「グラン・クリュの各村を識る」第5回:白の丘はシャルドネの聖地。「コート・デ・ブラン」①
Column
シャンパーニュの各村を識るシリーズ、第5回からはシャルドネの聖地とも呼ばれるグラン・クリュ南エリア、「コート・デ・ブラン」エリアの各村について解説していきます。
「コート・デ・ブラン」というエリア名、和訳すると「白の丘」。
その名の通り、シャンパーニュを代表する白ブドウ品種であるシャルドネ種の産地として名高いエリアです。世界に名だたる「ブラン・ド・ブラン」の殆どが、この南北に縦長に広がるエリアから産み出されていきます。例えば、誰もが知るような『SALON サロン』や、『KRUG Clos du Mesnil クリュッグ クロ・デュ・メニル』といったシャンパーニュがこの地域を代表するトップキュヴェと言えるでしょう。
「ブラン・ド・ブラン」については、ご存じの方も多いと思います。
直訳すれば「白の白」。
つまり、白ブドウ主にシャルドネだけで造った白のシャンパーニュ、という意味です。
シャルドネ種以外にもシャンパーニュ使用できる白ブドウは存在しますが、95%を超えるブラン・ド・ブランはシャルドネ種のみで造られていると考えて大丈夫です。
シャルドネ種100%で造られたブラン・ド・ブランの醍醐味は何と言っても「酸とミネラル」。
造りたての頃はとにかくフレッシュでシャープ、厳しさを感じさせるほどの酸を感じさせますが、実はこの酸と豊富なミネラルこそが長期熟成の土台。じっくりと寝かせておくことで、途方もなくリッチな奥行きが構築されていきます。20~30年経って発泡性は微弱になってしまっても、全く色褪せないその深み・・・。シャンパーニュはシュワシュワの気持ち良さや、飲みやすさを楽しむだけのお酒じゃない、ということを思い知らされます。
この「酸とミネラル」の基盤となるのが、コート・デ・ブランのグラン・クリュ各村の土壌に豊富に含まれる『ベレムナイト・チョーク』。ベレムナイトは真っ直ぐな貝殻を持つオウムガイ(現代の甲イカに近い種類のようです)の1種で、矢尻のような独特な形をしたこの貝の化石を豊富に含む土壌が、丘の中腹に分厚く広がっています。こういった石灰成分を含む土は表土の部分からやや白っぽくなることからも、「白の丘」と名付けられたのでしょう。そして、そこで栽培されるのは石灰土壌に最も適した白ブドウ品種「シャルドネ」というわけです。
今回はコート・デ・ブラン地区の概要をお伝えしたので、次回からこのエリアのグラン・クリュ各村ひとつひとつを解剖していきます。
この地区にはグラン・クリュが6村ありますが、そのうち知っておくべき村は5つでしょうか・・・。
北から順にひとつずつ、各村の特徴を解説して行きます。
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