カリフォルニアのブドウ栽培者にとっては波乱万丈の年でしたが、その結果は消費者には気に入られる事でしょう。
カリフォルニアのワイン生産者は、2022年のヴィンテージについて、長い間不安定だった収穫が最終的に完璧にまとまったと、ポジティブな発言ばかりしています。
ワイン・インスティテュートが11月上旬に発表したレポートによると、カリフォルニアは「労働者の日」(9月の第1月曜日)の熱波によって収穫時期が早摘みと遅摘みに分かれ、2つの収穫物語が生まれたという事です。州全体で収穫が終了する中、レポートによると、ブドウ栽培者は2022年には「素晴らしい凝縮感と複雑さを持つ記憶に残るワイン」が生まれると予測しています。
ノース・コーストでは、初夏まで理想的な天候で生育期を迎えましたが、8月下旬から長く続いた暑さにより収穫が早まり、一部の品種で収穫量が減少しました。ローダイとシエラ・フットヒルズでは、春先まで穏やかな天候が続きましたが、その後霜が降り、収穫量が激減しました。
今年の収穫時期はまちまちで、ナパを含むいくつかのアペラシオンでは例年より 1ヶ月早く収穫が始まり、パソ・ロブレスのように収穫が長引いたところもありました。ノース・コーストでは、生産者は8月中旬に早くも一部の赤ワイン品種を収穫しました。「労働者の日」の熱波により、いくつかの地域では多くの品種が同時に成熟し、ブドウ園とワイナリーの醸造チームは、タイトなスケジュールの忙しい収穫となりました。
セントヘレナにあるDuckhorn Vineyardsのワイン醸造担当副社長、Renée Aryは、「生育初期は、豊富な早期の雨と素晴らしい春と夏の天候で、理想に近い状態でした」と語ります。
労働者の日の暑さがこの地域に記録的な高温をもたらし、その後9月中旬に雨が降ったため、ワインメーカーは綿密なブドウの選果を行う必要に迫られました。
「2022年のワインは、前のヴィンテージよりも少し凝縮感があると思います、特に気温の高い谷の上部に位置するAVAで造られたものがそうです」とAryは言います。「カベルネ・フランとプティ・ヴェルドは過去最高の出来栄えで、シャルドネは明るく生き生きとして、バランスが良く、味わいの焦点が定まっています。熟成の幅を考えると、2022年ヴィンテージは早摘みと遅摘みのバランスを取りながらブレンドすることが重要でしょう」
Silver OakとTwomey Cellarsでは、収穫は猛烈に早く行われました。穏やかな夏の後、熱波が収穫を加速させ、これにより全体の収穫量が15~20%減少しました。気温が下がってからは、のんびりとしたペースで収穫が続けられました。
ワイン生産担当副社長のNate Weisは、「かなり強烈なヴィンテージで、凝縮したパワフルなワインになると思います」と語ります。「品質的には、全ての品種が素晴らしい出来栄えでした」特にロシアン・リヴァー、アンダーソン・ヴァレー、サンタ・ルシア・ハイランズのピノ・ノワール、そしてメルロー、カベルネ・フランに感銘を受けたという事です。「桁外れに良い品質です」
セントヘレナのAlpha Omegaとサン・ルイス・オビスポのTolosa醸造家兼マネージメント・パートナーであるRobin Baggettは、収穫開始時期が幅広いことを指摘します。「Alpha Omegaでは、いくつかの畑で昨年より4週間も収穫が早まりました」
労働者の日の前後に猛暑が続いたため、ブドウ園のチームは迅速かつ戦略的に収穫する必要があった事を彼は指摘します。「早い時期に収穫された果実は、色濃く、複雑なアロマがあり、硬いテクスチャーです。一方、猛暑の間、ブドウの木に残っていた果実は、より熟し、タンニンが柔らかく、フレーバーが凝縮されています」と語ります。「カベルネ・ソーヴィニヨンの品質は全体的に非常に高く、強いストラクチャーとテロワールに由来する特徴を備えています。プティ・ヴェルドやマルベックも非常に良い出来栄えでした」
ナパ以外の状況
ソノマ郡グレン・エレンのBenziger Family Wineryは、10月中旬前に収穫を終えましたが、これは2004年以来最も早い収穫の終了でした。「これは記録的なことです」と、ワイン醸造ディレクターのLisa Amaroliは言いました。「熱波の後に雨が降って“鞭打ち効果”が発生し、一旦糖度が上がり、雨の後に糖度が下がったのです」
生育期は一貫して穏やかで、健全なキャノピーが得られました。労働者の日にソノマ・コーストのワイナリーの敷地で気温が40度に達するまでは、早期収穫の兆しがありました。このため、いくつかのブロックでは糖度が高くなり、収穫のペースが速くなりました。9月の雨はブドウの木をリフレッシュさせ、残りのブドウがもう少し長く木に留まる事ができるようになり良かったです。
「ソノマ郡で収穫されたすべての白ブドウ品種は見事な形で、とても風味豊かで、酸のバランスが良いです」とAmaroliは言います。「ピノ・ノワールとカベルネ・ソーヴィニヨンの畑では、収量が少ないとはいえ、良い年でしたし、マルベックとカベルネ・フランは豊富でバランスが良く、フルーティーな味わいでした」
ローダイとクラークスバーグ地域のブドウ栽培者は、4月の大きな霜害で収量が激減するなど、今年も困難に遭遇しました。
「ノース・デルタとクラークスバーグのソーヴィニヨン・ブラン、シャルドネ、ピノ・グリージョの一部は全滅かと思いましたが、結果的には大丈夫でした」とアカンポのLangeTwins Family Winery and Vineyardsのブドウ園運営副社長のAaron Langeは言います。このワイナリーでは、これらの品種の収量は通常の約25%でした。
モントレー郡も、シーズン初めの気温の変動と、ヴェレゾン期と9月初めの熱波のために、厳しい状況に直面しました。特にシャルドネとメルローは熱波により収穫量が減少しましたが、9月の熱波はしっかりと予測されていたため、ワイン生産者は先手を打って灌漑措置をとる事ができました。収穫は平均より10日ほど早く、複数の品種が同時に熟すなどあり、迅速かつ早いスタートを切りました。
ソレダッドのScheid Vineyardsで副社長を務めるHeidi Scheidは、「明るい側面もあります」と語ります。「小さな房と小さな果粒が、顕著な複雑さと力強さをもたらしている事がわかりました。2022年ヴィンテージは非常に良い品質、場合によっては本当に例外的な品質であると見ています」
パソ・ロブレスでは、収穫が早期に開始されたため、ブドウ栽培者は、品質、タンクスペース、作業のスケジュール調整を管理するために、総合的な知識を活用する事が求められました。
パソ・ロブレスのHope Family Winesでヴィンヤード・ディレクターを務めるStasi Seayは、「困難はありましたが、私たちは楽観的で、2022年ヴィンテージはパソ・ロブレスで最も記憶に残るワインに匹敵する素晴らしいワインを生産できると期待しています」と述べています。
生育期は順調に始まり、霜の発生も少なく、開花・結実期には温和な天候に恵まれたとSeayは語ります。6月の収穫予想は、現在進行中の旱魃のため平均をやや下回り、夏は労働者の日の週末まで猛暑がなく、典型的な天候でした。高温が続いたため、ブドウ木の活動が止まり、最後の色づきが遅くなりました。その後、季節外れの雨が降り、秋には暖かい天候が続き、ハングタイムと果実の成熟を促しました。
8月上旬に始まり10月末まで続く、この地域では異例の長い収穫となりました。Seayは、「畑とワイナリーの両方での我々の努力により、このヴィンテージは際立ったものになるだろうと楽観視しています」と述べます。
サンタ・バーバラ郡サンタ・マリアのMiller Family Wine Companyは、予定より1週間早く8月8日に収穫を開始しました。今シーズンは、夏まで続く素晴らしい生育条件に始まり、その後、異常なまでの暑さが成熟を加速させました。収穫量は平年を下回ったものの、果実の品質は高く保たれました。
ブドウ園の責任者であるGreg O’Questは、「乾燥した冬にもかかわらず、ブドウ園はよく応えてくれた」と言います。「最小限の雨で、ブドウの木に必要な水を供給できないため、予想より早く補助的な灌漑を開始しました」
3月第1週の均一な芽吹きと穏やかな霜の季節を経て、春の終わりには非常に風が強く涼しい結実の条件となりました。夏は理想的な天候に恵まれ、38度を超えたのは数日だけでした。7月には典型的な高温となり、害虫の被害は最小限にとどまりました。「2022年ヴィンテージは、夏の気温が平年並みで、8月の暑さが来る前にキャノピーを完全に発達させることができました」とO’Questは語りました。
引用元: California Produces a Classic Vintage
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