健康をとるか、無給を取るか
山火事とコロナウイルスの対応で農業従事者は非常に危険な状況に置かれています。
カリフォルニアのワイナリーでは、8月の山火事の間も収穫で大忙しでした。
濃い煙にもかかわらず、許可を得て農業従事者たちを畑へ収穫に向かわせるところもありました。
健康に悪いというレベルから命の危険にまで及ぶスモッグの環境下でブドウを収穫する人々は、厳しい選択を迫られています。
健康を危険にさらして働くのか、給料なしのまま家でおとなしくしているのか。
カリフォルニアの議会議員ロバート・リバスはワインサーチャーの取材に対し「収穫をしない場合はブドウが大量に残ることになりますが、これも問題です。
なぜなら農業従事者が仕事を失うことになるからです。
彼らの多くは不法滞在者であり、失業などの給付の対象ではありません。
彼らの多くはその日暮らしの生活で、働く以外に選択肢がないのです。
パンデミックであろうと深刻な山火事であろうと、彼らは仕事を続けるしかないのです。」
Cal/OSHA(カリフォルニア州労働安全衛生課)のガイドラインでは、各農業従事者はシフト毎にN95マスクを着ける必要があるとしています。
しかし、ワイナリーにはそれほど多くのマスクがないのが現状です。
「残念なことに、コロナウイルスが拡大し始めた今年の初めに、多くのワイナリーがN95マスクを医療現場に寄付したのです」と、カリフォルニアブドウ栽培者協会(CAWG)の政府関係部長であるマイケル・ミラーは述べました。
「山火事が起きている今、私たちは手元にマスクがないのです。」
農業従事者の生活環境
カリフォルニアのワイン産地では、初夏に農業従事者たちの間でコロナの集団発生が報告されました。
彼らは密の中で生活し、車やバスで一緒に通勤しているという実態があります。
7月、ナパでは3棟の住宅センターに住む180人の中から30名の陽性反応者が発表されました。
住宅センターは安価な住宅の不足へ応えるものでしたが、2名1室でバスルームとキッチンが共同という造りでした。
また、モントレーとサンベニートでは、10世帯に1世帯が過密状態で生活しており、少なくとも1人は必須労働者がいると考えられています。
リバスは「農業従事者たちは煙による健康リスクがあるにもかかわらず、選択の余地がないために働かなければなりません」と語ります。
「彼らは病気休暇も危険手当も取得しません。家にいることはできますが、それでは給与を受け取ることができませんし、仕事の継続も保証されません。」
2020年のブドウの出来
「こうしたニュースを見ていると、今年のヴィンテージをキャンセルすべきか迷うかもしれませんが、2020年のワインを見捨てないで下さい」とヨルダンヴィンヤード&ワイナリーのマーケティング兼コミュニケーション担当ディレクター、リサ・マットソンは言います。
「霜の恐れのない暖かい冬とブドウが平等に結実した穏やかな春がありました。
夏はかなり暑かったですが、温度の急上昇は一時的なものが数回しかなかったため、ロシアン・リバーのシャルドネは非常に健康的でバランスが取れており、日焼けはほとんどありません。
シャルドネの収穫は少なく、例年より約20%減少しています。
アレクサンダーバレーのカベルネソーヴィニヨンの収穫は平均的ですが、非常に濃い果実の風味で満たされています。クラシックなヴィンテージで、可能性があります。」
引用元:https://www.wine-searcher.com/m/2020/08/vineyard-workers-face-unhealthy-choices
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