フィラディスワインニュース

偽造ボトルに翻弄されるブルゴーニュワイン

ワインオークションに出品された、世界で最も人気のあるブルゴーニュワイン。
しかしこの真贋性を懸念し、出品された2本のうち1本はロットから除外され、既に販売されていたもう1本は「取り消し」になるという事件が起きました。

大手オークションハウスAcker香港が今年9月に開催したオークションにおいて、2002年の Romanee Conti の6Lボトルが39万8400ドル(約4500万円)で落札されました。その後、11月6日に行われたオークションでは、2000年の Romanee Conti の6Lボトルが同じ所有者から出品され、カリフォルニア在住のワイン詐欺専門家で弁護士の Don Cornwell はこれを非難しました。

 

Cornwellはワインメディア『Wine Berserkers』で次のように説明しています。「 2002年 Romanee Conti のマチュザレム(6Lボトル)は明らかに偽造ボトルでした。2000年のボトルも、過去の偽造ボトルと同じような欠陥があり、(私の意見では)明らかに偽造品であったと感じています。本当の謎は、この2本のボトルがそもそもどのようにして提供されたのか、ということです」

 

Cornwell は、今回の Acker のロットである2002年の Romanee Conti と、2020年10月に Sotheby’s 香港で開催された、香港の富豪 Joseph Lau のコレクションセールにて販売された同アイテムの6Lボトルを比較したと指摘します。

 

「Sotheby’s のボトルの場合、ボトルを Lau が購入した際に Zachy’s で鑑定を受けており、輸入元まで追跡できる出所を持っていた」と、Cornwell は述べています。オリジナルの木箱がない点、ワックスの色が違う点、ラベルの大きさが違う点、印刷が粗い点など、Lau のボトルと Acker のボトルとの間にある15箇所の不一致を挙げています。

 

Acker へコメントを求めたところ、ボトルの最終鑑定を行い、疑惑のあるこのボトルはオークションから削除されたと回答しました。

販売取り消し

「先日のオークションで落札された2002年 Romanee Conti の6Lボトルについてですが、すでにこの落札は取り消されています。ボトルが本物でないことが判明した場合、購入者に対する返金対応を私たちは長年行っています。Acker は自社の鑑定に大いなる自信を持っており、世界でも有数の鑑定士と社内外で連携しています。今年度のオークションでの売上は1億7000万ドル(約194億円)と、世界のオークション市場の40%を占めていることから、お客様が私たちの鑑定に信頼を置いていることは明らかです。今後も、ファインワイン市場における悪質出品者の摘発と防止に全力を尽くす所存です」と、Acker 社は述べています。

 

また、ワイン鑑定社 Chai Consulting の Maureen Downey は、購入したボトルに懸念点があればそれを指摘するよう、ワイン愛好家へ促しています。

 

「この問題は、この情報を明るみに出すために協力してくれた人がいたことから始まったことを理解することが重要です。Don は最初、Twitterで私にコンタクトをしてきました。Donの連絡がなければ、このボトルは私たちの目に留まらなかったかもしれません。Don と私は、ワインが存在する全ての場所にいることはできませんし、全てのカタログやオファーを探し回る時間もありません。このような詐欺に光を当て続けることができるのは、Don のような意識の高いワイン消費者のおかげであることを理解すべきです」と、Downey は語ります。

 

さらに、ワインの偽造手口はますます巧妙になってきているといいます。

 

「私たちのチームは先月、Kurniawan(著名なワイン詐欺師)が偽造したボトルを含む、数本の偽造ボトルを英国内で発見しました。米国では、木箱にラベルを添付し、米国の正規輸入業者/販売業者が輸入、保管、出荷したように見せかける偽造品も見つかっています。これは、売り手や消費者に誤解を与えるものです。詐欺師は本当に上手くやっています。質問や懸念がある場合は、私のチーム( info@winefraud.com )に連絡してください。ワイン業界と消費者が結託しなければ、ワイン詐欺という犯罪に太刀打ちすることはできないでしょう」と、Downey はまとめています。

 

引用元: https://www.wine-searcher.com/m/2021/11/burgundy-sale-reversed-over-fake-fears

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