カリフォルニア北部では35日間にわたって降雨がありませんでした。
4月中旬、カリフォルニア州知事Gavin Newsomはソノマとメンドシーノに干ばつ緊急事態宣言を発令し、乾燥したメンドシーノ湖の湖底から記者会見を行いました。
しかしながら、Newsom知事はパンデミック禍における州知事命令で反発を招き、国民解職の危機に直面しているため、芝生の水やりや洗車における水の使用まで制限しうる州全域に対する干ばつ宣言を出すまでには至りませんでした。またオレゴンの州境でも干ばつの被害は深刻で、州の大部分が水不足に陥っています。
現段階ではソノマとメンドシーノの農業従事者に対して節水の要求は出されていませんが、除外の対象になっているわけではありません。
「以前の干ばつでは対象を絞った節水要求を用いて、ロシアン・リバーに位置する4つの支流の漁業を保護し、水の供給をコントロールしました。今年度の貯水池の貯水量は去年の干ばつ時よりも極めて減少しています。水利権の削減要求といった州の規制を未然に防ぐために、人々は協力し合っています。もしこれが上手く行かなければ、我々は州からの規制に従わなければならないでしょう」と、州の水源管理団体であるState Water Resources Control BoardのJackie Carpenterは語っています。
予測される影響
水不足は2021年のカリフォルニアワインに大きな影響を与えるかもしれませんが、どのような影響があるかは少し複雑です。
ワイン業界にとって、干ばつは良い面もあれば悪い面もあります。長期にわたる干ばつは、塩分が土壌中に蓄積されるためブドウ樹にダメージを与える可能性があります。また、若樹は多くの水分を必要とするため新たに植樹をすることが困難になりますし、収穫量が減少する恐れもあります。
しかしながら干ばつがワインの質向上につながることもよくあります。ブドウ樹はより小粒で、凝縮感のあるブドウを生みだすことが出来るためです。特にカベルネ・ソーヴィニョンにおいては、ワイナリーが望むような高品質のブドウになります。
さらに、仮に収穫高が減少したとしても、現在でのカリフォルニアにおいては大きな問題ではありません。2年前、カリフォルニアでは余剰なブドウが存在しており、状況は緩和されたものの短期間の収穫高減少はむしろ生産者にとっては好都合なことなのです。
農業慣行の調整
ソノマの生産者団体で代表を務めるKarissa Kruseは、生産者向けに節水に関するウェブ会議を企画しているそうです。「我々は、水の削減、水質、土壌内水分の監視などを含む、持続可能な水保全に関する多くの取り組みを行っています。生産者たちは水保全に長年取り組んでおり、カバークロップや剪定、摘房といった農業慣行の調整を行ってきました。」と、Karissaは語ります。
ソノマの栽培家Steve Sangiacomoによると、彼の家族はブドウ樹ごとに必要な灌漑の量を測ることができる灌漑技術を用いているそうです。
「我々は灌漑の削減に取り組んでいます。通常、赤品種は少ない水分量のほうが品質面で恩恵を受けることが出来ますが、ブドウ樹が弱らない程度の水分を与える必要があります。もし十分な水分を得ることが出来なければ機能しなくなってしまいます。」
ヨーロッパかぶれの人は無灌漑農法を勧めるかもしれません。カリフォルニアの一部畑では無灌漑農法に従事していますが、定期的な降雨に頼ることができさえすれば、乾地農法のほうがよっぽど簡単です。
乾燥した夏の見込みは、近年のカリフォルニアワインに混乱を引き起こした山火事への懸念が高まります。醸造家Randy Dybb率いる生産者団体が、火災が発生した際に上空から放水できる農業用の航空機を2機リースするために150万ドルの寄付の申し入れを行いましたが、ナパ郡は断りました。カリフォルニア州森林保護防火局がそれに反対し、ナパに放水用のヘリコプターを常駐させることを約束しましたが、他で火災が発生した際はそちらで使用するヘリコプターが稼働できないという条件が付いています。
他の農作物と比較すると、ブドウ樹は少ない水分量でも夏を乗り切ることが出来ます。「ブドウが強い干ばつ耐性を持っていることは、不幸中の幸いかもしれません」とSangiacomoはまとめています。
引用元：https://www.wine-searcher.com/m/2021/04/drought-emergency-for-northern-california-wineries
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