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ベト病がフランスの収穫を再び脅かす

フランスでは今年、ベト病との戦いが一段と激化しました。


2023年がブドウ栽培者にとって厄介な年だったと言うならば、それは2024年の予行演習に過ぎなかったのかもしれません。季節外れの雨の多い春と夏のおかげで、フランス中のブドウ畑は容赦ない病害の脅威と戦うことになりました。

 

7月16日、シャンパーニュのワイン業界団体であるComité Champagne は、「ブドウ畑のカビの脅威は並外れて高い」と発表しました。「加盟畑全体で、286区画のうち80%強のブドウにベト病の兆候が見られる」。

 

「ほぼ半数の区画で、約10%の房が被害を受けている」と付け加えました。憂慮すべきことではあるが、前例がないほどの感染率ではありません。

 

この地域のワイン生産者組合(SGV)のMaxime Toubart代表は7月19日に、「今のところ2021年より下回ってはいるが、例外的なベト病の脅威がある」と述べました。

 

収穫は9月12日頃に開始される見込みで、収量は1ha当たり10t(昨年の11.4tより減少)に設定されています。

 

この地域は現在、多くの火種と戦っています。今年の輸出の大幅な減少(2023年には3億本から2億8000万本へと2000万本減少する可能性が高い)から、ブドウ畑で4人の季節労働者が死亡し、収穫作業者のひどい労働条件が明るみに出た昨年のいわゆる「恥の収穫」の後、この地域のイメージを修正しようと試みています。

 

とはいえ、現在の予測では、シャンパーニュ地方の収量はベト病の被害を受けた2021年の収量をわずかに上回っています。しかし、一部の地域が他の地域よりも大きな影響を受けていることは明らかです。

 

ブドウ栽培者のJean-Paul Richardotは7月中旬、フランスのワインニュースサイト『Vitisphere.com』に対し、「ベト病の影響を最も受けた区画では、収穫の40~50%を失ったと思われる」と語りました。Richardotは、シャンパーニュ地方の南部に位置するオーブ地区を拠点としていて、あるブドウ栽培コンサルタントは、1haあたりの収穫量が4tから5tになる村もあると語っています。

 

ブルゴーニュとボルドー

「ソーヌ・エ・ロワールとコート・ドールでは、すべてのブドウ畑が打撃を受けている」と7月中旬、ブルゴーニュ地方のニュースメディア『France Bleu Bourgogne』が伝えました。「これから収穫されるブドウの15%から20%がすでに失われた。ブドウ畑を見れば被害は歴然である」。

 

米国のワイン専門誌『Wine Advocate』の編集長であると同時に、ボーヌに畑を持つWilliam Kelleyは、コート・ドールの低地ではより大きな影響があり、今年のベト病の脅威が「強烈」であったことを認めました。

 

しかしKelleyは、シーズン初期の花振るいとベト病の両方が、潜在的に大きかった収量を減少させたが、それは「悪いことではない」と前向きな姿勢を崩していません。さらに、最近まで例年より雨が多かった天候も改善されているようです。

 

「7月15日以降、天候は好転している」と彼は言います。「だから、ここまで頑張ってやってきた人たちは、まだやれるでしょう」

 

ここでも収穫は9月に始まりそうですが、Kelleyはベト病の脅威が2023年より高いことを確認しました。

 

さらに南のコート・シャロネーズでは、Jambles (ジヴリー)のDomaine Danjean-BerthouxのCharles-Antoine Danjean が、ベト病の脅威が「非常に高い」ことを確認しました。しかし、ベト病の脅威はコート・ドールよりは低いようで、これまでのところ、タイミングよくスプレー散布することで、カビはブドウに寄生していないと言います。

 

「私の知る限り、コート・シャロネーズではベト病の被害は許容範囲内だ」と彼は言います。

 

しかし、Danjeanによれば、有機栽培のブドウ栽培者たちは、10%から50%の損失を被り、より困難な時を過ごしているということです。

 

ボルドーでは、昨年ベト病の被害が大きく報道されました。ブドウ栽培者たちは再び胞子による拡散を食い止めようとしています。ブドウ畑に警鐘を鳴らすことに躊躇しない業界ではあるが、それでも農薬会社のSyngenta は、2024年シーズンの病害の脅威は「異常」であると評しています。とはいえ、以前にも同じような経験をしたことがあると感じている人もいます。

 

「2018年と並んで、今年は間違いなくベト病にとって最悪の年のひとつである」と、マルゴーのChâteau Desmirail のDenis Lurtonは語りました。「ブドウの褐色カビ病とベト病は、特にメルローに大きなダメージを与えた。カベルネ・ソーヴィニヨンの被害はわずかで、プティ・ヴェルドは無傷です。これは近隣の他の畑でも同じようだ」。

 

ここまで、この地域ではほとんど絶え間なく雨が降り続いたため、状況は改善されませんでした。

 

フランス南西部コンサルタントのSygentaのGilles Robertは、「ワイン生産者にとっての最大の問題は、これ以上の被害を避けるために、降雨が繰り返されることを想定してカビ防止剤を散布する時間を確保することだ」と語りました。

 

Lurtonは、今年のメルロー収穫の脅威を強調したこの地域のまた別の報道を認めましたが、それでもまだ諦めずに戦うべきです。

 

「収穫量は少ないと予想しています」とLurtonは言います。「現時点では品質についてはまだ判断できない。なぜなら、8月と9月がブドウの成熟に大きな役割を果たすからだ」。

 

広がる腐敗

ボルドー以外の地域でも、雨は容赦なく降り続きました。

 

「4月以来、1週間雨が降らなかったことはない」と7月中旬、ジュラの生産者Philippe Noirは、地方ラジオ局『France 3』に語りました。PolignyにあるDomaine Noir-FrèresのNoirは、シーズン初めの霜で収穫量の80%が失われ、ベト病が残りを脅かしていると語りました。

 

Noirはまた、この先ベト病がもたらす潜在的な問題を強調しました。

 

「霜の後、我々はほとんど全てを失った。だから今は、次の数年に向けて取り組んでいるところだ」と彼は言います。「ベト病の胞子を発育させてしまい、またさらに雨が降れば、ベト病菌は秋に土の中にとどまり、春にまた発生する。つまり今後何年かの収穫は繋がっているのだ」。

 

『France 3』は、この地域全体が同じような見通しに苦しんでいると伝えました。

 

サヴォワの南でも同様に、開花時の霜や悪天候の脅威にさらされ、サヴォワでは、生産者は週に35~50mmの雨に見舞われています。ベト病予防のためのスプレー散布は、次に雨が降ると洗い流されてしまうので苦労が絶えません。

 

「霜はドメーヌの半分に被害をもたらし、30~35%の収穫減、ブロックの端の畝の被害は約70%に達した」と、サヴォワのDomaine des Plantaz の生産者、Fabrice Grosは6月、『Vitisphere』に語りました。「残りの房は膨らみ、芯がベト病に非常にかかりやすくなっている」。

 

アルザスでは、農業ニュースサイト『Téma』のベト病レポートは、この地域を “高リスク “と位置づけ、褐色カビ病と灰色カビ病が増加する”可能性がある”と述べています。この地域のワイン生産者は、ジュラ地方と同様、絶え間ない降雨のサイクルに見舞われ休息を取ることができませんでした。

 

シャブリでは、その名を冠した町のすぐ北にあるブドウ畑が、シーズン終盤に雹に見舞われ壊滅的な被害を受けました。一方、ロワール地方中部について『Vitisphere』は、サンセールのこの年を、7月中旬に雹が降り、ベト病が大発生したことから、”激変”と評しています。

 

「このヴィンテージを表現する言葉はない。大惨事だ」とブドウ栽培コンサルタントのFrançois Dalは語りました。「とんでもないレベルの降雨量だ。サンセールでは、記憶にないほど厳しい年だ」。

 

有機的成長

これらの被害を被った地域のように、有機栽培やビオディナミの生産者も、じわじわと迫り来る脅威に対抗するのが難しくなっているようです。

 

「ブドウ木の物理的な状態は、有機栽培の生産者にとってはすでに壊滅的であり、慣習的な(一般的な農薬を使う)生産者にとっても状況は悪化の一途をたどっている」とGuillaume Laporteは言います。「そして私たちはまだこのトラブルの終わりを見てはいない」。

 

ボルドーでも、有機栽培と慣行栽培の間に同じような違いが見られます。

 

フランスにおけるベト病の脅威が現在どれほど高いかを示す指標になっているのは、多くの地域で、特に南部で試験栽培されているいわゆる耐病性ハイブリッド品種も苦戦しているという事実です。実際、フロレアル、ヴィドック、アルタバンのような “耐病性”のブドウ木が、病害を抑えるのに苦労しているというニュースは、シーズン初頭に見出しを飾りました。

 

そのため、『Vitisphere』は7月中旬、地中海沿岸各地の農業会議所からの情報を伝える記事を掲載し、噂を打ち消そうとしました。公式の調査によると、被害を受けたブドウ畑は全体の10%にも満たないのです。

 

「もし大きな数字になったとしても、それは包括的な評価にはならない。加えて、強い脅威にさらされた区画に植えられた品種ばかりではない。この結果をあまりに早計に解釈すると、大きな誤りにつながるだろう」と農業会議所は声明で述べました。「最も被害を受けたのは、樹勢が非常に強い所や湿気の多い低地にあり、ベト病の脅威が非常に強い場所です」。

 

希望の光があるとすれば、果房全体が閉じ始めると(果実が熟して膨らむので)、病害のプレッシャーは緩和され、「今年は非常に病原性が強かったが、病原体に対するブドウ木の感受性は低下するはずだ」とTémaは言います。

 

7月中旬のこの記事のリリース時点では、7月の最終週は、より暖かく、より落ち着いた天候が予想されていますが、8月頭には全国的に雨の予報が出ています。

 

引用元: Mildew Threatens French Harvest Again

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