ピノ・ノワールを数杯飲むだけでコロナ感染リスクが下がるかもしれないという事が、イギリスの大規模な研究で明らかになりました。
まずは良いニュースから。赤ワイン、白ワイン、シャンパンがコロナに感染するリスクを減らす可能性があります。特に赤ワインです!
しかし、ここで少し悪い知らせがあります。ビールやシードルを飲むと、コロナ感染のリスクが高まる恐れがあります。
2022年1月、学術誌『Frontiers of Nutrition』に発表された研究は、英国バイオバンクと呼ばれる長期医療研究に参加しているイギリス人473,957人を対象にしたものでした。英国バイオバンクはボランティアで構成されており、英国国民保険サービスによる年齢に応じた健康のあらゆる側面についての追跡調査を許可しています。
英国を対象とした研究としては不思議なことに、解析は中国の深圳市にある精神衛生センターのメンバーを中心とした6人の科学者によって行われました。彼らは、コロナ陽性のデータと、被験者がどのくらい飲むか、何を飲むかについての自己申告データを相関させることで研究を進めました。
この研究を紹介する前に、これは相関関係のデータであり、因果関係ではないことを心に留めておいて下さい。Wine-Searcherでは昨年、タンニンがコロナウイルスを抑制するという中国の研究について独占記事を掲載しました。この研究ではワインに含まれるタンニンの一部のタンニン酸が、ウイルス内の2つの重要な酵素の活性を阻害することが発見されました。しかし今回は違います。なぜなら、例えば被験者の社会的なステータスといった要因が、赤ワインを飲む/飲まない、マスクをする/しない、クラブのような屋内密集地を避ける/避けない、といった行動と結びつくかどうかの因果関係がわかっていないからです。
ということで、この研究の結果を紹介しましょう。まず、全くワインを飲まない人は、飲む人よりもコロナに感染するリスクが高いという結果が出ました。
赤ワインを飲む人は、コロナに感染するリスクが10~17%低く、他のアルコール飲料の場合と異なり、週に14杯を超えるまでは、その効果は顕著に減退することはありませんでした。これは良いニュースです!
この研究では、白ワインとシャンパーニュを飲む人を一括りにしており、スパークリングワインではなく「シャンパーニュ」という言葉を使っているので、この記事の中ではそれに倣います。白ワインを飲む人は、週に5杯以下ならコロナ感染のリスクが7-8%低いですが、それ以上飲むと保護効果はなくなるという結果でした。
酒精強化ワインを飲む人は、コロナ感染のリスクが12%低いですが、これは週に2杯以下に抑えた場合のみでした。
デメリット
残念ながらアルコールは蓄積されるもので、イギリスのガイドラインである1週間に14杯のアルコール摂取を超える飲酒者は、ガイドライン内に留まる人よりもコロナ感染のリスクが高くなりました。つまり赤ワインは1日に2杯までなら飲んでも良いですが、それ以上飲んではならず、保護効果を期待するなら他のアルコールを飲んでもいけないのです。
この研究で最も興味深いのは、ビールやシードルを飲む人は、週1杯でコロナ感染のリスクが高まり、週5杯以上になるとリスクは28%高まるという点です。これはライフスタイルとの相関関係によるものだと思われますが、それでも世界トップクラスの規模を誇るビール会社アンハイザー・ブッシュ・インベブが自ら公にするような事ではありません。
アルコール摂取量や酒類とコロナ感染による死亡例との相関関係は、この研究では見出すことが出来ませんでした。
以下、数字を削除した研究結果を引用して、膨大なサンプルデータによる基本的な相関データを紹介します。「コロナ陽性であった被験者は、コロナ陰性であった被験者に比べ、教育や健康水準が低く、また合併症も多く見られた。さらに、コロナ陰性であった人に比べ、アルコール飲酒者の割合が少なく、飲酒の頻度も、飲酒量も少なかった」
この研究は、いくつかの原因因子を提唱していますが、それらを研究しているわけではありません。研究著者は、赤ワインに最も多く含まれ、血圧低下や炎症抑制などの健康効果があるとされるポリフェノールが要因ではないか、と考えています。
とはいえこの研究の結論に記されている文章は、ワイン・インスティテュートが祝福したくなるような内容です。
「赤ワインはコロナ感染のリスク低下と関連していたため、全ての成人に推奨されることは注目に値する・・・ビールとシードルの消費は、アルコール消費の頻度と量に関わらず推奨されない」
引用元: https://www.wine-searcher.com/m/2022/01/wines-potential-covid-protection
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