多くの地域で収穫が順調に進み、カリフォルニアの生産者は慎重ながらも2022年の収穫を楽観視しています。
9月第一週、カリフォルニアのブドウ栽培農家は、45℃に達する熱波の到来が予想されたため急いでブドウの収穫を進めていました。
このように早く収穫ができているのは、多くの場合、ブドウも早く成熟したからです。カリフォルニアは大きな州なので地域によって状況は大きく異なりますが、一般的には、2022年は旱魃が続く中、穏やかな冬を経て、ほとんどの場所で穏やかな夏となりました。多くの場所でブドウ木が早く目覚めたため、成熟の時期が早まったのです。
「多くの人が白ブドウをセラーに持ち込んでいるところです」
Napa Valley にある Sullivan Rutherford Estate のワインメーカー、Jeff Cole は9月2日の時点でこう話します。
「8月末にはたくさんのメルローを持ち込みました。収穫は9月5日以降から本格化していきます。今週末は暑い予報なので、鮮度を保つために沢山のブドウが搬入されるでしょう」
Language of Yes wines のワインメーカー、Randall Grahm は、Central Coast の産地のほとんどで収穫が予定より早く進んでいるといいます。
「Central Coast、Paso Robles、Monterey County 南部も早く進んでいます。Hollister と Cienega Valley もそうです。Santa Cruz Mountains は特段早いとは思いません。2022年は特に暖かいというわけではなさそうですが、生育スピードが早いです。生育スピードの早さはどれだけ乾燥していたかの指数と言えます」
私は以前、早めの収穫は、山火事の前にワイナリーがブドウを収穫できるため良いことだと記しました。そしてこの時期にワインメーカーと話をするときは、「山火事」という言葉を使わない方が良いほど彼らにとって繊細な問題です。幸運にも今年は今のところ何もありません。(そしてこれが続く事を願っています)
“早い収穫“について、Grahm はこう話します。
「長いハングタイムを取れば取るほどブドウの風味と複雑性は高まります。すべてのものにはそれぞれの時間があるのです。あなたも長く、良い人生を送りたいでしょう?ブドウも同じで適度な時間が必要なのです」
「早い」といっても、カベルネはこの中に含まれていないことを心に留めておいてください。白ブドウは凄い速さで収穫されており、既に黒ブドウも驚くほどたくさん収穫されています。しかし、同時にこの週末の暑さの中でもブドウ木にぶら下がって、これからの涼しい季節を待っているブドウもたくさんあります。
Paso Robles で同名のワイナリーを所有する McPrice Myers は、今年初めてブドウ木に遮光布をかけたといいます。
早いヴィンテージ
Paso Robles にある Alta Colina のワインメーカー、Molly Lonborg は2022年を「私のキャリアの中でも圧倒的に早いヴィンテージ」と呼んでいます。
「生育期間の気温で見ると、今年は過去10年で最も暑いヴィンテージの一つになります。Paso Robles の記録的に暑いヴィンテージのひとつである2017年にかなり近いです。主な違いは、2017年には43度の日が連続する熱波が複数回あったことです。今年は猛暑のイベントが少なく、一貫して暑い日が続いています」
さらにこう続けます。
「今のところ、白の品質レベル(糖度と酸度の比率、フレーバー)は素晴らしいです。成熟期に入った黒ブドウも畑で食べたところ良い味わいで、すでにかなり色づいています」
私が話を聞いた限りでは、2022年に平均以上の収量を期待している人は誰もいないようです。旱魃がそうさせるのでしょう。とはいえ、旱魃の年は高品質なワインに仕上がることが多いです。
Alma Rosa Winery のワインメーカーである Samra Morris は、こう話します。
「Sta. Rita Hills AVA は旱魃の年であるため低収量が予想されますが、果実がゆっくりと均一に熟しているため、得られるワインは非常に凝縮したものになると予想しています。2022年の Sta. Rita Hills の収穫は、品質面で素晴らしいものになりそうです」
標高の高い El Dorado County とその周辺の高級ワイン産地では、このエリアだけに影響を与えた深刻な霜害のため、今年は収穫時期が遅れているようです。
Boeger Winery のワインメーカーである Justin Boeger はこう話します。
「霜が降りなかったブドウ木は、素晴らしい品質が期待できそうです」
「ただ、厳しい晩霜によりブドウ畑の3分の1が壊滅的な打撃を受けました。収穫量を増やす必要があった年なので、まさに二重苦でした。しかし収穫量は減ってしまいましたが、残った果実の品質は素晴らしく、ワインにするのが楽しみです」
ワイナリーにとって今年新たに浮上した課題は樽不足でしょう。サンフランシスコ・クロニクル紙が今月初めに報じたところによると、オークランド港の作業停滞により、樽を載せたコンテナが港で立ち往生し、フランスの樽メーカーの営業担当者も樽を回収できないでいるとのことです。2022年の収量が多ければもっと大きな問題になっていたでしょうが、樽発酵を希望するワイナリーにとっては頭の痛い問題です。
「まだ受け取っていない樽メーカーのものが幾つかあります」と Sullivan Rutherford Estate のワインメーカー、Cole は言います。
「樽メーカーの営業担当者はコンテナから樽を取り出したと断言しています。樽の調達自体は問題ないでしょうが、受け取りは…恐らく簡単ではなさそうです。現時点で必要な樽の70パーセントはワイナリーに揃っています。これから3〜4週間後でその樽の大半が必要になります。もしその時に十分な樽が揃っていなければ行き当たりばったりで対応するしかありません。ワインはタンクで置いておくしかないでしょう」
そして来るべき時に備え、Cole はこう続けます。
「今まで乗り越えてきた予期せぬ経験の数々を踏まえながら、とにかく浮き足立たないようにしています」
引用元: https://www.wine-searcher.com/m/2022/09/california-harvest-races-to-beat-the-heat
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