Champagne Telmontの新たな有機認証取得は、この地域に環境配慮の時代が到来したことを示すかもしれません。
2026年の第一週、Champagne Telmontが初の再生可能型農業Regenerative Organic Certified (ROC) スパークリングワイン生産者となったことは、シャンパーニュの歴史的変革につながるかもしれません。シャンパーニュでは依然として有機栽培は例外的存在で、この動きには特に意義があります。現在、シャンパーニュはアペラシオン全体のわずか8%しか有機認証を受けていないのです。
ROCは比較的新しい認証制度で、2017年に再生有機農業連盟Regenerative Organic Alliance(ROA)によって創設されました。ROAは農家、ビジネスリーダー、土壌・動物・社会的公正分野の専門家からなる団体です。現時点で、有機認証を必須とする唯一のリジェネラティブの組織でもあります。
リジェネラティブ農業(ブドウ栽培を含む)は、持続可能性ブームの一環としてこの10年で勢いを増してきました。パリ協定後、政府も消費者も、二酸化炭素排出量削減とより健康的な製品生産の両面から農業慣行の変革が必要だと認識し、より高いサステイナブル要件を求める声が上がりました。例えば欧州連合(EU)は、2030年までに全てのワイン生産者にサステイナブル認証の取得を義務付ける規制を可決しました。
大多数の消費者にとって、これはより環境に配慮した実践を意味しますが、サステイナブルという言葉は経済的・生態学的・社会的な持続可能性を包括しています。これは、ワイナリーが取得できるサステイナブル認証の多さに反映されており、近年では、立法者と消費者の両方にとって、社会的取り組みは環境への取り組みと同じくらい重要な推進力となっています。
とはいえ、シャンパーニュ地方で採用されている認証の大半は生態学的目標のみに焦点を当てています。例えばシャンパーニュ委員会Comité Champagne(CIVC)のウェブサイトによれば、現在シャンパーニュのブドウ畑全体の60%が何らかの環境認証を取得しており、43%(14,700ha)が「シャンパーニュにおける持続可能なブドウ栽培認証Viticulture Durable en Champagne(VDC)」を取得しています。VDCはCIVCの環境認証であり、フランスの国家認証「環境価値重視Haute Valeur Environmental (HVE)レベル3」よりも厳しい基準を課すものの、農薬使用に関しては依然として緩いアプローチをとっています。ほとんどのメゾンがVDC認証を取得しており、ブドウ生産者にも同様の認証取得を補助金で奨励していますが、環境に関して行われるべき転換が、一般的にはメゾンと生産者のブドウ契約に入っていないのです。
さらに、VDCにおける社会的責任の不足を補うため、複数のメゾンがより包括的なアプローチの追加認証の取得を進めています。例えば2022年には、Piper Heidsieck とCharles Heidsieckがシャンパーニュ・メゾンとして初めてBコープ認証を取得しました。その後、2023年にBollinger、2025年にはマイイ村にある協同組合Mailly-Grand-Cruがこれに続きました。これら4社はいずれも中規模生産者であり、多くのB-コープ企業と同様です。しかし、この認証には、社会的パフォーマンスについての厳格な監視が必要で、大企業での実施を難しくしています。これが、大規模シャンパン生産者がリジェネラティブ認証に目を向ける理由かもしれません。
例えば、LVMH傘下の Möet-Hennessy(Möet & Chandon、Veuve Cliquot、 Ruinart、 Krug, Dom Perignon、 Mercierなど人気シャンパンブランドを擁する)は、所有する全ブドウ畑(LVMHはシャンパーニュ地方最大のブドウ畑所有者)に対し、リジェネラティブ認証「RegenAgri」の取得を積極的に推進しています。
リジェネラティブ農業は、土壌の健康回復に焦点を当てることで、ブドウ樹の耐性を高め、より健全な収穫をもたらすので、様々な意味で理にかなっていると言えます。しかし、栽培者が長年にわたり除草剤依存からの脱却に苦戦してきたシャンパーニュ地方では、この手法は当然の選択肢にはなっていません。シャンパーニュ原産地呼称地域は2025年までに除草剤の使用を一切廃止とする予定でしたが、実現しませんでした。むしろ、2025年春、ブドウ畑の相当な面積でグリホサートによる違法な全面散布が行われたというニュースがありました。
さらに、2022年に除草剤ゼロの公約を撤回して以来、シャンパーニュ地域全体として大幅な除草剤制限を課すことに非常に消極的となっています。最新版のシャンパーニュ規定書『Cahier des charges』では、ブドウ樹幹から40cm以内の除草剤散布を禁止しています。とはいえ、シャンパーニュの一般的なブドウ樹の畝間は1~1.10mなので、実際に除草剤を使用しない土地の幅は20~30cmにしかならないのです。グリホサートを散布する場合、『Cahier des charges』の規定はフランス法さえ遵守しておらず、明らかに土壌の再生を促進するものではありません。
緑の時代が到来
しかしTelmontによる2026年初頭のROC認証取得は、シャンパーニュ地方に新たな時代の幕開けをもたらす可能性があります。同社は既に2031年までに提携する全ての栽培農家の有機栽培へ転換を約束していましたが、今後は栽培農家に対しROC認証の取得も義務付ける方針です。具体的には、植樹、雨水収集、カバークロップの利用、ブドウ畑における生物多様性の促進といった模範的な環境・社会慣行の実施に加え、全従業員に対する公正で敬意ある包括的な労働条件の確保が求められます。
さらに、フランスの有機認証機関Ecocertとの緊密な連携により、有機認証を取得しているシャンパーニュ生産者の多くが、既存の有機認証にROCを追加する可能性が高まります。例えば、シャムリーにある小規模ビオディナミ生産者 Champagne Julion-RigautのEric Julionは既にROCの全要件を満たしており、彼らがすでに取得しているDemeter認証にROCを追加することが理にかなうと感じています。
シャンパーニュ有機栽培協会 Association des Champagnes Biologiques(ACB)やシャンパーニュの樹木と景観に関する団体Arbre et Paysage en Champagneによる宣伝と支援があれば、シャンパーニュは欧州最大のRegenerative Organic Certified (ROC)として認知される可能性があります。これにより、シャンパーニュ地方はついに有機農業を本格的に導入し、他のフランス産ワイン産地との差を埋めるかもしれません。現在、フランス全ブドウ畑の22%が有機栽培に取り組んでいます。
最後に、Telmontの比較的迅速なROC取得プロセスは、生態学的変革に何十年も要しないことを示しており、過去3年間で消費者需要が急減している苦境にあるシャンパーニュ原産地呼称にとって、待望の希望の灯となるでしょう。消費者調査によれば、特に若いワイン愛好家は生態学的認識に基づいて行動しているのです。
さらにデータは、Z世代とミレニアル世代がシャンパーニュをやや時代遅れと感じ、しばしば背を向けていることを示しています。しかしこの原産地呼称がリジェネラティブ農業を積極的に取り入れれば、間違いなく再びクールで個性的な存在となり、ひいては販売全体の活性化につながるでしょう。Telmontの2024年と2023年の目覚ましい経済的成果は、これが単なる仮説以上の可能性を秘めていることを示唆しています。
TelmontのROC認証取得はシャンパーニュを新たな環境的、ひいては経済的な局面へと導く可能性を示します。低迷するこの産地にとって待望の転換点となるかもしれません。Telmontの投資家である俳優兼環境活動家Leonardo DiCaprioの言葉を借りれば、「シャンパーニュ・メゾンとして初めてROC認証を獲得したことは、Telmontにとって、そしてシャンパーニュ全体にとって大きな成果である」と言えます。
引用元:Champagne Turns New Green Leaf
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