イタリアの2021ヴィンテージについて。
ワインの生産量が減ることは悪いニュースですが、良いニュースは造られたワインが素晴らしいものになるはずだということです。
イタリアにおける 2021 年の収穫が 9 月中旬頃から始まり(スパークリングワイン用のブドウでは8月中旬に始まったものもあります)、カンパーニャ州のタウラージなどでは収穫が 11 月まで続きます。今年は良いニュースと悪いニュースが同時に訪れた年で、悪いニュースとしては、収量が 10 %から 50 %近く減少したことです。しかし良いニュースがそれを相殺してくれるはずです。ほとんどの生産者がその結果に満足しており、ブドウの品質は近年で最高レベルであると信じているからです。
北部から南部に向かって、複数の生産者の意見を紹介します。
ピエモンテ
10 月 4 日、バローロ用のネッビオーロの収穫が始まると同時に、降雨量25 mm の小雨が降りました。しかしこの降雨による影響は収穫が 1 日遅れただけで済みました。
アヌンツィアータに位置するワイナリー Pietro Ratti の Pietro は次のように述べています。「降雨は少なく、生育期には乾燥した日が続いたので天国のようでした。ブドウ樹は良く機能しており苦労もありませんでした。今年のブドウの質には満足しており、このような年は非常に稀だといえます」
ヴェネト
ワイナリー Chiara Coffele の Chiara によると、ソアヴェでは猛暑には見舞われなかったものの、暑い夏と平均的な降雨量のため、昨年よりも 10 %収量が減少したといいます。「 9 月は全体的に平均以上の気温が続いたため、ブドウの成熟が加速しました 」彼女は、栽培面積の 90 %を占めるペルゴラ( 棚仕立て )が果実に影を与え、今年の暑さを和らげたと述べています。
ヴァルポリチェッラでは、ワイナリー Ca’ La Bionda の Alessandro Castellani が、1 年を通して理想的な気候条件であったと述べています。「 夏には極端な気温の上昇はなく、タイミングよく降雨がありました。8 月末から 9 月末までは、昼夜の気温差が 10 度ほどあり、ブドウは完璧に熟しました。アマローネとレチョートのブドウはすでに( 陰干しのために )ロフトに移されており、収穫中にボトリティス菌に冒されたブドウや房は1つもなく、これはブドウが健康な状態であることの証です。ヴァルポリチェッラの 2021 年の収穫は、2019 年に匹敵する偉大なヴィンテージです。2021 年は、これまで数多くのワインを見てきた父が、最高のヴィンテージのひとつになるはずだと確信しているヴィンテージです!」
トスカーナ
キャンティ・クラシコでは、春の終わりから夏のほとんどの期間、3ヶ月間にわたって干ばつに見舞われ、収量が大幅に減少しましたが、生産者たちはその出来に非常に満足しています。ワイナリー Castello di Volpaia の Federica Mascheroni Stianti は、10 – 15 %の収量減を見込んでいますが、サンジョヴェーゼの品質には満足しています。「 ブドウは小粒で果皮の状態もよく、種子は良く熟していて健康に見えます。マストは糖度と酸度のバランスがとれています。フェノールの成熟度も十分だと思います 」
モンタルチーノのワイナリー Casanova di Neri では、 Gianlorenzo Neri が次のようにコメントしています。「 ブドウの品質は非常に高く、色が濃く酸度は適切で、鮮やかなアロマがあります。私たちの父にとって、このヴィンテージは 2001 年を彷彿とさせます 」
マルケ
ヴェルディッキオのトップ生産者の一人である Andrea Felici のワイナリーでは、春は低い気温と少ない降雨、そして 4 月に数回発生した霜が特徴だったと振り返っています。「 夏は温暖で非常に乾燥しており、気温が高い日が続いたことが特徴的でしたが、一方で8月末には数回の降雨があり、昼夜の気温差が大きくなりました。つまり、ブドウの質は高いものの収量が少ないということです( 前年より約15%減 )」
ウンブリア
モンテファルコにあるワイナリー Filippo Antonelli の Antonelli によると、4 月 8 日の夜に霜が降りたといいます。「 谷間だけでなく丘陵にも被害がありました。サグランティーノやトレッビアーノ・スポレティーノよりも、サンジョヴェーゼやグレケットの方が大きな被害を受けました 」と述べています。冬の間は雨が多かったにもかかわらず、3 月と 4 月には降雨がなく、それ以降の春と夏の間は非常に乾燥していて温暖でした。
Antonelli は次のように述べています。「 このような気候条件だったにもかかわらず、ブドウとワインは我々が予想していたよりもはるかに良いようです。深く、粘土質豊富な土壌の畑は、砂や石の多い土壌よりも被害が少なく済みます。生産量は 25 〜 35 %減、ブドウから得られる果汁は 10 %減になると予想しています 」
アブルッツォ
コントログエッラにある家族経営のワイナリーの Stefano Illuminati によると、乾燥した春と夏の影響で、灌漑が急遽必要だったとのことです。この灌漑のおかげで、ブドウの品質は素晴らしいものだといいます。モンテプルチアーノの収穫は順調に進んでおり、10 月末まで続く予定です。
カンパーニャ
イルピニアのワイナリー Feudi di San Gregorio のオーナー、 Antonio Capaldo は、ファランギーナの収穫が例年より1週間早かったことなど、品種ごとに異なった収穫についてコメントしています。彼によると、ファランギーナは「 量も質も良いが、酸度が平均よりやや低い 」そうです。
フィアーノについては、非常に寒い4月の夜の影響で全体の生産量が 40 〜 50 %減少しましたが、標高の高い場所に位置するブドウ畑にとっては、「 注目すべきヴィンテージになる 」と考えています。グレコについては、ブドウが適切な熟度に達するのが遅かったため、「 最も不可解 」としています。
イルピニアのワイナリー Donnachiara の Ilaria Petitto は、収量は 20 – 30 %減少したものの、「 ブドウは病害の影響もなく健康的で、アリアニコはまだ収穫前のため観察途中ではありますが、今のところ素晴らしいように思います 」と、述べています。
シチリア
Planeta の共同経営者である Alessio Planeta は、偶然にも 2021 年はワイナリーが初めて有機認証を取得した年ということもあり熱意を燃やしています。「 2021年は、西部では質と量ともに申し分ない収穫となりました。南東部のブドウは健康的で凝縮感のある出来でしたが、収量は 15 %減となりました。エトナではまだ結果が見えていませんが、今日私が言えることは、生産量は間違いなく減少するはずですが、( 特に高い位置にあるブドウ畑では )その品質は見事なものになるでしょう 」と、 Alessio はまとめています。
引用元: https://www.wine-searcher.com/m/2021/10/italys-2021-vintage-small-but-perfectly-formed
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