フィラディスワインニュース

ブルゴーニュ、最大の脅威は気候

あるブルゴーニュの専門家は、早急に対策を講じなければ、地域のワイン特性がなくなってしまうと考えています。


ニュージーランドで最近開催されたシャルドネ会議において、ブルゴーニュのワインライターの第一人者であるJasper Morris MWは、フランスの銘醸地が直面する2つの大きな危機、すなわち気候変動と経済的・社会的圧力について語りました。

 

最も大きな問題は、前者の気候変動です。気候変動が起きているかどうかを疑問視するワインメーカーもいますが、Morrisは疑う余地はないと言います。彼は最近、アメリカで気候変動に懐疑的なワインメーカーに、「あなたのところでは起きていないかもしれないが、ブルゴーニュでは間違いなく起きている」と言ったのです。
彼はまた、コート・ドールでの「数々の災害と深い落ち込み」の時間を経て、ブルゴーニュの生産者たちは、この地域の気候変化に対抗するために「可能な限りのこと」を行っていると語りました。

 

『Jasper Morris Inside Burgundy website』を運営するMorrisは、シャブリと ピュリニー・モンラッシェが、それぞれ異なる理由により最も脅威にさらされていると言います。

 

畝の間隔が広くなり、土壌の白さがより目立つようになったシャブリのブドウ木は以前よりもかなり多くの日光を浴びるようになったと言います。日照量が増えたことで、「スタイルが少し変わり始めた」。

 

ピュリニーについては、ワインの特徴だった「フラワリーな華やかさを失った」とMorrisは考えています。コート・ドールのこの地域は、歴史的には比較的湿気の多い場所とされていましたが、長期の干ばつで地域の水分量が下がったという理由を第一に挙げました。

 

ブドウ栽培や、場合によってはワイン造りにも手を加えて、今日の気候への懸念事項を全て克服したとしても、Morrisは、この地域のトレンド変化が市場に浸透するまでには、「あと25年は」かかるだろうと強調しました。

 

また、ブレグジット(英国のEU離脱)に伴い、現在はフランスに住んでいるブルゴーニュの専門家は、気候変動危機に関して、この地域のシャルドネと ピノ・ノワールの将来についてこう考えています。

 

「率直に言って、気候がもっと極端になれば、次に飲むグラスのシャルドネの産地を気にする必要はなくなります」と、9月ホークスベイで開催されたAotearoa Chardonnay Symposiumで彼は語りました。

 

しかし、悪いニュースばかりではありません。ブルゴーニュのすでに確立された地域での動きはわずかですが、気候の変化はその周辺地域を活性化させました。

 

Morrisは、シャブリの東に位置する町トネール(トネールへの道は、シャブリのモンテ・ド・トネール・プルミエ・クリュの畑名の由来となっている)は、今や独立したアペラシオンになる可能性を秘めていると語りました(現在、その畑とワインはブルゴーニュ・トネールという小地域呼称に属している)。また、「マコネが苦しんでいる様子はない」(ブルゴーニュの最南端地域)と指摘しました。

 

そして、『Inside Burgundy』(ブルゴーニュの生産者と畑に関する800ページにも及ぶ大著で、Morrisが2003年から2017年までブルゴーニュの担当ディレクターを務めていた元勤務先のBBR社から出版)の著者である彼は、ブルゴーニュ愛好家は「ワインメーカーが望む以上の金額を支払うべきではない」、言い換えれば、ワイン愛好家はワインの推奨小売価格以上の金額を支払うべきではないと語り、二次的な流通市場についても強く批判しました。

 

彼はまた、自身のウェブサイトを運営し続けることは「フルタイムの仕事以上」であり、年間6000ものテイスティングノートを公開していると語りました。(「私は若い頃、タイピングを習わなかった」と付け加えました)。

 

「しかし、そのおかげでこうして生産者と面と向かって話ができるのだ」とも言いました。

 

Morrisは(BBRから)彼の代表作の出版権も獲得しており、最近の再版(第2版は4度目の再版)は彼の指揮の下で作られています。

 

 

引用元:Climate is Burgundy’s Biggest Threat

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