シャンパーニュの製法について識る
Column
「シャンパーニュ製法」とは
「シャンパーニュ製法」は、一言で言えば「瓶内で2度目の発酵を引き起こし、炭酸ガスを発生させてそれを閉じ込めておく」製法です。
歴史の項目で触れたように、実際にはシャンパーニュではなく他の地域(南仏の“リムー”)で先に開発されていた製法と言われていますが、後にシャンパーニュ以外の地域の発泡性ワイン生産者たちが、“シャンパーニュのように丁寧に手作業で仕込んでいる”イメージを想起させるために「メトード・シャンプノワーズ=シャンパーニュ製法」と呼び始めたものです。
他地域でも「シャンパーニュ製法」という名を使用したくないプライドの高い生産者たちは、「メトード・トラディショネル=伝統製法」と呼んでいます。
ワインはブドウに含まれる糖を酵母が食べることで起こるアルコール発酵によって生まれるお酒ですが、アルコール発酵には必ず炭酸ガスの発生が伴います。
(参考:アルコール発酵の化学式:糖C6H12O6 → エタノール2 C2H5OH + 炭酸ガス2 CO2 )
非発泡性の赤白ロゼワインなども、発酵時には大量の炭酸ガスが発生し勢いよく発泡していますが、発生したガスを取り除いた上で瓶詰めを行います。ただ、一部フレッシュな味わいを楽しむスタイルのワインでは、最初のアルコール発酵によって発生する泡を若干残す場合もあります。
フランスだと、「ミュスカデ」などの白ワインがその代表格です。
が、伝統のシャンパーニュ製法は、ここから敢えてもうひと手間を掛けるのです。
同じように一度アルコール発酵させて出来上がったワインに糖と酵母を加えて瓶詰めし、再度アルコール発酵をさせることで炭酸ガスの泡を瓶の中で造り上げ、ワインに閉じ込めていくのです。
この「瓶内二次発酵」によって生成された炭酸ガスは、粒が小さく口当たりに刺激を感じさせない、繊細でエレガントな泡になります。
この製法で造られる泡モノは、シャンパーニュ以外のフランス各地では「クレマン」と呼ばれ、ブルゴーニュの「クレマン・ド・ブルゴーニュ」、ロワールの「クレマン・ド・ロワール」、ジュラ地方の「クレマン・デュ・ジュラ」など、素晴らしい銘柄も数多く存在します。良質なクレマンは、THE CHAMPAGNEの兄弟店「Firadis WINE CLUB 30」にて何種類か販売しております。機会があればそちらも是非比較してみて下さい。
また、その他の国、例えばイタリアの「フランチャコルタ」や、スペインの「カバ」等もシャンパーニュ方式で造られる上質なスパークリングワインです。
シャンパーニュ製法の具体的な工程について
以下に、「シャンパーニュ方式」による製法の一般的なフローチャートを記します。
勿論、生産者によって工程に細かい差異があり(例えば、樽発酵/ステンレスタンク発酵、マロラクティック発酵を実施する/しない等)一概には言えませんが、基本的にはこの流れでシャンパーニュは造られる、と理解して戴きたいと思います。
後半の瓶内二次発酵以降の各プロセスは、実際の製造現場で作業を見ないと分かりにくいことも多くあります。
筆者も、初めてシャンパーニュの生産者を訪問した時に製造ラインを見て、初めて納得できたことをはっきりと記憶しています。
今後もお客さまに深く理解頂けるよう出来る限り画像・動画を添付してご説明をしていきますが(画像や動画はプロカメラマンではなく生産者が撮影したものなので、画質やアングルの見辛さについてはご理解ください。)、シャンパーニュを愛する皆様には是非とも現地を訪れ、生産現場を生で見て戴きたいと思います!
シャンパーニュの一般的な製法 | ||
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1.Vendenge | ブドウ収穫 | 9月中旬~10月に収穫。ブドウ品種、区画毎に収穫 |
2.Epulchage | 選果 | ブドウを房・粒単位で選別、未熟・過熟・傷ものを除く |
3.Pressurage | 圧搾 | *ロゼ・シャンパーニュ用の黒ブドウは果皮を浸漬するか、圧搾時に色素を抽出させる。 |
4.Debourbage | 清澄 | 圧搾した搾汁から、清澄剤を使用して不純物を除去 |
5.Fermentation Alcoolique | アルコール発酵(一次発酵) | ブドウ品種・区画毎に収穫したブドウをそれぞれ別タンクで発酵させる。 |
6.Fermentation Malolaquetic | マロラクティック発酵(乳酸発酵) | 造り手によっては、味わいにまろやかさを与えるためにリンゴ酸を乳酸に変える「マロラクティック発酵」を実施。 |
7.Assamblage | アッサンブラージュ | 数年前の収穫で造った「リザーブワイン」も含め、自社が目指す味わいイメージになるよう各キュヴェをブレンドしていく。 |
8.Tirage | 瓶詰め | 二次発酵を促すために糖と酵母を混ぜたリキュール(Liqueur de Tirage)加えて瓶詰め。 |
9.Deuxieme Fermentation | 瓶内二次発酵 | 瓶内で二回目の発酵が起こり、アルコールと炭酸ガスが発生。酵母かすは澱として沈殿。 |
10.Sejour en Cave | 瓶熟成 | 澱が沈殿した状態で熟成。ノン・ヴィンテージで15カ月、ヴィンテージで36カ月が法定の最短熟成期間。 |
11.Remuage | ルミアージュ(動瓶) | 瓶内二次発酵による澱を瓶口に取り出しやすいよう集めるシャンパーニュならではの工程。伝統的には「ピュピトル」という澱下げ台に瓶口を下にして刺し、少しずつ回転させて澱を下したが、現在は「ジャイロパレット」という自動動瓶機で実施することが多い。 |
12.Degorgement | デゴルジュマン(澱抜き) | ルミアージュによって下がった澱を取り除く工程。瓶詰めライン上の冷凍水槽に瓶口を下に浸して澱を凍らせ選を抜くと、澱だけを取り除くことが出来る。 |
13.Dosage | ドサージュ(リキュール添加) | デゴルジュマンと同時に、シャンパーニュの味わいを調整するリキュール(Liqueur d'Expedition 門出のリキュール)を加えて打栓へ。リキュールは、蔗糖やブドウ由来のリキュール。 |
14.Bouchage | 打栓~Habbiage(アッビアージュ) ラベル貼り | コルク栓を打ち、内部のガス圧でコルクが飛ばないように金具(ミュズレ)で固定する。キャプセルを巻いてラベルを貼る。 |
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