『ワインの値段』は、どう決まる?④ 高いワインがどんどん高くなるのは結局・・?2017/08/27
「ワインの値段はどう決まる?」シリーズの第4回です。
このシリーズの主題は『高いワインと安いワイン、その価格差はどこから来るのか?』。
第3回までを簡単にまとめると・・・
・ワインの価格は同じ銘柄でも大きく変動する。昔は5大シャトーも今の3分の1くらいで買えた・・・
・ワインの価格を決める最大の要素は、ブドウを収穫するときの量と質の反比例である。
なんていう話をしてきました。
ワインの価格は基本的に、畑あたりのブドウ収穫量を絞れば絞るほど高くなっていく、
でもその上昇率は収穫量に比例するだけではない、というのが前回の最後のところ。
量と質の反比例だけできまるなら、ロマネ・コンティだって5,000円くらいにしかならないはず。
でも、実際には100万円を超えるような値段が付いている・・・それは何故か?
というところで終わりました。
でもこの後の話は実にシンプルなんですよね。
ワインの価格、それは最終的には「需要と供給」で決められる、簡単に書けばそれだけの話です。
世界中でより沢山の人が同じワインを欲しがるようになったから自然と値段が上がった、ということです。
需要が拡大したということ、もう少し具体的に数字で知ってみましょうか。
このシリーズの最初に、
僕がワインの仕事をスタートした20年くらい前は5大シャトーやオーパス・ワンも今の3分の1以下の値段だった、
なんて言うことを書きました。
その頃、日本は赤ワイン健康法のブームで輸入量が一気に上昇していた頃ではありますが、
まだまだ日本人のワイン消費量は決して多くありませんでした。
ちなみに1996年のスティルワイン輸入量は、課税された量のデータで見ると86,615キロリットル。
昨年2016年は252,532キロリットルですから、20年間でちょうど3倍くらいに増えています。
スパークリングワインは関税率が異なるので別枠で集計されているのですが、
こちらもここ20年間で輸入量が約4倍にも膨れ上がっています。
シャンパーニュやスパークリングワインを楽しむことが、
それだけの勢いで日本の食文化に一気に定着していったということですね。
このように急激にワインの消費量が伸びている国は、勿論日本だけではありません。
中国をはじめとするアジア諸国、中東など、それまであまりワインを飲む文化が無かった国にも、
経済発展とともにワインカルチャーが次第に根付き、消費量はどんどん増えていきました。
中国のワイン消費量の増加はとんでもなくて・・・
2009年の時点では日本の20年前と同じくらいの量だったのが、2016年は既に日本の2倍近くになっている模様。
ざっくりですが、ここ10年くらいの間に、
日本と中国だけでもボトル5億本くらい消費量が増えているイメージでしょうか。
ここに他の国が加わったら、一体どのくらい消費量が増えているのか・・想像するだけで恐ろしい!!
(勿論、逆に欧州では消費量が減っているようです)
ここで前回の内容に立ち帰りますが・・・質の高いワインほど量を絞っている訳ですから、
当然供給できる量には限りがあります。
そのクオリティを維持している以上は、ブドウ畑を買い増さない限りトータルの生産量は一緒。
限られたワインを多くの人が奪い合う構造になり、当然そこには価格での競争が発生します。
生産者だって、より高く買ってくれる人に売りたいのが当然ですもんね。
こうして、生産コストにも収穫量にも比例せず、
皆が飲みたい有名な人気ワインほど、価格が天井知らずに上がっていくわけです。
質を追求したワインは工業生産品と違い、需要が増えているからもっと造ろう、ということが叶いません。
ワインが世界の食卓に定着すればするほど、本当においしいワインの値段は上がっていく・・・。
それは、避けられないことなのかもしれません。
だから、おいしいワインを少しでも手頃な価格でお届け出来るように、
隠れた良質ワインを探し続けることと、
少しでも余計なコストを削る、ということしか僕たちにはできないんですよね。
フィラディスはこれからも、隠れた良品を発掘していきたいと思っています!!!!
というところで「ワインの値段」第4回はおしまいです。
次回は、日本に輸入されてくるワインにはどんなコストが上乗せされるのか、についてお話ししたいと思います。
輸送費や税金、その他諸々のコスト。
何を工夫すればおいしいワインをより安く皆さんにお届け出来るのか、をフィラディス流で解説しますよ!
Firadis WINE CLUB 店長 五十嵐 祐介
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