異常気象によって2026年ヴィンテージの収穫予想量が大幅に減少したことを受け、シャンパーニュ地方は今世紀で2番目に低い収穫量に直面する見通しとなっています。
7月下旬、シャンパーニュ委員会(CIVC)は、2026年のアペラシオンの商業規定収量を8,800 kg/haに決定しました。これは2025年より200 kg/ha低く、2020年に設定された8,400 kg/haに次ぐ、今世紀で2番目に低い水準となります。
シャンパーニュにおける商業規定収量とは、生産者が収穫・瓶詰め・販売できるブドウの数量を指します。この数字は近年の販売実績、販売予測、および現在の在庫量をもとに毎年交渉によって決定されます。これとは別に、生産者は個別リザーブ(Réserve Individuelle:RI)を補充する目的で、最大6,700kg/haまで追加収穫することが認められています。RIは最大10,000kg/haまで積み立て可能なシャンパーニュ独自の備蓄(バッファー)制度で、不作年に取り崩して使用できます。
しかし今年は、実際の畑で見込まれる農業収量(agronomic yield)が7,000〜8,000kg/ha程度と予測されているため、多くの生産者はRIを積み増すのではなく、むしろ取り崩すことになる可能性が高いと考えられています。
CIVCの研究・開発・イノベーション部門ディレクターであるSébastien Debuissonによると、シーズンの初めに春の霜被害によって潜在収量の38%が失われ、農業収量は大きな打撃を受けました。当初は地域によって被害に差がありましたが、相次いだ霜害によって最終的にはほぼすべての産地が影響を受けました。
さらに、5月末から6月初旬にかけての寒暖差が開花を乱し、結実のばらつきやミルランダージュ(結実不良)を引き起こしました。これにより成熟にばらつきが生じる可能性が高く、収穫スケジュールにも影響を及ぼすと見られています。加えて、最近の水不足によるストレスが成熟の進行をほぼ停止させています。フランス気象局によれば、シャンパーニュのブドウ畑の3分の2以上が位置するマルヌ県では、6月の降水量はわずか33mmにとどまり、平年比で45%の降水不足となりました。7月はさらに乾燥しており、猛暑の合間にわずかなにわか雨があった程度です。
アンボネイでビオディナミを実践するEric Rodezによると、水ストレスによってヴェレゾンの進行が妨げられており、果実が膨らむのを防いでしまっているとのことです。
彼はWine-Searcherに対し、ブドウ樹は現在、生き残ることを最優先とする「サバイバルモード」に入っており、養分を果実へ送るのではなく、自ら維持するために蓄えていると説明しました。この状態を解消するには、2〜3回に分けて20〜30mmの雨が降ることが望ましいとしています。しかし、7月下旬時点では月末までまとまった降雨は予想されていません。SGV(シャンパーニュ栽培農家組合)会長であり、CIVC共同会長でもあるMaxime Toubartは、今後3週間以内に十分な降雨がなければ、平均的な農業収量は7,000kg/haを下回る可能性が高いとの見方を示しています。
一方、UMC(シャンパーニュメゾン組合)会長であり、もう一人の共同会長でもあるDavid Chatillonは、猛暑にもかかわらず、2026年は決して日照量が多い年ではなかったと付け加えました。熱波をもたらしたヒートドームの影響で雲が発生し、日射が部分的に遮られたためです。救いなのは、2019年7月の熱波で初めて発生したような、ブドウの房が干からびてしまう現象がこれまでのところ起きていない点です。
水不足は収穫開始時期も少し遅らせており、CIVCは収穫開始を8月20日から25日の間と予想しています。しかしDebuissonは、霜害が酷かった地域では成熟が加速し、開始時期が早まる可能性もあると認めました。全体として、開花の不均一さから収穫期は長期化すると彼は予想しています。
販売の停滞が続き、在庫が過去最高を記録している時期に、なぜシャンパーニュの人々が農業収量を上回る商業規定収量を選んだのか疑問に思う人もいるかもしれません。しかし、多くの栽培農家は8,800 kg/haでは自分たちの事業を維持するのがやっとだと主張しています。
Toubartはエペルネでの記者会見で、8,800kg/haという数字は栽培農家とメゾン双方のニーズを踏まえた「真の妥協点」であると説明しました。また、この商業規定収量を選択したことで、100年以上にわたりシャンパーニュを支えてきた現在のビジネスモデルを維持できるとも述べています。
しかし、妥協が必ずしも経済的に持続可能であることを意味するわけではありません。この水準は、多くのメゾンや栽培農家の不安定な財務状況をさらに悪化させることになります。
VI(独立系生産者組合)の会長でもあるChampagne Piot-SévillanoのChristine Sévillanoによると、8,800 kg/haという決定は、独立系生産者(レコルタン・マニピュラン: RM)、とりわけ収穫分のすべてを自ら醸造する生産者(16,000の栽培農家のうちわずか170農家)にとって、生き残りを左右する大きな重圧となります。
Crédit Agricole社が実施した調査によると、これらのRMは過去2年間好調を維持しており、その成長は2026年初めの中東での戦争勃発によってのみ阻害されていました。しかし、2025年に続いて2026年も商業規定収量が低く抑えられたことで、これらのRMは市場シェアを維持することが難しくなる見通しです。
SévillanoはWine-Searcherに対し、現在のシャンパーニュ危機は、この地域が現行制度の限界を超えてしまったことを明確に示していると語りました。同氏は、CIVCが現行制度を頑なに守り続けていると批判する一方で、販売が好調なRMを守るためには、積極的な制度改革が必要だという立場を一貫して主張しています。「大手のメゾンがブドウの品質向上に投資することなくシャンパーニュの価格を釣り上げ、飽和した市場で自ら首を絞めるような価格設定をした失敗のツケを、独立系栽培者が払う筋合いはありません。」
オーヴィエで有機栽培を行うChampagne DesruetsのMathias Desruetsも、8,800kgという規定収量が、供給能力を上回る需要を抱える独立系生産者の成長を失速させると考えています。増加する需要に応えようと、Desruetsは昨年、ブドウの買い入れが可能になるネゴシアン・マニピュラン(NM)のステータスを申請しました。しかしSévillanoは、RMが市場の需要を満たすためにNMに転換し、自ら生産できる価格の2倍でブドウを購入する一方で、自らの余剰ブドウを破棄しなければならないような状況には賛同していません。
反対側の立場を見ると、8,800 kg/haという数字に満足しているメゾンはほとんどないでしょう。特に、資金繰りの悪化から2025年産のブドウ代金の支払いを延期するよう6月に申請したメゾンにとってはなおさらです。これまで実際にブドウ代金の支払いを履行できなかったのはPommeryだけで、3月と6月の2度にわたり支払いを延期しました。しかし、支払い猶予制度を利用した企業は同社だけではありませんでした。
もし販売が回復せず、年末までに予定されている3回の支払い(従来は2回)をメゾンが履行できなくなった場合はどうなるのかという質問に対し、David Chatillonは直接的な回答を避けました。代わりに、8,800kg/haという規定収量によって、2026年7月から2027年7月までの1年間で在庫を約1,000万本削減でき、それにより銀行借入は増えるどころか軽減されるとの見解を示しました。しかし、1,000万本という数字は、2025年7月末時点で約13億本に達していた総在庫のわずか0.8%に過ぎません。そのため、この程度の在庫削減で支払利息が十分に軽減され、健全なキャッシュフローを回復できる可能性は極めて低いと考えられます。特に年末に追加の支払いが必要となる場合には、その可能性はさらに低くなるでしょう。
さらに、2026年に更新されなかった長期契約という問題もあります。これまでPommeryにブドウを販売していた栽培農家は、新たなブドウの受け入れ先を探さなければならない状況に置かれています。現時点では、まだ買い手が見つかっていない栽培農家も多く、その場合はブドウではなく*ヴァン・クレールとして販売せざるを得ない可能性があります。というのも、スポット市場(単発の取引)のブドウは支払い猶予の対象外であり、メゾン側としても90日以内の支払いを条件に大量購入することは難しいためです。
(*ヴァン・クレール:収穫年のブドウから作られる、二次発酵前のベースワイン)
Chatillonは Wine-Searcherに対し、複数年契約に基づかないブドウ取引はシャンパーニュでは認められていないと説明しました。ただし、一時的な取引についてや、契約が更新されなかった栽培農家が今後どうなるのかについては言及を避けました。一方で、契約済みのブドウ販売はすべて尊重されると認めましたが、Vranken-PommeryとHenkellの間で独占交渉が行われているPommeryの契約に何が起こるかについての推測は拒否しました。
複雑で不都合な商業規定収量の数字から焦点を逸らすため、CIVCはホワイトハウスがよく使う「情報を過剰に投入して話題を逸らす」戦術を採用したようです。
記者会見の大部分において、両共同会長は商業規定収量以外のさまざまな話題に時間を割きました。それらは、*フラヴェサンス・ドレへの対応や、予防的に抜根を行った栽培者を支援するための新たな共同備蓄制度の創設の必要性にまで、多岐にわたりました。また、猛暑による深刻なリスクが予想される2026年の収穫に向け、規制や推奨事項を強化する方針についても説明しました。さらに、減少が続くフランス国内市場の販売を立て直すことを目的として、10月末にパリで「Champagne Week」を開催する計画も発表されました。
(*フラヴェサンス・ドレ:ヨコバイ科の昆虫によって媒介されるブドウの伝染性病害)
低迷する販売状況についてはごく簡潔に触れられたのみで、Chatillonは今年の上半期に売上が1.2%(130万本分)増加し、MAT(過去12か月累計販売本数)が2億6,740万本に達したことを改めて強調しました。この成長は輸出によるもので、東欧、アフリカ、南米といった、可能性を秘めた新興市場での売上増加が牽引しています。
しかし、Chatillonはまた、伝統的に年末に向けてシャンパーニュの売上を押し上げていた季節要因が、輸出市場においてはそれほど重要ではなくなっているとも付け加えました。アメリカやオーストラリアなどのホリデーシーズンに消費されるボトルは、現在では第1四半期のうちにシャンパーニュを出荷してしまうようになっています。これは、今後の販売が大きく伸びない可能性を示唆しています。特にフランス国内市場が回復しなければ、販売全体の伸びは限定的なものにとどまる可能性が高いでしょう。
引用元:Champagne Harvest to Hit Historic Low
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