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白への道を歩むローヌ

ローヌは赤ワインで有名ですが、白ワインも消費者の注目を集めています。


ローヌ渓谷のワイン生産者たちは6月下旬、ローヌのワインには様々な色があることをワインのバイヤーに示すためにアメリカ宣伝ツアーを行いました。

 

ローヌの3つのアペラシオンの会長であり、Inter-Rhôneの役員でもあるThomas Giubbiは、10年前はローヌワインの5%強が白ワインだったと語ります。しかし、白ワインの消費量は世界中で増加しており、特にローヌワインの64%が販売されているフランスでは顕著です。(コート・デュ・ローヌのワインは、ローヌ渓谷の生産量の48%を占め、パリのビストロ・ワインの代表ボジョレーに匹敵する)

 

Inter-Rhôneは、白ブドウの作付けを増やすよう生産者に働きかけており、2022年には白ワインの比率が10%近くになるとGiubbiは言います。

 

「私たちは5年後にはその倍を目指しています」とGiubbiは語ります。

 

これは莫大な事業で、この地域の全ブドウ木の10%を転換するのです。新しい植栽はあまり進んでいません。なぜならば、バルクワインの供給が滞っているため、この地域の一部の生産者は、ボルドーをはじめとするフランスの他の地域で行われているように、EUに余剰ワイン(主に赤ワイン)を買い取ってもらい、蒸留してもらうよう要請しているような状況だからです。2022年のローヌ地方のボトルワインの生産量は5年前より12%減少しましたが、市場に全て吸収されるような状況ではなく、まだ多すぎます。

 

「赤ワイン離れの背景には、食事中にワインを飲む習慣が減ってきたからだ」とGiubbiは言います。「食前酒として、あるいは単独でワインを飲む人が増え、その多くが白ワインを選ぶようになりました。フランス市場は白ワインに対して非常にダイナミックです。また、これは世界中で見られることです」。

 

今年、ジゴンダスは白ワインのAOCに認定されました。初めての白認定です。1971年にジゴンダスが赤ワインのAOCに昇格したとき、ほとんどの生産者は白ブドウの木を切り倒したのです。白ブドウを残した数少ない生産者は、コート・デュ・ローヌの白として販売しなければなりませんでした。

 

現在、AOCジゴンダスの白ワインは、クレレットを70%以上使用しなければなりません。他の9種類のローヌの白ブドウは認められていますが、ヴィオニエとユニ・ブランは最大5%に制限されています。

 

Pierre Amadieu wineryの経営者、Jean-Marie Amadieuによると、彼の祖父は1970年代に8haのクレレット畑を残したのですが、近隣のワイナリーは皆切り倒したのです。なので、彼のワイナリーはクレレットの古木を所有している数少ないワイナリーのひとつなのです。Amadieuは、白のジゴンダスは100%クレレットであればより良いワインになるだろうが、それを基準にして白ワインを造れる生産者はまだ多くありません。とにかく早くAOCステータスを取得することが最も重要でした」と言います。

 

「クレレットは温暖化に適応している」とAmadieuは言います。「摘房をするなど畑で多くの仕事を要求する品種です。シュナン・ブランのような品種です。収量が多ければ希釈されます。1970年代、クレレットは、高収量、低アルコールでジュースのような水差しワイン、労働者が日常的に飲むワインでした。適切な時期に収穫されたクレレットの典型的な特徴は、グレープフルーツとフローラルです。そしてアプリコット、アニス。とてもデリケートです。口に含むと、余韻の長さと塩味、そしてフィニッシュにエレガントな苦味が感じられます。2杯目を誘うワインです」。

 

赤く熱い問題

ジゴンダスの赤ワインが2020年のワイン・スペクテーター誌のトップ100で22位にランクインしたAmadieuは、ローヌの供給過多の問題を解決するには、より精妙に造られた白ワインが必要だと語ります。

 

・ヴァレーには大きな危機があります。赤ワインの生産量に問題があります」とAmadieuは言います。

 

「白ワインは好調です。ワインの概念が変わりつつあります。人々は低いアルコール度数を好むようになりました。白が人気です」。

 

Evan Goldstein MSは、ローヌワインのマスタークラスで、最高のローヌの白ワインの多くは輸出されておらず、輸出されていても愛好家の目に留まらないことが多いと語ります。Goldsteinは、赤ワインの産地として知られるエルミタージュを例に挙げ、ワインの35%は白ワインだと述べました。

 

「エルミタージュの白ワインは過小評価されています」とGoldsteinは言います。「何十年も熟成できるワインです」。

 

ローヌはまた、歴史的に最も過小評価されているロゼの産地でもあります。タヴェルは、AOC制度が導入された直後の1936年にAOCに認定されたため、フランスで最も古いAOCのひとつです。中世以来、タヴェルは濃いスタイルのロゼで知られ、しばしば軽い赤ワインと形容されてきました。スタイル的には、タヴェルはアンチ・プロヴァンスであり、風味のない淡いロゼに対する業界の反発の恩恵を受け始めているのです。

 

アペラシオン・タヴェルの会長でもあるGiubbiは、「・ロゼのビジネスは、ワインの特徴が際立っているため、活況を呈しています」と語ります。「タヴェルのブドウ栽培者たちは、より淡いスタイルのロゼに移行するかどうか悩んでいました。しかし、私たちは、明るい赤ワイン、あるいは濃いロゼで歴史を刻んでいくと決めたのです」。

 

ローヌの商人にとって、アメリカツアーは輸出を増やすための重要な一環でした。英国は、おそらくブレグジットの問題により、5年前にローヌの輸出市場のトップから転落し、現在は数量ではベルギー、金額では米国がトップになっています。アメリカは南ローヌと北ローヌのクリュ・ワインを他のどの国よりも多く購入しています。Giubbiは、この産地の目標は輸出を50%まで増やすことであり、そのためにはアメリカ市場が必要だと語ります。

 

他の産地と同様、ローヌも気候変動による課題に直面しています。アルコール度数が高くなる傾向にあるグルナッシュは、今でも最も多く栽培されています。シラーよりもグルナッシュの方が50%も多く、3番目に多く栽培されているカリニャンの8倍もあります。

Giubbiによると、ローヌ南部の生産者の中には、グルナッシュの代わりにシラーに植え替えているところもあるようです。ローヌ南部のワインのほとんどはブレンドなので、ブドウ栽培者はシラーとグルナッシュの比率を変えることで徐々に適応していくことができるのです。Giubbiは、ローヌが高品質のワインを造るのに温暖すぎないことを説明するために、緯度について言及します。

 

「私たちはナパ・ヴァレーと同じ緯度ですが、価格は3分の1です」とGiubbiは言います。

 

 

引用元: Rhône Gets on the White Road

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