヴェニュ・バタールモンラッシェらしい、小気味よいバランスの良さが備わって。強くて、巧みな味わいを奏でて。２００７年は、ようやく飲み頃に入っています。発売されてしばらくの間は、渋みが強い割に、内部（コア）の果実味がスカっと薄くて・・・。物足りない味わいでした。しかし、渋みが固まって澱となって底に落ち、ようやく、エシェゾーらしい華麗な、赤い果実の凝集したジューシーな甘さが、香ばしくて、妖艶な余韻の魅力が、徐々に出始めています。そろそろ、飲んでも良い頃です。 2008年は、そんなに良いヴィンテージとは認識されていません。しかし、強引な渋味がなく、透明感のある酸、綺麗なミネラルがあるおかげで、非常に品の良いバランスがあります（グラーヴ地区のオーブリオン的な要素がある）。パルメらしいふっくらした触感が、その綺麗な果実味の構造によって、極めて佇まいの美しい、気高い味わいに仕上がっています。 2008年のブルゴーニュは、そろそろ飲み頃です。熟成の初期は、途方もなく果実味が「薄く」、正直、がっかりしていました。しかし、12年ほど熟成を重ねて、渋みが澱となって底に落ち、隠れていた内部（コア）の甘さと酸味が湧き上がり、はっきりした輪郭が出てきました。ジューシーな甘さの奥に、グラン・エシェゾーらしい立体的な構造が現れ、モザイクのような幾何学的模様と、本来の色気が滲み出て。アルザス地方のゲヴルツトラミネールは、果実味の構造がギラギラし過ぎて、尖った要素が強くて、なんだか飲みづらいイメージがあるかもしれません。しかし、「良い生産者の」ワインは、葡萄がしっかり熟しているため、鋭さと豊かな丸さが、綺麗に溶け込んでいるのです。もう、香りを嗅いだ瞬間、エキゾチックな「ライチフルーツ」のような甘さがあって、綺麗な酸と、タンニンの心地よい辛さが、モザイクのように美しい調和で共存しています。素晴らしいです。２０１６年ヴィンテージは、葡萄の果実味が「ジュワ！」と汁気が溢れるほど豊かです。肉厚なのに、酸が綺麗なために重くなく、たっぷりした葡萄の鮮烈さが。このワインも例外ではありません。本来この蔵は、熟成の若い段階では、果実味が凝縮しすぎていて、理解できない場合も多いのですが、これは違います。シャンボールミュジニー村らしい、溢れんばかりの果汁の新鮮さの中で、溺れてしまうほど、良い意味で「わかりやすい」魅力があります。 2017年は、純度の高い果実味が綺麗で、その背後に、「テロワールの良さが透けて」見えます。強引さや、圧倒的な葡萄の豊かさで押しまくるのではなく、葡萄という存在の背後に、「私はここにいますよ」という控えめな存在感が。この蔵の２０１７年は、まさにシャンボール村らしい、駆け抜けるような爽快感と、ふわふわの優しい果実の品の良い魅力が、素直に合わさっています。流れるような余韻が素敵。この蔵の「ボンヌ・マール」は、特別です。単純に滋味豊かな、この畑の個性を表しているだけではなく、その果実味の中に、葡萄畑の「精気が宿る」存在と言えるでしょう。２０１７年は、余計な重たさがなく、果実味の背後のテロワールの良さが「透けて見えるヴィンテージ」。ただしそうだとはいえ、ボンヌ・マールらしい凝縮度の高さ、密度の濃さは明らかで、開けたてはきつく感じるかもしれません。ゆっくり、時間をかけて飲むのをオススメします。 1998年のロマネサンヴィヴァンは、熟成の初期は、果実味が薄く、味わいが「ぼんやり」していました。おそらく、当時飲んだ人は、その良さを全く理解できなかったでしょう。しかし、20年以上熟成して、１９９８年は、良くなってきました！。渋みが澱となって底に落ちて、葡萄の甘さと酸がジワっと出て来て、カメラの焦点が合ったかのように、果実味がハッキリしてきました。丸みのあるロマネサンヴァヴァンらしい柔らかさと甘さが出ていて、飲み頃です。実は、2002年は素晴らしいヴィンテージなのです。酸とミネラルが途方もなく美しく、渋みが若干少ないため、ブルゴーニュらしい綺麗な味わいとなっています。しかも、構造がしっかりしているため、この美味しさがずっと続いています。特に、この蔵は、古典的なブルゴーニュの良心とも言える存在で、ニュイサンジョルジュらしい小気味よいミネラルの刺激と、2002年らしい綺麗な酸と渋味が、絶妙のバランスで、余韻まで拡がっていきます。お見事です。私の一番好きな畑かもしれません。キューン！という研ぎ澄まされたミネラルの輝き、その奥から、硬質なエネルギーの熱量が、余韻まで静かに、かつ強く抜けていきます。繊細なのに、芯が強く。豊かなはずなのに、表面的にはそれとは感じられない。まさにブルゴーニュの理解を深めれば深めるほど、その真の凄みがわかってきます。２００６年は熟成初期は少し重たかったのですが、ようやく、渋みが澱なって底に落ちて、気高さが出始めているでしょう。２０１８年のブルゴーニュは、バランスが良いですね。開けてすぐの段階でも、果実味が柔らかく素直なので、美味しく飲むことができます。葡萄の丸さが自然で、神経質なところがありません。ヴォーヌロマネ村の肉付きの豊かさ、色気が漂いながら、”スーショ畑”らしい肌理の細やかさ、繊細な石灰質の輝きが気品を与えて。おそらく、フランス国内や、北欧で凄まじく高い評価を受けていると思われます。このキューン！いうミネラルの粒子の、純度の高い輝き。さっぱりした辛さの奥に、葡萄の本当の力が秘められています。料理と一緒にというワインではありませんが、私はこのワインがとても気になります。個人的には、お店には置かない「部類」の白ワインなのですが、何度も買って、確かめてみたくなる「何か」があります。サティや、ドビュッシーの音楽のようで限りなくシンプル。素晴らしいですね。２０１7年はジュワッ！という果汁溢れる葡萄の豊かさが出ていて、今でも「美味しく」飲めます。口に含んだ瞬間、葡萄の汁が端からこぼれそうなほどで、その果実味の背後から、ミネラルの粒子の輝きが、余韻に綺麗に抜けていきます。完成度が高く、生ハムやサラミのような肉の旨みと、溶け合うように引き立ててくれます。いいワインです。ＤＲＣ（ロマネコンティ社）のワインは、熟成の若い段階では、酸が強く、ふわふわとした果実味で、理解するのが難しいのです。しかし、２００９年は違います。はっきりした、葡萄の豊かさ、甘さと酸がしっかり整っているので、わかりやすい果汁の美味しさを感じます。この甘さがあるからこそ、エシェゾーらしい、花びらを集めたような可憐は芳香と、余韻の複雑な拡がりを堪能できるのです。すでに飲み頃に入り始めています。ラルローのワインと言えば「透明感」。熟成の若い段階では「ぼやけて」いて、何がなんだかわかりませんが、少し熟成を重ねることによって、余計なタンニンや、汚れが澱となって底に落ちて、どんどん純度を増していきます。画像のピントが合ったかのように、ピン！と鮮やかになって、甘さがはっきり、酸も活き活き蘇ってきます。特に、２００９年はとりわけ果実味が豊かな年。本当のラルローの実力を、堪能できるのではないでしょうか。この蔵の個性は、やっぱり土のニュアンスをふんだんに感じて、「滋味」がしっかり感じられるところではないでしょｒうか。2009年らしい果実味の豊かさの背後に、グラン・ゼシェゾーらしいガシっとした立体感と、拡がりのある多彩な赤い果実の凝縮感が、余韻に一気に湧いてきます。複雑なヴォーヌロマネ村の魅力が、ここに集約されています。この蔵のワイン、最近非常に人気がありますね。赤い果実を、純粋に凝縮させたような「わかりやすさ」が魅力で、香りを嗅いだ瞬間に、「あー、華やか」と言ってしまいそうなほど、シンプルな良さを感じます。口に含んだ瞬間、葡萄ジュースのような心地よさを感じて、余韻まで綺麗な酸が程よく、上品さを与えてくれます。ある意味、多くの方が理解しやすい味わいではないでしょうか。メオ・カミュゼは、どんどん洗練されてきています。20年前までは、どこかゴツゴツしていて、熟成の初期は歪で、飲みづらかったのですが、今は違います。わかりすいヴォーヌロマネ村の色気、そして、黒や赤系葡萄を集めたような、率直で、豊かな果実味。余韻に抜ける酸の綺麗さと、ミネラルの光沢が、このワインに完成度の高さを与えています。２０１１年は、タンニンが澱となって底に落ち始めて、どんどん「美味しさ」が増しています。これは、もう特別なワインです。ムートンは、ズドーン！という厚みのある豊かさのあるワインとうイメージがありますが、これは違います。クラシックな、カベルネソーヴィニオンの堅さと、緻密な酸とミネラルが絶妙に絡み合って、昔ながらの偉大なボルドーの良さを伝えてくれます。開けたては少し緊密で、酸味がきついですが、スワリング（くるくるグラスを回すこと）しないで、ゆっくり時間をかけて飲むと、堅さの奥から、途方もない複雑な旨みが出てくるでしょう。 1978年のボルドーは、渋みが少なく、葡萄の甘さと酸味が素直に出ていて、とてもジューシーです。極めてフレッシュで、この自然な甘さが心地よく、どの蔵のものを飲んでも外れがないと言えるほどです。このデュクリュ・ボーカイユは、スベスベの触感の奥から、ジューシーな甘さに品があって、ミケランジェロの彫刻のよう。この蔵の真髄を味わうには、まずこれを飲んだ方が良いです。 1975年はクラシックなヴィンテージ。５～６年前までは、渋みが気になって、その割には中身（コア）が薄く感じられ、物足りない味わいでした。しかし今では、渋みが澱となって底に落ちて、葡萄の甘さやコクが、相対的にジワっと感じられるようになりました。ムートンらしい奥行き、カベルネ・ソーヴィニオンおが40年以上熟成するとこんなに複雑になるのかという、魅惑的なブーケが満載です。これぞムートンの実力。１９８５年は、安定感のある素晴らしいヴィンテージ。重層的な果実味の構造の中から、必ず甘さを先に感じて、熟成の初期からずっと「美味しさ」を保っていました。この蔵のワインは、熟成の初期は、ちょっと内気というかシャイな味わいで、なかなか理解しずらいかもしれませんが、この年は、前面に魅力が出ています。スベスベの綺麗な触感の奥から、艶のあるミネラルの輝きが、寄り添うように余韻に抜けていきます。本当に美しい。も、もう圧倒的ですね。シャトー　マルゴーらしいたっぷりした果実味。懐が深くて、優しく飲み手を誘うかのよう。１９８５年らしい重層的な果実味の中から、必ず甘さを先に感じて、まさに官能的です。シャトー・マルゴーの”包容力”が十二分に発揮されています。１９８８年は偉大なヴィンテージでしたが、タンニンが強くて、ずっと果実味が「閉じて」いました。しかし、ここ2～3年の間に、渋みが澱となって底に落ちたおかげで、重たかった果実味が軽くなって、ドワーッ！とブーケが一気に上がってきました！。奥ゆかしいボディの柔らかさも出始めて、白いミネラルの神々しい香りと、黒系果実の深みのあるコクが絡み合って、なんという官能的な味わいに。劇的な変貌は、さすがマルゴーです。この年のペトリュスは、丸みがあって飲み頃に入りました。この蔵のワインは、熟成の若い段階は、タンニンと酸味の「張り」が強すぎて、あんまり美味しいと思えることが少ないのです（２００５年以降のヴィンテージを除いて）。しかし、この1993年ヴィンテージは、コンパクトなバランスで、円やかな丸さがあるため、今、とても飲みやすく、とても良く「理解」できます。神々しいブーケの中に、奥ゆかしい、溶けそうなほどの深い魅力が溢れて。 2001年のシャンボール・ミュジニー村のワインは、飲み頃です。少し引っかかりのあったタンニンが、澱となって底に落ちて、シャンボール村らしい、跳ねるような勢いが、余韻まで流れるような果実味が出てきています。この蔵のワインは、赤系果実のフレッシュさと、レ・ゾー・ドワ畑らしい、細やかな柔らかさ、ふくよかなミネラルが素直に寄り添って。今飲むのが、ちょうど良いと思います。とても珍しい「ヴァン・ジョーヌ」（黄色のワイン）です。スペインのシェリーにとても良く似ていて、「酸っぱくて」、独特の味わいです。初めて飲む方は、すごく驚かれるかもしれません。実際に、寒い地域で作られるために、酸味とミネラルの粒子が「キューン！」と研ぎ澄まされた美しさがあります。熟成の若い「コンテチーズ」、ハモンセラーノ（生ハム）、マンチェゴのチーズと、めちゃくちゃ合います。食材の品の良い塩気が、ワインの甘さを引き出してくれます。これはいいワインですね。キューン！と研ぎ澄まされたミネラルの輝きが、本当に美しく、寒い地域で育った葡萄を思わせる、酸の鋭さが極めて印象的です。ゲヴルツトラミネールらしいギラギラした触感の中から、レモンと甘さが綺麗に溶け込んで、なんて上品な触感なのでしょう。アルザスのシュークルート、マスタードをたっぷり付けたソーセージ。または、デザートワインとして飲んだ場合、レモンのタルトが合うでしょう。２０１６年は、ジュワっ！と迸るミネラルの鮮やかさと、葡萄の豊かさが混在して、極めて印象的なヴィンテージ。この蔵の「クリーン」な果実味のふくよかさが、より一層綺麗さを増しています。トロっとした丸さと、懐の深さが、素直な触感が、非常に心地よいのです。鶏肉を使った参鶏湯にとても良く合いそうです。シャサーニュ村の生産者の中でも、最も「エレガント」な味わいなのが、このニーロンさんです。キューン！という細く、美しいミネラルの輝き。そして、余韻にかけて、まっすぐと香りが抜けていきます。緑色の色彩（実際の色ではなく、味わいのイメージ）に透明感があって、本当に綺麗。２０１０年らしい、ふくよかな触感が、このワインに拡がりを与えています。こういう小さい蔵のシャンパンの魅力はやはり、一粒一粒の葡萄を噛んだ瞬間のような、ジュワッ！とした鮮やかさにあるのではないでしょうか。余計な要素が全くなく、ただただ純粋に、葡萄の搾りたての生命力を味わっているという感覚に。余韻に拡がる（いい意味での）平面的なミネラルの輝きは、見晴らしのよい平原の向こうを見ているかのような、すがすがしい気分にさせてくれます。満足度が非常に高いシャンパンだと思います。あくまでも清らかで、拡がりのある優しい触感。このブラン・ド・ブランを飲んで、嫌だと思う人はほとんどいないのではないでしょうか。尖りすぎていたり、神経質すぎて堅かったり、マイナスと思われる要素が、ここにはないからです。あくまでもふくよかで、伸びやかな余韻。攻撃的なところがない、ひたすら柔らかい余韻。コート・ド・セザンヌ地区の良い特徴が、ここに素直に表れています。私も嫌われない人になりたい（独り言）。ブージー村の特徴と言えば、私はブルゴーニュの「ニュイサンジョルジュ村」のワインを思い出します（特にレシュノー家）。ビシッ！、バシッ！とメリハリが効いて、黒と赤い果実を一気に潰した瞬間のように本当に鮮烈。ただし、鉄分や石灰岩のような「堅さ」が、果実味の向こうから、フワーッ！と押し寄せ、圧倒的な迫力があります。特にこの蔵のシャンパンは、少し「内向的」な魅力に溢れ、秘めたエネルギーの巨大さに、ただただ驚かされます。この蔵の「入門編」とも言えるべきシャンパンです。ブージー村らしい引き締まった赤や黒系果実味の中から、「ジュワーッ！」という葡萄の汁気が、素直に伝わってくるのです。本来の「ブージー村」の特徴は、凝縮しすぎて、堅くて、ちょっと苦手に思える場合があります。しかし、この「入門編」は、あくまでも優しく、素直な葡萄の良さを、十分堪能できます。レモングラスや、オレンジの皮のような爽やかさなニュアンスがあるからでしょう。メニル・シュール・オジェ村のワインって、キーン！と、金属的な堅さがありすぎて、正直言って飲みづらい場合があります。しかし、このシャンパンは、オジェ村のフワっとふくよかな果実味が特徴の葡萄と混ぜてあり、とても「バランス」が取れています。とても真面目で、きちっとした性格の良さを感じます。でもボケたら、軽く突っ込んでくれそうな程よい「遊び」もありそう（あっ、ワインの味わいのことです）。２００８年のブルゴーニュは、ようやく「ちょうど良い飲み頃」かもしれません。実際に、この蔵のワインは、熟成の初期はなんだか堅すぎて、ミネラルと酸が強すぎて、葡萄の甘さを押しつぶしてしまって、あんまり美味しくないのです。しかし、２００８年は澱となって底に落ち始め、自然な葡萄の甘さと酸が、ジワジワと湧いてきています。密度のある豊かさが出て来て、ニュイサンジョルジュらしい、小気味よいミネラルの辛さとが、程よいバランスに。そろそろ、１９９０年も飲み頃に入り始めています。この「ダルマイヤック」は、ずっと果実味が「詰まりすぎて」堅かったのですが、ようやく少し「解けて」きました。カベルネソーヴィニオンのカチッ！という堅さの奥から、ポイヤックらしいモッチリした触感が出て来て、バランスがどんどん良くなっています。これは、牛肉（若々しい乳酸たっぷりのもの）を焼いたものと一緒に飲むと、めちゃくちゃ合います。熟成したボルドーの複雑な奥行きが、より一層発揮されて。ダルマイヤックの２０００年は、発売当初から、フレッシュな果実味が保たれ、すでに「美味しかった」のです。１９８２年ヴィンテージにとても良く似ています。熟成を重ねても、その「新鮮な美味しさ」は保たれ、口に含んだ瞬間、口の端から果汁が零れそうなほど。クラシックなポイヤックの堅さと柔らかさが組み合わさった、古典的な魅力に溢れて。これはステーキ・フリットで、粒マスタードをたっぷりつけて、豪快に頬張りたい。２００６年は「ふんわりした丸さ」のあるヴィンテージ。葡萄の甘さを素直に感じ、ムルソーらしいしっとりした触感。奥行きの丸さが、ラフォンさんらしくて、飲み込んだ後の余韻がとても心地よく、複雑なブーケが本当に官能的。熟成の初期は、甘すぎて歪な構造でしたが、ようやく、果実味の背後の、懐の深みが出ています。これぞ「ムルソー」。２００８年は、熟成の初期は「なんだか果実味が薄い？」と思ってしまうほど、物足りない味わいでした。しかし、今では透明感のある果実味の奥から、「しっとりと」蜜のような自然な甘さが出てきて、極めて魅力的。コシュ・ドゥリさんらしい緻密な酸とミネラルが、細かい粒子となってキラキラと輝き、彼の気高さと、ムルソーの懐の深さが合致した、非常に素晴らしい作品。ラモネさんと言えば、やはり「ズドーン！」という迫力ある果実味。２００９年と言えば、たっぷりした、果汁溢れる豊かなヴィンテージ。バタールモンラッシェらしいふくよかな重厚感と、２００９年の特徴、そしてこの蔵の個性が合致したまさに「ド迫力」の存在感があります。ドメーヌ・ド・ラ・ロマネコンティの「モンラッシェ」と比べられるほどの存在の大きさが。果実味の奥の複雑さが、尋常ではありません。２０１１年は、熟成の初期は「タンニンの引っ掛かり」があり、ちょっとギクシャクして、バランスが悪かったのです。しかし今では、渋みが固まり、澱となって底に落ちて、透明感のあるプスドールらしい美しさが出てきました！。強靭なヴォルネイ村の堅さの奥から、本当は「可憐で、色気があるんだよ」と思ってしまうほどの綺麗さが出始めています。まだ余韻はほんの少し堅いですが、それも程よいアクセントに。もう、６年ぐらいずっと「エレヴァージュ」のハウスシャンパンとして使っています。年間３００種類以上のシャンパンを、グラスワインとして出すのですが、この価格帯では最も完成度が高いのではないでしょうか。ギューン！という鮮烈な香り、葡萄の豊かなコクと、メリハリの効いた酸とミネラルの余韻が本当に綺麗。四方八方に尖った要素がありながら丸みも備わっていて、肉（鶏）料理や、前菜全般に合います。「ブォン！」という厚みのある果実味で、シャルドネの豊かさを、これでもか！と思い知らさせるワインです。強靭な果実味を持っているので、自宅で牛乳を同じ場所に立てて冷やしておくと、料理と一緒に味わった時に、スケールの大きい味わいの迫力を楽しむことができます。海老料理など、甲殻類香ばしさと合わせると、たまりません・・・。１９８５年は果実味が重層的で、葡萄の甘さが前面に出て、美味しさが「わかりやすい」ヴィンテージです。クリュッグの幾層にもわたる旨みの塊を、よりはっきりと味わうことが出来て、立体感のあるボディの奥から、蜜のような甘さと、柔らかい酸味がうねりとなって押し寄せてきます。熟成の若い時も美味しかったのですが、今は、もうガッツリ飲み頃に入りました！１９８８年は、熟成の若い段階では、渋みと酸が引き締まっていて、甘さが隠されてしまい、あんまり美味しくありませんでした（いわゆる「閉じた」状態と言われます）。しかし、３～４年前から、立体感のある果実味の奥行きから、ジワジワと蜜のような甘さと酸が溶けあって、急に迫力が出てきました！。余韻の圧倒的なパワーと、モカのような柔らかいブーケが、官能中枢を刺激します。１９９０年のクリュッグは、熟成の初期は、「なんかこれすごいな」と感じるぐらいで、本物の凄さは表れていませんでした。堅くて、引き締まっていて、奥行きに何かあるはずなのに見えなかったのです。しかし、ここ数年、めちゃくちゃ良くなっています。クリュッグらしい重層感、スケールの大きいボディの厚みの中から、１９９０年らしい熟した要素がガンガン出て来て、いいではないですか！。迫力満点。しばらくの間、たしかに美味しいんだけど少し単調かな？と、１９９５年のクリュッグは、そう思っていました。しかし、ここ２年ぐらいの間、少しずつ甘さが出て来て、しっとりした奥行き、品の良い佇まいが、徐々に出てきたではないですか！（勝手に興奮）。あと１０年ぐらい熟成させた方が、もっと深みが出てきますが、今飲んでも、クリュッグの良さを感じられます。今飲むか、あと２０年熟成させても良いです。サロンの１９９０年は、しばらくの間、堅さが取れなくて、「素っ気ない味わい」で、正直言って物足りなかったのです。ただし、熟成の若いサロンに典型的で、清らかではあるが、それ以上は・・・。しかし、熟成を重ねて、ようやく１９９０年のサロンも溶け始めてきました！。気高い酸と、途方もなく美しい甘さ。そして、ジワジワっと奥から湧き出る、押し寄せる旨み。単調ではない、ふくらみのある魅力に溢れて。１９９８年のクリュッグは、発売当初から、比較的「美味しく」飲めました。いつものヴィンテージのクリュッグよりも、若干「平面的」で、味わいが多彩に「開いて」いたからです。そして、２０２０年の現在、蜜のような甘さの密度が増し、複雑な要素がしっかり出ていて、「本当のクリュッグらしさ」を感じられる味わいとなっています。本来よりも熟成は早いですが、だからこそ本来の魅力が「わかりやすく」出ています。サロンの１９８５年は、「バランス」がとても良いのです。１９８５年らしい重層的な果実味の中から、清らかな白桃のような甘さ、ハチミツのような黄色い要素が絡み合って、なんて官能的なのでしょうか。やっぱり、サロンは熟成させると「劇的に」変わります。こんなにふくよかで、複雑なブーケが鼻孔をくすぐり、だからサロンは止められないと、改めて実感します。２００４年ヴィンテージと、サロンの相性は、おそらく最高なのだと思います。キューン！という研ぎ澄まされた酸とミネラルの綺麗さ。そして、真っすぐに抜けていく余韻。極めて清らかで、芯の通ったボディの細さ。長く、そして美しいのです。２００４年ものは、まだまだ若々しく、あと１０年ぐらい経たないと解けてこないでしょう。ただし、熟成の若いサロンの良さが、ここに凝縮しています。テタンジェの「コレクション」は、私のものすごく好きなシャンパンです。テタンジェは、熟成の若い時は、堅くて（若い筍みたいな？）、あんまり美味しいとは思えなかったのですが、この「コレクション」は別格です。ギュン！という立体感の溢れた果実味の奥から、幾層もあふれ出る蜜の甘さが、舌の隅々まで刺激してくれます。最高のデザートワインの一つだと思います。１９７８年は溶け切った多彩な蜜に尽きます。１９８２年ヴィンテージはジュワっと果汁溢れる、蜜のような甘さがあります。熟成していますが、葡萄を絞った瞬間のような酸と、溶けた甘さがメリハリを奏でて、なんて魅力的なのでしょう。ペリエ・ジュエは、熟成の若い段階では、華やかなだけ？と勘違いしてしまいますが、ここまで熟成すると、こんなに甘美で、色気に溢れた美味しさになるのかと本当に驚きます。泡はごく微小で、それより旨みのスケールが巨大。偉大な１９９０年です。熟成の初期は、荘厳で、ドンペリニョンらしくなく、黒っぽい重たさが備わっていて、凄いのはわかりますが、美味しくはありませんでした。しかし、今や、ドンペリニョンの立体感の奥から、オ妖しい魅力が湧き出て、蜜のような甘さと、ミネラルの溶けたブーケが重なり合い、なんという迫力なのでしょうか。ブラームスのピアノ協奏曲第一番のよう（ピアニストはエレーヌ・グリモー）。そろそろ、１９９５年の「ドンペリニョン」も、開き始めています。まだ少し単調な堅さはありますが、果実味の背後にあるオーラ（土壌の要素からくる、白い煙のような迫力）が出て、ようやく甘さが湧いて、これから美味しさが増していく雰囲気があります。ドンペリニョンは、やっぱり熟成すると、旨みと複雑さが、ドワーッ！と何倍にも増してきます。今飲んでも、３０年後飲んでも良いと思います。１９６６年ヴィンテージは、葡萄の丸みがトロっとありながら、ミネラルと酸が「シャン！」と綺麗に寄り添っていて、佇まいに気品があります。ルロワ社の１９６６年は、全般的に柔らかめのものが多いのですが、十分に熟成して「溶けた」味わいを堪能したい方は、極めて満足できる味わいになっているでしょう。もちろん、この会社の古酒は個体差があります。「当たった」時は、生涯忘れられない経験となります。１９８５年のブルゴーニュは、葡萄の果実味の甘さが前面に出ていて、非常に「わかりやすい美味しさ」があります。ルロワ社（ネゴシアンもの）は、特に、他の一流の蔵のものよりも若干「溶けた熟成の仕方」をしていて、旨みがたっぷりで、盛り上がった美味しさを堪能できます。私がワインにはまったきっかけは、１９９０年代半ばに飲んだ、ドメーヌ・ルロワのクロ　ド　ヴージョ１９８８年で、あの時の溶けたブーケを、一生、忘れることができません。１９８６年のブルゴーニュは、飲み頃です。渋みが固まり、澱となって底に落ちるため、重力から解放された「浮遊感」があります。この蔵の１９８６年もようやく飲み頃で、リッシュブールらしい図太い迫力が、ふっくらした豊かさに変わり（Riche=豊かの意味）、花びらを集め、甘い蜜を振りかけたような官能的な香りブーケが、舞い上がって襲います。「あー、これぞＤＲＣ（マニア語）を飲んでる！」と感動します。１９８７年ヴィンテージは、渋みが若干強いわりには、内部（コア）の果実味が、いまいち薄く感じていました。しかし、８年ぐらい前から渋味が固まって澱となって底に落ちて、相対的に自然な甘さと酸が湧いてきて、バランスが取れてきました！。この蔵らしい溶けたブーケは、まさに専売特許。エシェゾーらしい華やかさの中から、しっとりとしたかわいらしい柔らかさと、赤い果実のジュワっとした甘さが本当に心地よくて。１９８８年偉大なヴィンテージです。しかし、ギュギュッ！と渋味と酸味が結びつき、正直言って堅かったです。美味しくなり始めたのは、ここ５～６年の間で、タンニンの背後に隠れていた、複雑な甘さが、ようやく顔を覗かせています。押し込まれていた、葡萄の豊かさと、芯の強い甘さがジワジワと出て来て、なんという完成度の高さ。このワインは８回ほど飲んでいますが、今が一番良く、もっと良くなるでしょう。偉大な１９９０年で、甘さ、酸、渋みと全てにおいて凝縮度が高く、充実しています。このワイン、７回ほど飲みましたが、ずっと味わいが堅く、本当は凄まじいはずなのに、本領を発揮していませんでした。ここ３年ぐらいは飲んでいませんが、おそらく、他の一流の蔵も「開き始めて」いることから判断して、ようやく、この時代のヴォギュエらしい「ゴシック建築」の、構成美の奥行きが出ているのではないかと思います。ヴォギュエ家のこの年のボンヌ・マールは、熟成の初期から、比較的「美味しさ」を発揮していました。この畑のふくよかなボディ、包容力の大きさが出ていて（ボンヌ＝良き、マール＝母）、極めて魅力的な味わいとなっています。なんでしょう、果実味がたっぷりなのに、気高さに満ちて、ふくよかなモーツｱルトのピアノ交響曲のよう。ミュジニーが「空」のワインとすれば、このボンヌ・マールは大地の恵みをたっぷり感じます。１９９０年代の半ばに、ドメーヌ・ルロワのワインをしこたま飲むことが出来て、それでワインにはまってしまったと言っても過言ではありません。このあたりのワインは、本当に良く味わうことができて、幸せでした。なんだか、葡萄の豊かさって、ここまで深く表現することができるのか！と畏怖の念を抱いたのを、今でも覚えています。ただ単純な葡萄ジュースではない、ルロワさんの執念が、ヒシヒシと伝わってきます。この辺のルロワさんのワイン、もうどれくらい飲んだか、もう数え切れません（自慢ですいません）。いずれも忘れられない思い出です。１９９２年は、ダメな年と言われます。しかし、ルロワさんのワインは、そんなことはありません。ヴォーヌロマネ村に隣接していて、なんて「色っぽい」のでしょう。まさに今が飲み頃で、あと１０年寝かせて、味わいが向上するとかは、考えられません。今でしょ！（林先生登場）。熟成の「初期」の、ヴォギュエ家の良さが、十二分に出ています。ケルン大聖堂のような、上昇するエネルギーの美しさ、細くて、引き締まったボディの奥から、ミネラルの粒子がキラキラと寄り添う。１９９６年は５年前までは、堅くて、引き締まり過ぎで、単調で物足りない味わいでしたが、ようやく「解けて」きて、果実味のふくよかさと拡がりが、心地よくなってきました。教会で聴くパイプオルガンのような荘厳さが。１９８９年は、本当に偉大なヴィンテージ。口に含むと、葡萄の甘さを先に感じて、その豊かさだけで満足してしまいます。熟成の初期から美味しさが出ていて、極めて魅力的であり、これからも熟成するでしょう。さて、この蔵の１９８９年、本当に良いんです。ロマネサンヴィヴァンらしい柔らかさと、ふわふわの触感の奥から、自然な甘さが湧いて。もう、これを書いている瞬間も、過去に飲んだ思い出が蘇ってきます。１９９６年は、４年ぐらい前まで味わいが堅かったのですが、急激に美味しくなりました。ギューンと研ぎ澄まされた酸とミネラルが解れて、トロっとした拡がりのある丸さ、甘さが出て、リッシュブールらしい密度の濃さが出ています。伸びやかな余韻は、まさに偉大な畑らしく、圧倒的な太さ、豊かな果実味と、ロマネコンティ社らしい”色気”が、見事に組み合わさって。ようやく飲み頃に入りました。熟成の初期から、この１９８８年を何度か飲みましたが、渋みが強すぎて、あんまり美味しくありませんでした。果実味が引き締まりすぎて、甘さが完全に消されていました。しかし、ここ５～６ど、１９８８年のブルゴーニュは、タンニンが澱となって底に落ち、甘さと酸がしっかり感じられ、劇的に美味しくなっています。このリッシュブールも、例外ではないと思います。２００７年は、飲み頃に入ってきています。熟成初期は、渋みが強く、その割にコア（内部）の果実味が薄くて、物足りない味わいでした。しかし、熟成によってタンニンが澱となって底に落ち、葡萄のジューシーな甘さの密度を増してきました！。リッシュブールらしい、豊かさと、ズドーン！という肥えた迫力が、どんどん出てきています。彼らしい、レンブラントの絵画のような陰影の深みを、堪能できると思います。この”クロ・デュ・メニル”は、発売当初は尖った要素が強すぎ、その美味しさを理解することは難しいです。しかし、十分に熟成を重ねると、凝縮した蜜のような甘さがジワっと湧いて、非常に官能的な味わいとなります。そのスケールの大きな拡がりが、その溶けた果実味の奥からどんどん湧いて、底知れぬ余韻の長さが。やはり、クリュッグは別格です。”それ”を味わってしまうと、もう一生忘れられません。クリュッグの２０００年は、立体的というよりも、拡がりのある懐の深さがあります。ただし、まだ若いです。個人的にはあと１０年寝かせてから飲みたいです。ただし、”クロ　デュ　メニル”は本当に特別な畑で、果実味が”開いた”時には、七色のミネラルの輝きと、溶けた蜜のような甘さが混じりあい、教会のステンドグラスのような（味わいの）色彩が拡がります。買ってから１０年後、飲むと良いと思います。２０１０年のブルゴーニュは、発売当初からとても”美味しかった”のです。酸味が柔らかく、ミネラルがとてもふくよか。トロっとした葡萄の甘さを感じて、官能的な美味しさがありました。そして、今でもその”美味しさ”は変わっていません。彼のエシェゾーは、とりわけ複雑で、色彩が豊かで、落ち着きと鮮やかさが同居した、非常に完成度の高い味わいとなっています。アンリ・ジャイエさんの名残を、ここに感じます。このシャンパン、昨年末に飲みました。今が飲み頃です。クリュッグの厳しさではなく、優しさが。包容力のある懐の深さがあります。クリュッグは、いつもは厳めしく、なかなかその素顔を見せてくれません。しかし、１９８８年は、しっとりした触感の奥行きが出ていて、本当に心地よいのです。クリュッグの綿々と連なる、歴史の凄みを感じる逸品だと思います。この１９９５年は熟成の初期はとても”素気なかった”です。もちろん、その”飾り気のない触感”に凄みはあるわけですが、真価を理解するのは難しかったと思います。しかし、そろそろ、１９９５年も飲み頃に入ってきています。ヴォギュエらしい”素材の良さ”が、熟成を重ねて、ふくよかで、しっとりした触感を帯びてくる。余韻に抜ける、キューン！というミネラルの粒子が、どんどんふくよかに輝きます。圧倒的な品格の高さの片鱗を見せ始めているのではないでしょうか。もう、圧倒的ですね。熟成の初期から、凄まじい”輝きが”あって、正直言ってノックアウトされてしまったわけですが、熟成した今は、内部に宿る官能的な色気が出て、別な魅力を増しています。１０年前は、果実味が「閉じて」しまって、地味な味わいが続いたのですが、今は、マルゴー村らしい落ち着きと、包容力の大きさを見せていると思います。２０１４年は、本当に品が良いですね。２００２年ものに似ていて、ミネラルが綺麗で、素直な甘さと、自然な酸が本当に心地よく、ブルゴーニュらしい美しさがあります。年のよっては、ゴツゴツしていて、バランスの悪いエシェゾーを作る彼ですが、この２０１４年はとても良いです。エシェゾーの可愛らしさと、華やかな芳香に満ちて、十二分に魅力的な味わいとなっています。そして、熟成が若いのに、ジューシーな果実味があるため、今飲んで”美味しさ”を感じます。１９７９年のボルドー、あんまり知られていないのですが、バランスがよく、柔らかい果実味が”整って”いて、飲み頃です。わかりやすい”美味しさ”があります。渋みも丸く、酸も優しく、甘さも素直で、本当に良いのです。このカロン・セギュールも例外ではありません。サンテステフらしい堅固さもありながら、フワっとした穏やかなバランス。紅茶の良い部分を凝縮した”カロンセギュールの良さ”がここにあります。猛暑と言われた１９８３年ヴィンテージですが、ボルドーワインは、皮まで熟しているので、タンニンまでもが”甘い”のです。これはとても良い意味で、干し葡萄のようになってしまったブルゴーニュワインとは対照的。特にペトリュスの１９８３年は、熟成の初期からまろやかで、懐が深くて、ポムロールらしい柔らかさと、ペトリュスのミネラルの輝きを、思う存分味わうことが出来るでしょう。偉大なワインです。偉大なヴィンテージです。重層的な果実味の中から、甘さを先に感じるため、熟成の初期から美味しく飲めて、今でもその美味しさは続いています。いわゆる、ズドーン！というボルドーの圧倒的な分かりやすさがここにあります。そして、アッサムの良い茶葉を煮だしたような、オリエンタルな甘さ。まさにこれがカロンセギュールの個性で、好ましい葡萄の果実味と相まって、素直に美味しさを受け入れることができます。初めて、この１９８６年を飲んだ時の衝撃は、今でも忘れられません。内向的な果実味の秘めやかな存在の奥から、ミネラルの光彩が、その粒子が飛び散るかのように、迫ってきたからです。まさに脳天をクラクラさせる白い霧のようなミネラルで、これこそマルゴーの凄みだなと思い知らされました。１９８６年ヴィンテージは、少し”閉じていた”時期も長かったのですが、５～６年前から、また開き始めました。なんだか、いつの間にかすごい値段になっていますね。この”クロ　デ　レア”は、本当に人気のある畑で、お父さんのジャンさんが手がけていたものは、特に需要が高く、凄まじい値付けで流通しています。ヴォーヌロマネ村らしい艶やかな色気、その中に、この畑らしい土着のしっかりした存在感が滲み出ています。（なぜだか、南部の要素が入った、ローリングストーンズの音色を思い出しました）。ペトリュスの１９９２年は、やはりバランスが良いのです。ペトリュスは、ミネラルと酸の”張り”が強いため、口の中で、ギュン！と暴れる場合があります。それがペトリュスの理解の難しさにつながっていると思います。しかし、１９９２年のポムロールは、柔らかく、酸も、渋みもまろやかなので、口に含んだ時のトロっと”丸い”味わいをしています。だから、理解しやすく、ペトリュスらしい豊かさと、小気味良いミネラルの輝きを、同時に堪能することができます。飲み頃です。１９９５年は、ようやく飲み頃に入っています。熟成の初期から、果実味が豊かで、葡萄の甘さを素直に感じることが出来たので、そこそこ美味しかったのですが、ここ最近、果実味の背後のテロワールの要素が出てきて、完成度が増しています。ランシュバージュは、弾けるような鮮烈な果実味が特徴ですが、この１９９５年はより一層、陰影と深みを増しています。いい迫力です。１９９３年のボルドーは、円やかなバランスが心地よく、飲み頃です。タンニンも丸くて、甘さと酸味を包み込むように柔らかいのです。１９９２年に似ていますが、より一層豊かなタンニンがあり、存在感が大きいのです。この蔵の１９９３年は、かなり柔らかく、奥行きのコクが心地よく佇んでいます。コスはいわゆる”アクが強い”場合が多いのですが、この１９９３年は違います。飲み頃に入っています。１９９６年のブルゴーニュは、４年ほど前まで、果実味が”寝ていて”、今一つ地味な味わいでしたが、最近は急激に美味しさを増しています。柔らかい葡萄の豊かさの背後から、綺麗なミネラルの光彩と、緻密なさんが寄り添うように出てきて、立体感と複雑さが増しています。ヴォーヌロマネ村に近いこの畑は、ルロワさんらしい妖艶さが満開。この媚薬とも言える官能的な味を経験すると、もう止められません・・・。個人的に、ボルドーの１９９０年代のものは（１９９０年を除く）、熟成が若すぎて、私の店ではあまり買うことがありません。しかし、１９９２年、１９９３年は、果実味のバランスが”ちょうど良く”なってきました。飲み頃に入っています。熟成の初期は、果実味がなんだか”ふにゃっと”していて、物足りない味わいでした。しかし、今では、渋みが澱となって底に落ちて、柔らかい果実味のまろやかさが出てきました。甘さもふんわりしていて、ちょうど良いですね。ムルソーの生産者の中でも、彼は最も”緻密で、繊細”な味わいのものを生み出します。コント・ラフォンさんのものとは対照的で、まるでシュヴァリエモンラッシェのような気高さと、シャサーニュ村のようなキメの細かい触感を持っています。２００５年は、熟成の初期は、ボテっと鈍重な果実味でしたが、今では、葡萄の甘さの背後から、綺麗な酸とミネラルの粒子が出てきて、どんどん品が良くなっています。そろそろ、彼らしい本領が発揮されていますね。１９９３年のシャトー・ラトゥール、本当に美味しくなっているんですよね。熟成の初期は、なんだかタンニンが強い割には、内部（コア）の果実味がいまいち薄く、物足りない味わいでした。しかし今では、タンニンが澱となって底に落ちて、柔らかい果実の密度が増して、円やかな味わいになっています。この”トロっとした丸さ”が、まさにシャトー　ラトゥールらしく、今飲むなら、１９９０年よりもこちらをお勧めします。肉厚なのに、拡がる果実味の奥行きが、やはりいいんですよね。１９９３年のシュヴァル・ブラン、とても良いですよ。しっとりした、シヴァル・ブランらし優しい触感と奥行きが、もうたまりません。発売当初は、果実味がぼやっとしていて、とても物足りない味わいでした。しかし今では、１９９３年らしい丸みが、穏やかなバランスが、シュヴァル・ブランらしい品の良さと、ちょうど噛み合っています。モカのような仄かな香ばしさと、赤い果実の純粋なエネルギーが、綺麗な状態で溶け込んで。ポンソのワインって、”果汁が滴り落ちるかのように”、溢れんばかりの豊かさがあります。２００５年は、葡萄がしっかりと熟して、甘さと酸が、口の端からジュワっと沁み出るかのよう。とくに”シャルム（優しい）”シャンベルタンは、この蔵の個性と、畑の本質が一致て、圧倒的な存在感があります。丸みがありながら、余韻に拡がる圧倒的な複雑さ。わかりやすいのに、深遠さが存在していて、間違いなく偉大なワインと言えるでしょう。２０１３年のブルゴーニュは、急激に美味しくなりました！。発売当初は、葡萄があんまり熟していなくて、野菜のような青さが目だってしまって、正直言ってあんまり良くなかったのです。しかし、今では、青さが熟成によって柔らかくなり、隠れていた葡萄の甘さと酸が、ドワッ！と一気に上がってきました！。急激に魅力が増して、ブルゴーニュらしい鮮烈な果実味が、品の良い切れ味が表れています。透明感のあるアルロー家のワインも、例外ではありません。ピュアーな輝きと、溶けそうな酸の美しさが、彼らしい光彩を描いて。２０１９年は、久しぶり”偉大な”ヴィンテージと言えるのではないでしょうか。飲み込んだ瞬間、普通の年では感じることのできない奥行きが、より一層深く存在するのがわかります。豊かさの背後の、畑の持つ本当の個性は、やはりこういう年こそ発揮します。まだ２０１９年は若いのですが、それでも、たっぷりした甘さのおかげで、圧倒的な魅力を今でも発揮しています。普段は”ぼんやり”していて、分かりづらいエシェゾーの個性を、十二分に堪能できるのではないでしょうか。２０１１年は、飲み頃になってきました。発売当初は、渋みが強く、葡萄のジューシーさを、完全に抑え込んで、果実味が潰れてしまって”重たい味わい”でした。しかし、タンニンが固まって澱となって底に落ちて、酒質が軽くなって、葡萄の自然な甘さと酸が浮かび上がってきています。十二分に魅力的で、グロフィエ家のわかりやすい”美味しさ”を、堪能できます。２０１０年のブルゴーニュは、熟成の初期から、酸とミネラルが”ふくよか”で、とても美味しく飲めました。ふわっという柔らかい触感の中から、自然な甘さをトロリと感じて、非常に好ましい味わい。そして、この柔らかい触感の中の甘さが、熟成して蜜のような綺麗なものに変わって、どんどん良くなっています。ラモネらしいふくよかな拡がりと、包容力のある豊かさが、２０１０年というおおらかな器と、ピッタリと合っています。 ”ムートン”の１９８３年は、素晴らしいんですよね・・・。葡萄がしっかり熟して、ムートンの”重厚さ”を、思う存分味わうことができます。葡萄の皮の裏まで熟しているのではと思わせるほど豊かで、カカオやモカのような甘いニュアンスが漂い、余韻が幾層にも重なり合って押し寄せる、その迫力は流石。これぞムートンという存在感で、これを飲んで、嫌いになる方はいないような気がします。

セレクター

吉田　岳史

エレヴァージュ・サード

メディアには一切出ない主義。一度来店したお客様は吉田ソムリエの魔法にかかり95％が常連に。そして海外からエレヴァージュのために来日するゲストも多い。ここでしか飲むことができないレアなワイン、ウイスキー、お茶すべてが洗練された状態で楽しむことができ、海外のゲストは吉田ソムリエのサービスに最も日本らしさを感じると口をそろえる。また、常連客限定のメールマガジンは2800人の会員がおり、フィラディスのスタッフも指南書として日々拝読している。

＜店舗情報＞

https://www.facebook.com/ElevageAzabu/

https://www.instagram.com/elevage_tokyo/

http://regimag.jp/m/magazine/detail/?magazine=557

Sommelier’s Wine List

ジャン・ラルマン・エ・フィス　ブリュット・トラディション　ヴェルズネイ・グラン・クリュ　N.V.(仏シャンパーニュ750ml)

ソムリエのコメント：
コメント本文

産地：フランス / シャンパーニュヴェルズネイ

品種：ピノ・ノワール 80%、シャルドネ 20%

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