ブドウ品種、3種類だけと思っていませんか?

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 シャンパーニュを造るのに使用して良いブドウ品種は一般的にはシャルドネ、ピノ・ノワール、ピノ・ムニエの3つ、と知られています(ソムリエ試験の教本も、以前はこの3品種のみの記載でした)。実際栽培されているブドウの99%以上はこの3品種が占めており、各品種の個性・特徴を知った上でブドウ品種構成を見れば、自分好みのシャンパーニュを選ぶのに十分な羅針盤となります。

ですが、THE CHAMPAGNEをご利用頂いているシャンパーニュ愛好家の皆様は「その先」も知っておきたいはず・・・。
そうです、1919年のシャンパーニュの現在も使用が認められていながら、あまり知られていない4つの品種です。
1919年のシャンパーニュのAOC規定はざっくりと「全てのピノ系品種、アルバンヌ、プティ・メリエ」とあり、ピノ系の品種は上記2品種以外も使用可能とされています。これらの品種は栽培面積では0.3%程度と極小ですが、ここまでを完璧に把握出来ていたらあなたは紛れもない「シャンパーニュ通」。
下記の表を参照のうえ、まずは各ブドウ品種の概要を把握しておきましょう。
各ブドウ品種について新たな情報を入手した折には、追加記事をアップしていきます。
また、年ごと・品種ごとの収穫情報などもこの項に追加して行く予定です。

 

基本の3品種

名称(フランス語)名称(日本語)詳細
PINOT NOIR ピノ・ノワール ピノ・ノワールまず、「ピノ」はフランス語で「松ぼっくり」を意味する言葉。果実が松ぼっくりのように小さく縮こまった塊のように実るので、その名が付けられた。ピノ・ノワールはブルゴーニュを原産とする黒ブドウ品種で、フランス国内ではブルゴーニュ、シャンパーニュ、アルザス、ジュラ、南仏でも広く栽培される。ウドンコ病、灰色かび病といった病害に弱く、かつてはヨーロッパ圏外での栽培は困難とされていたが、近年は他国でも数多く栽培されるようになった。イタリアではピノ・ネロ、ドイツではシュペートブルグンダーの名で知られる。近年では北南米やニュージーランドでも栽培されるようになった。シャンパーニュ地方では作付面積の約38%、モンターニュ・ド・ランスの白亜質土壌地域で多く栽培されている。果皮は黒に近い紫を帯びた青色系、フランボワーズ、チェリーのような赤い果物のアロマ・フレーヴァーをワインにもたらし、しっかりとしたボディとストラクチュアを与えるための品種。
PINOT MEUNIER ピノ・ムニエ ピノ・ムニエピノ系の黒ブドウ品種で、ヴァレ・ド・ラ・マルヌとエーヌ県、粘土質土壌のエリアで多く栽培されている。別名として、ムニエ、シュヴァルツリースリング。ピノ・ノワールよりも果皮の色が明るく酸が高い一方で、同等のの糖度・アルコール度数を確保出来る利便性の高い品種。しかもその栽培のしやすさからかつてはシャンパーニュの作付面積全体の40%を占めていたことも。イチゴやさくらんぼなど、フレッシュな赤い果実のフルーティさと柔らかさを与える品種。「Meunier」とはフランス語で「粉屋」を意味し、葉の裏側が粉をまぶしたように見えるので名付けられたと言われている。かつては二等品種的な扱いであったが、ワインにボディとリッチさを与える品種として評価が向上しており、米国やカナダでも栽培されるようになった。
CHARDONNAY シャルドネ シャルドネ言わずと知れたブルゴーニュ原産の白ワインを代表するブドウ品種で、現在は全世界に分布する。名前の由来は、ブルゴーニュ・マコネ地方のシャルドネ村、元来はピノの系統にあり、ピノ種とグアイス・ブラン種との交配種として生まれたと言われる。シャンパーニュ地方の作付面積の約30%を占め、おもに白亜質土壌のコート・デ・ブラン地区を中心に栽培されている。シャンパーニュに、柑橘類のフレッシュなニュアンスやエレガントさを与え、また酸とミネラルでシャンパーニュに長期熟成のポテンシャルを与える。1919年のAOC規定時には、シャルドネもピノ系に属する品種と判断されていたため、シャンパーニュに使用出来る品種として認可された。

 

 シャンパーニュを更に深く識るための4品種

名称(フランス語)名称(日本語)詳細
PINOT GRIS ピノ・グリ ピノ・グリ「グリ=灰色=中間色のピノ」という名前の、ピノ・ノワールとDNAが非常に似通った突然変異種。中世にはブルゴーニュ地方で栽培されていたとされ、茶色~青みがかったピンク色の果皮で、ワインは深い黄金色に微かにピンクのトーンを帯びた色合い、優しく穏やかな芳香が特徴となる。かつてはブルゴーニュやシャンパーニュで広く栽培されていたが、収量の低さと不安定さから栽培量が減少、シャンパーニュ地方における現在作付面積は2ha程となった。しかし近年は収量面での安定性が改善されてきている。フランス国内だとアルザス地方、また北イタリアでは「ピノ・グリージョ」として栽培が多い品種。
PINOT BLANC ピノ・ブラン ピノ・ブランピノ・ノワール種が突然変異したピノ・グリ種が更に変異した白ブドウ品種と言われ、19世紀にブルゴーニュで発見された。緑がかった黄色い果皮、林檎や柑橘類と白い花のアロマ、非常に柔らかい果実味が特徴。この品種の主要産地であるアルザス地方では、スパイシーかつスモーキーなニュアンスを含んだボディ感のあるクレマン・ダルザスを造るための品種としても使用されている。現在のシャンパーニュ地方ではコート・デ・バールにおける栽培量が多く、近年はピノ・グリ単独品種によるシャンパーニュをリリースする生産者も。シャンパーニュ地方での別名は「Blanc Vrai=本当の白」。
PETIT MESLIER プティ・メリエ プティ・メリエシャンパーニュ地方に存在する古代品種で、DNAとしてはグアイス・ブラン(シャルドネの親品種と言われる)と、ジュラ地方でヴァン・ジョーヌ等の原料ブドウとなるサヴァニャン種の交配種とされている。非常に暑い気候でも十分な酸度を保持できるブドウとして一定の役割を果たしてきたが、収穫量が少ない上にウドンコ病に弱かったため徐々に植えられなくなっていったとされている。現在は3-4haの作付面積があり、Duval Leroy(デュヴァル・ルロワ)社、Aubry(オウブリィ)がプティ・メリエ単一品種でのシャンパーニュを製造している。もぎたての新鮮な林檎のニュアンスを感じさせるクリスピーな味わいが特徴。
ARBANNE アルバンヌ アルバンヌプティ・メリエ同様、シャンパーニュに古くから伝わる品種で、かつてはシャンパーニュ地方の南部を中心に栽培されていたが、現在はコート・デ・バールを中心に1-2ha程が栽培されているのみ(イタリアのエミリア・ロマーニャ州で土着品種的に栽培される「アルバーナ」等が同一品種として存在している)。アルバンヌ種も、ウドンコ病やベト病に弱く栽培量が減って行った。Maison Moutard(メゾン・ムタール)やAgrapart(アグラパール)がアルバンヌ種を使用したシャンパーニュを造る。ブドウの熟し方が遅いが、暑い夏に恵まれた年は傑出した華やかさを持つ。