フィラディスワインニュース

ボルドーを襲う火災、ヴィンテージへの懸念


ボルドーとスペイン中部において、2026年ヴィンテージの話題の中心は火災です。フランスのEmmanuel Macron大統領は7月下旬にボルドーを訪問し、「現在直面している状況は、記録上最も深刻であり、第二次世界大戦以降で最悪の事態です」と述べました。

 

一方、オレゴン州東部の広い範囲でも火災が発生しています。ただ幸いなことに、現時点ではウィラメット・ヴァレーからは十分に離れているため、ヴィンテージへの影響はないと見られています。カナダではブリティッシュ・コロンビア州が山火事の脅威に晒されています。オカナガン・ヴァレーのワイン産地では火災は発生していませんが、この地域は3年連続の干ばつに見舞われており、水の使用制限が発令されています。

 

多くの地域で記録的な猛暑と乾燥が続くなか、まだ7月を迎えたばかりであることを考えると、今後さらに事態が悪化する可能性もあります。

 

まず最初に、この甚大な人的被害よりもワインへの影響を優先して報じることをお詫びしたいと思います。ボルドーでは20万人以上が避難を余儀なくされました。鉄道は運休し、郊外の自宅を離れた人々は、ボルドー市内の公共施設に置かれた簡易ベッドで、そこからの再避難を迫られないことを祈りながら避難生活を送っています。7月下旬のボルドーの気温は2日連続で40℃に達すると予報されており、週末まで雨の兆しはありません。避難者の方々、そして凄まじい酷暑のなかで消火活動にあたる何千人もの消防士の方々に心よりお見舞い申し上げます。

 

残念ながら、ボルドーの栽培家たちが自宅へ戻ることができたとしても、自らの畑がこれまでにジロンド県で焼失した約40,500haの中に含まれていなかったとしても、2026年ヴィンテージを失う可能性に直面することになるでしょう。

 

ボルドーワイン委員会(CIVB)の広報責任者であるChristophe Chateauは7月下旬、ロイター通信に対し「名高いボルドーの主要産地は影響を受けていない」と語り、この地域のワインにとって最大の懸念は火災ではなく干ばつであると付け加えました。それは事実かもしれませんが、2026年ヴィンテージのボルドーは販売面で極めて困難な状況に置かれる可能性があります。

 

それには3つの理由があります。第1に、この極端に暑い夏の影響で、火災がなくても素晴らしいヴィンテージになる見込みは薄かったという点です。ボルドーでは6月に過去最高の42.1℃を記録し、夏を通じて高気温が続いています。これはバランスの取れたワインを造るための条件とは言えません。

 

第2に、一部のブドウ畑(現時点ではどの畑かは特定できていません)が煙害の影響を受ける点です。技術を用いて煙害を受けたブドウを飲めるワインに変えることは可能ですが、それによって本来の風味も損なわれてしまいます。

 

第3に、最も深刻なのが「風評(イメージ)」です。火災の進行状況は「予測不能」と表現されています。ボルドーのワイン産地は広大です。7月下旬の時点で、火災はボルドー市の南側で最も危険な状態にあるため、サン・テステフやポイヤックに比べて、グラーヴやペサック・レオニャンの方が遥かに大きな脅威に晒されています。しかし、ネゴシアンや消費者が2年~3年後に2026年産のボルドーワインの購入を検討する際、今年の山火事の詳細な地図を思い浮かべる人はほとんどいないでしょう。2026年はボルドーにとって「火災のヴィンテージ」となり、まったく被害を受けなかったワイナリーであっても、ワインの販売には苦戦を強いられることになります。

 

朗報があるとすれば、今のところ火災の大部分がフランス南西部に留まっている点です。フランスの他の多くのワイン産地は影響を受けていません。ただし、酷暑自体はどの地域にとっても課題となっています。

 

スペインでは、国際市場向けワインへの影響は比較的小さいと考えられます。最も深刻な山火事はマドリードの南西で発生しており、スペインを代表する高級ワイン産地からは大きく離れています。しかし、カスティーリャ・ラ・マンチャは煙の通り道となっており、ここではスペイン産ワイン全体の約3分の1が生産されています。7月下旬、スペイン政府はマドリード州、ならびにカスティーリャ・ラ・マンチャ州のアビラ県とトレド県において、機械収穫機の使用を一時的に禁止しました。この措置と煙害リスクにより、2026年のスペイン全体のワイン収穫量は減少するとみられます。

 

さらに、スペインの地中海沿岸に位置するバレンシア近郊でも別の山火事が発生し、避難を余儀なくされました。

 

幸いなことに、リオハ、リアス・バイシャス、リベラ・デル・ドゥエロ、ルエダ、ペネデス、プリオラートなどはかなり離れており(スペインは広大で、カリフォルニア州よりも大きく、英国の2倍以上の面積があります)、現時点ではこれらの高級ワインが火災や煙の影響を受けることはない見込みです。

 

スペインのブドウ畑は、フランスよりも長年にわたり高温への適応が進んできました。その理由は、テンプラニーリョのような高温に適した品種を栽培していること、そして成熟を急がせるのではなく、むしろ成熟を緩やかに進める栽培技術を採用していることにあります。実際、フランスの労働相Jean-Pierre Farandouは、スペイン人がどのようにして極端な酷暑に対処しているかを学ぶため、9月にマドリードの閣僚らを訪問する調整を行いました。

 

「フランスは、夏になると自国がスペインのようになっていくことを実感しています。スペインは私たちに似た国であり、暑いなかでも機能することがわかっています」とFarandouはNew York Timesに語りました。

 

カナダでは、山火事シーズンが非常に深刻となっています。7月下旬時点で、ブリティッシュ・コロンビア州では133件の山火事が発生しているとBC Wildfire Serviceが発表しました。最も深刻な火災は主要ワイン産地であるオカナガン・ヴァレーの遥か北西で起きていますが、オカナガンの西約160kmでも避難指示が出されています。煙がそこまで届かないことを願うばかりです。

 

オレゴン州に関しては、火災マップは非常に厳しい状況を示しています。7月中旬の一連の雷雨によるドライ・ライトニング(雨を伴わない落雷)が、20件以上の山火事を引き起こし、その多くが現在も燃え続けています。幸いなことに、煙は太平洋沿岸のウィラメット・ヴァレーから離れ、東へと流れる傾向があります。また火災の多くは、ワシントン州のワイン産地よりも南側の地域に留まっています。今のところ、アメリカ北西部は山火事の問題を抱えているものの、ヴィンテージそのものを失う状況には至っていないようです。

 

明るい話題を挙げるとすれば、アメリカ西海岸全域で2026年は例年よりも生育が早く進行していることです。萌芽も開花も早く、収穫も早まると予想されます。

 

ブドウを煙害から守る最善の方法は、山火事が到達する前に収穫してしまうことです。あとは……幸運を祈ります、。私たちの心は皆さんとともにあります。

 

引用元:Vintage Fears as Bordeaux Burns

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