フィラディスワインニュース

ワイン詐欺の「ニューワールド」

 

コロナウイルスの影響で多くの企業がオンラインでのワイン販売の売上増加を享受している一方で、新たに急成長を遂げているワイン産業があります。それは「ワイン詐欺」です。

 

詐欺師は単純に偽物のワインを販売しているわけではありません。緻密ななりすましを通して、ワイン業界全体を乗っ取ろうとしているのです。

 

大半のオンライン店舗は正当なものですが、詐欺師はインターネットの匿名性を利用して純粋なワイン購入者を欺こうとしています。最新の詐欺では個人ではなく取引そのものを標的にしているので、一般的に認識されていないことが多いです。

 

ワイン詐欺の手法

この手の詐欺には2つのタイプがあります。1つは偽物のワインを販売する詐欺サイト、そしてもう1つはオーダーをしても実際にはワインが手元に届くことのない詐欺サイトです。近年増加しているのは後者のタイプです。

 

典型的な詐欺の例としては、商品をディスカウント価格でサイトに掲載し、購入者にすみやかに支払いを済ませるように求めます。購入者はオーダーした商品を受け取ることができるかもしれませんが、ボトルの中身は偽物です。もしくは、購入額の50%をデポジットとして先払いして残額を配達時に支払うことを求められ、実際にはオーダーしたワインが手元に届かないというパターンです。

 

しかしながら、最近では実在するオンライン・ワインショップになりすまし、安価な価格で他の小売店舗に商品を販売するという詐欺が横行しています。別タイプの詐欺と同様、DRCやSassicaia、Henri Jayerといった引き合いの強い著名ワイナリーのワインがターゲットになっています。

 

詐欺師は実際の店舗のロゴやラベル、そして従業員の名前までを複製した完璧なデザインのサイトを利用します。また、偽のメールアドレスや広告、電話番号などを使用して安価なオファーリストに誘導するようなシンプルなものもあります。

 

また、本物のオンラインショップのURLを含むものもあります。詐欺師は偽のメールアドレスに直接連絡するように依頼し、そこでディスカウントをするとオファーします。「パンデミックは我々の経営に痛手です。もしすぐに支払いを済ませてくれるのであれば、もっと安い価格をオファーできますよ」というような調子でしょう。彼らは店舗を短期間オープンし、安価な価格で商品をオファーします。そしてある程度の売上が立つと店舗は消滅し、メールの返信が返ってくることはありません。

 

Wine-Searcherはこれらの詐欺が横行している事実を認識しており、管轄区域の地方自治体に実例の報告を入れています。詐欺の多くは偽の「ワイン商」が他のワイン商から金銭をだまし取るものですが、個人が標的になるケースも存在します。

 

「新規の店舗が、信じられないくらい状態の良いLeroyのChamberinを驚くような低価格で販売していたら、詐欺の可能性が高いでしょう。もし商品をオンラインで購入して何か問題があるようであれば、すぐに販売者へ連絡すべきです。そこで満足のいく対応を受けられなかったら詐欺を疑い、銀行やクレジットカード会社を通して支払いの取消しを申請してください。」とWine-SearcherのRoss Brownは述べています。

 

詐欺を見分けるには?

当日中の支払いを求めてくるオンラインショップは詐欺である可能性が高いです。高額商品の購入の前には必ず下調べをすること、積極的に販売者とコミュニケーションをとること、安いオファーからワインを購入する場合は購入先の実態を入念に調べることが重要です。

 

電子決済による前払いを要求し、Stripe(American Express, Visa, MasterCardなどを取り扱う)やPayPalなどの安全なサービスを通した決済を拒否するような店舗からの購入は避けてください。

 

詐欺サイトでは、正当なオンラインショップであれば記載することが法的に義務付けられている、配達やその他ポリシーに関する情報が少ない場合があります。優良なオンラインショップやオークションサイトの場合、クレームや返品に関するページを持っています。

 

施錠された南京錠のアイコンがあり、“https”(Sは“secure=安全”を意味する)で始まるURLのサイトを探してください。

 

ワインに限らずオンラインで商品を購入するのは便利で簡単なことですが、「買い手の危険負担」という昔ながらのアドバイスが重要視されてきたことはありません。注意義務を怠らないこと、販売者を調べること、設立年数を調べること、連絡を取っている人物が実際に勤務しているかを明確にすることを意識してください。

 

サイバー空間は時に無法地帯になることもあるので、注意が必要です。


引用元:https://www.wine-searcher.com/m/2021/03/a-new-world-of-wine-fraud

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