世代が変われば、シャルドネ国の方向性が変わるかもしれない。
Pierrick Larocheの父親は主に穀物農家で、シャブリのすぐ北に200haの穀物畑を持っていました。彼はシャブリの小さな畑を少しずつ拡大することには十分精通していましたが、ブドウは全て協同組合に売却していました。
36歳のLarocheは、後を継いだとき、父親とは違うことをしたいと常に考えていました。
「私は若い頃いつも畑で両親の仕事を手伝っていました」とLarocheは語ります。「ワイン生産者でありながら、味わうためのボトルを手にすることができないことに、いつももどかしさを感じていました。だから協同組合を脱退する計画として、醸造学を学んだのです」。
2021年、自身のワイナリーをDomaine des Hâtesと名付けたLarocheは、ブルゴーニュの若手醸造家のグループから “若い才能へのトロフィー “を授与されました。彼は、シャブリ地方に新たな手法をもたらし、持続可能性と土壌生態学に新たな重点を置き、シャブリ地方を変えつつある40歳以下の若い生産者の一人です。
シャブリは、単一品種(シャルドネ)に縛られているため、世界で最も気候に敏感なワイン産地のひとつかもしれません。シャブリは長い間、その単一品種が歴史的にやっと熟すのに苦労してきた場所であることから来る、緊張感のあるワインの個性で知られてきました。シャブリの若いブドウ栽培者たちは、ワイン業界以外の同輩と同様に、気候変動を敏感に察知し、適応するための対策を講じています。
「気候変動で最も顕著な変化は収穫日です」と、Domaine de Chaude Ecuelleで、姉のMarianne(33歳)と働いているMarie-France Vilain(30歳)は言います。「私たちの祖父母の時代は10月に収穫することが多かった。今は9月です。私たちは気候の変化に対応するため、新しいことに挑戦しています。シャルドネに接ぎ木する新しいアメリカ産の台木を検討しています。シャルドネは変えられない。シャブリは常にシャルドネなのです」。
「また、機械式のすきも使っています」とVilainは言います。「頻繁に根を切ることで、ブドウ木はより深く根を張ることができるようになります。そして土の中の水分を保つことができるようになるのです。葉を高い位置に茂らせて陰を作ります。数年前までは、ブドウが早く熟すように収穫前に葉を落としていましたが、今はそんなことはしません。夏は暑くなるから、朝6時から仕事を始めます。今日は35℃だったので、午後2時に外にいたら暑すぎます。まだ元気でエネルギーがある早朝に始めるのです」。
急激な変化
時代を超越しているように見える地域ですが、新鮮なエネルギーは歓迎され、実はこの地域は過去2世代で大きく変化したのです。
パリに近いことから、シャブリは1600年代には世界的に有名なワイン産地となりました。しかし、鉄道の開通によってこの利点は失われ、ブルゴーニュの他の地域よりも地理的にシャンパーニュに近いシャブリは、より確実に作物を熟成させることができるさらに南の地域との競争にさらされることになったのです。シャブリは、40,000haのブドウ畑があった1800年代後半から、500haまで減少した1950年代まで、着実に衰退していきました。1957年には、霜害のため、産地全体で公式に生産されたワインはわずか132本でした。しかし、この低迷期を境に好転し、現在では約7000haの栽培面積があります。
シャブリ地区の公式ルールでは、収穫前のブドウの潜在アルコール度数が最低9.5%に達することが義務付けられています。シャブリのワイナリーは、歴史的にほぼずっと(21世紀に入ってからも)、アルコール度数を上げるためにシャプタリゼーションと呼ばれる工程で糖分を加えていました。しかし現在、ワイナリーは逆の問題を抱えており、それは若いブドウ栽培者たちの親が対処する必要のなかった問題です。
「気候変動は、シャブリのブドウ畑にいくつかの問題をもたらしたが、同時にいくつかの利点ももたらした」とLarocheは語ります。「シャブリはフランスの北部に位置する畑です。毎年、ブドウはよく熟しています。20~30年前は、あまり良くないヴィンテージになることもありました。今は、毎年ブドウの成熟度はとても良いです。以前より暖かくなりました。気温が高すぎると、ワインのバランスが悪くなり、酸味が弱くなります。収穫の時期にも気をつけなければならない。シャブリワインの特徴を保つためには、早摘みが重要です。シャブリでは収穫を長く待ちすぎると、マコン・スタイルのワインのようになってしまいます」。
Kevin Jandardと妻のMarine Descombeはともに34歳という若さですが、2017年にシャブリの畑を購入して以来、ワイン生産者になって6年になります。Larocheの家族と同様、前オーナーのブドウはすべてバルクワインになっていて、彼らの場合はネゴシアンに売られていました。しかし、JandardとDescombeはDomaine Passy Le Clouという名前でワインを瓶詰めして販売しています。
JandardとDescombeは先代とは大きく異なる農業を実践しています。彼らがやっていることのいくつかは、サスティナブル農法の標準的なものです。Larocheも同様ですが、彼らは除草剤を使わず、カバー・クロップを植えています。
彼らは、ブドウ畑の周囲に生け垣を植えています。遠い昔は一般的だったことでしたが、現在では、時には不動産的観点から無駄とみなされることもあります。
「生け垣はブドウ畑を霜から守るだけでなく、夏の暖かい風からも守ってくれます」と、Jandardは言います。「生物多様性としても良い。ブドウ畑を有機的に運営するのに役立っています」。
さらにこの貴重な土地に、夫妻はブドウ木の代わりに、桃、イチゴ、サクランボなどの果樹の列を作り、50メートル間隔で畑の中に植えました。十分な高さに成長すれば、ブドウ木に木陰を提供することができます。50年前のシャブリのブドウ栽培者が望むとは想像できなかったことで、また有益な昆虫の住処にもなります。
「果樹木はブドウ木を助け、ブドウ木は果樹木を助けるのです」と、Jandardは言います。「それには時間がかかります。2023年に木を植えたとしても、その恩恵にあずかれるのは7年から10年後です。私たちは今、それを考えなければなりません」。
若い醸造家たちは、一世代シャブリを支配してきたステンレス・スティールによる発酵・熟成法に対しても新しい挑戦をしています。
「私たちはオーク樽のキュヴェを造ることができました」と、Vilainは言います。「私たちの両親はステンレス・スティールだけで仕事をしていました。私たちは毎年オーク樽で造ります。私たちは樽の扱い方を学んでいます。私たちの両親は、私たちが新しいことに挑戦しているのを見て喜んでいると思います。味は気に入ってくれています。飲んでいるのを見たこともあります。私たちは、口中を圧倒するようなワインを造りたくありませんでした。繊細さを保つようにしたのです」。
最終的には、ほとんどの若いシャブリの造り手にとっての目標は、独特の緊張感、フレッシュさ、ミネラル感を持つワインを造り続けることです。
「シャブリは常にシャブリであり続けると思います」とVilainは言います。「シャブリをシャブリたらしめているのは土壌です。夏は前より暑くなりました。収穫時期は少し早くなりました。私たちは順応していくと思います。私たちは間違いなく、より多くの問題を認識し、それを回避するために何ができるかを考える世代です。機械作業を増やし、介入を減らす。土壌の扱い方を変える。これらは今までよりも時間のかかるやり方ですが、その方が全体的に全てにおいて品質が向上します」。
引用元: Youth Brings Energy to Chablis
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