フィラディスワインニュース

シャンパーニュが直面する厳しい現実

 

2020年は異例の年であり、シャンパーニュも例外ではありません。

コート・デ・バールのビュクセイユの生産者が8月13日に今年の収穫を開始したとき、それまでで最も早かった収穫記録(2011年の8月17日)を破りました。

また、アペラシオンが規定する今年の収量を知らずに収穫を始めたのも今年が初めてでした。

今年の収量制限

CIVCの2人の会長、ジャン・マリー・バリエル(UMC[1]の社長)とマキシム・トゥバール(SGV[2]の社長)は7月22日での収量をめぐる議論で妥結に至りませんでした。

[3]その後8月18日の合同記者会見で、ようやく今年のシャンパーニュの収量が8000 kg / haで決定しました。

これは過去50年間で最も低い収量の1つとなり、2019年の10,200 kg / haよりも22%低く、シャンパーニュの今年の売上を反映しています。

というのもコロナの影響で今年の上半期の売上は29.4%減少し、これは3200万本の販売損失に相当します。

2020年のもう1つの特異な点は、収量が年末までの売上と連動していることです。

8000 kg/haと決めたものの、最終的な売上が出るまでは実質7000kg/haが上限となり、残る1000 kg/haは今年の売上が2億200万本を超えるかどうかによって決まります。

二人の会長は、最終売上が出たら再会し、残りの1000 kg / haの内のどれだけを7000 kg / haに追加し、2021年にボトル詰め(および支払い)するのかを確認します。

2億200万本を超えなかった場合、残りの1000 kg / haは2022年までタンクに残り、2021年の収穫分としてカウントされます。

絶望する側

多くの生産者は、収量が7000 kg / haでは収入の31%以上を失うことになると嘆いています。

泣きっ面に蜂となるのは、重くのしかかる社会保障費の支払いを昨年ではなく今年の収入に対して行いたいというSGVの要請が政府によって拒否されたことです。

多くの生産者が資金繰りに不安を抱いています。RMは今年の収量に対し、この1000 kg / haの不透明な状況に幻滅しています。

RMは今年の売上とは関係なく8000 kg / haを完全に瓶詰めすることができますが、1000 kgの一部(または全て)が持ち越されて2021年の収量分としてカウントされた場合、間接的に罰せられます。

ムーゾン・ルルーのセバスチャン・ムーゾンは、今年収穫したブドウが来年に持ち越されるということは、来年の収量上限からその持ち越し分が差し引かれるので、結局は収量ダウンにつながると説明しています。

「これは問題を解決するのではなく無視しており、最終的に逆効果になります。」

支持する側

セドリック・ムースは、アペラシオンの決定を支持する数少ない生産者の1人です。

彼は、この1000 kg/haが必ずしも悪いわけではないと信じています。

なぜなら、今年のブドウの品質が並外れているからです。

「来年は何が得られるかわかりませんが、今年は素晴らしいブドウが収穫できます。

来年の収量に影響を与えるのを恐れるあまり今年のブドウを収穫しないのは残念です。」シャルル・フィリポナも、このアペラシオンの決定を擁護します。

彼によると、低収量は全体的な品質を向上させ、多くのメゾンが待ち望んでいた経済的な休息をもたらすようです。

「今年の収量は、1haあたりの購入量が前年より約30%少ないことを意味します。今後数年間でブドウの価格が下がる可能性が高くなるので、浮いた分の資金をブランディングとマーケティングに充てることができます。」

在庫問題

一方で別の問題もあります。

今年の妥結案ではシャンパーニュが直面する前例のない在庫問題に対処できません。

2019年の在庫調査によると、13.5億本のボトルがセラーで寝かせてあります。

昨年までは、この数はおよそ4年半分の在庫に相当しました。しかし、現在では販売予測が2億本に減り、在庫率は7年近くにまで高まっています。

バリエルによると、仮に在庫コストが帳消しになったとしても、多くの人々がキャッシュ不足の市場にこれだけの在庫を放出することには多くのリスクがつきまとうと指摘します。

大量の在庫が市場に投入されれば、シャンパン全体の価値は大幅に低下します。

在庫増をメゾンが嘆いたとしても、実際に一番困っているのはメゾンのような販売網を持たない小さな生産者たちです。

販売に苦労している彼らが一番多くの在庫を抱えていることに目を向けなければいけません。

こうした販売力の低い生産者はキャッシュを手に入れるために余分な在庫を放出しますが、UMCやCIVCでさえもこれを防ぐことはできないのです。

結論として、今年の妥結案はシャンパーニュの問題に対する短期的な解決策でしかありません。

これは、現在の2億本の販売予測を上回ることに基づいており、その後の市場の急速な回復を想定しています。

フィリポナによれば、これは2021年末までに売上高が少なくとも2億5000万〜2億7000万本に回復する必要があることを意味します。

しかし、シャンパーニュの主要市場における現在の経済実績とリーマンショック後の不況を回復できなかった地域はそのような奇跡的な回復の実現可能性に深刻な疑問を投げかけています。

[1] ネゴシアンで構成されるグループUMC(Union des Maisons de Champagne)

[2] ブドウ栽培者で構成されるグループSVG(Syndicat Général des Vignerons)

[3] 両者は毎年7月に会合し、フランス国内と輸出市場の経済状況を見ながら、その年の収量を決める

引用元:https://www.wine-searcher.com/m/2020/08/champagne-pushed-into-uncharted-territory
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