「グラン・クリュの各村を識る」第4回:球体を描くように丸いピノ・ノワール、「アイ」村
Column
これまで3回に渡ってシャンパーニュ中心都市「ランス」近郊にあり、シャンパーニュ生産地最北部に位置する「モンターニュ・ド・ランス」地区の3村について説明をしてきました。
素晴らしいピノ・ノワールの産地として知られるこの地区の中でも、村毎に全く個性の異なるピノ・ノワールが生まれる、というお話。
『ヴェルズネイ』『アンボネイ』『ブジー』、3つの村のそれぞれのキーワード、憶えていますでしょうか???
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さて、今回は少し南下して2番目の地区「Vallee de la Marneヴァレ・ド・ラ・マルヌ」地区へ。
直訳すると「マルヌ川渓谷」と呼ばれるこの地区は、シャンパーニュ地方を東西に貫く「マルヌ川」に沿って横長に広がる産地です。
マルヌ川はシャンパーニュの南東エリアに水源を発し、この地域で2番目に大きな町「Epernay(エペルネ)」を通り、最後にはパリのセーヌ川に合流していく川です。
ヴァレ・ド・ラ・マルヌはシャンパーニュ地方の中では冷涼な気候で、地域の東側ではピノ・ノワール種が、西側ではムニエ種が主に栽培されています。
さて、この地域に存在するグラン・クリュの村は2つ。
『アイ』村と、『トゥール・シュル・マルヌ』村です。
このうち『トゥール・シュル・マルヌ』村は黒ブドウのみがグラン・クリュ認定されていること、そして栽培面積が狭く収穫量が非常に少ないこともあり、この地区で注目すべきはやはり何と言っても『アイ』村、なのです。
『アイ』は、冷涼なヴァレ・ド・ラ・マルヌ地区の中では、南向きの大きな斜面が東西に広がり、日照に恵まれたエリア。
じゅうぶんに完熟する果実は濃密でハリがあって華やか。
ちょっと抽象的ですが、「口の中で球体を描くようなふくらみがある味わい」なんて言う風に表現されます。
偉大なるピノ・ノワールの産地として、対極的な味わいである『ヴェルズネイ』村と双璧を成すグラン・クリュです。
『アイ』村には、名だたる有名メゾンが本拠地を置いています。
Bollinger(ボランジェ)、GOSSET(ゴッセ)、Deutz(ドゥーツ)などが拠点を置くほか、この村の優良区画の大部分をMoet et Chandon(モエ・エ・シャンドン)が所有することでも知られています。
つまりこの村は、大手メゾンが最も欲しい畑を沢山有し、高値で畑を買い争っている場所。
多くの栽培農家が、自分でブドウやワインを造る苦労よりも畑を売却することを選んでしまいました。
故に現在では栽培醸造のレコルタン・マニピュランは極端に少なく、『アイ』村の純粋なテロワールを正しく伝えるシャンパーニュは希少な存在に・・・。
ですが、THE CHAMPAGNEは『アイ』村の個性を正統的に継承し続ける優良な小規模生産者を知っています。
1918年からこの村でブドウ栽培・ワイン造りを続ける『Richard Fliniaux(リシャール・フリニョー)』です。
今回は、リシャール・フリニョーが『アイ』村のピノ・ノワール99%に、お隣のプルミエ・クリュ『マルイユ・シュル・アイ』のピノ・ノワールを1%だけ加えて造るワインをお薦めします。
『リシャール・フリニョー カルト・ペルル キュヴェ・スペシアル・ブリュット N.V.』
この村の個性である「丸さ」は、単にふんわりしているということではありません。
「球体を描く」と表現したように、立体的に、縦横に膨らむ丸さ。
シャンパーニュが他のスパークリングワインと一線を画すと感じるのは、まさにこんな時です。
引き締まって整うエレガンスだけではなく、豊かなふくよかさがここにはあります。
酸がはっきりと立ちあがってくるような厳しさが魅力のシャンパーニュとは正反対の、誰にでも受け入れやすい、シンプルに美味しく感じられるシャンパーニュです。
シャンパーニュ評論の第一人者、リチャード・ジューリンは、リシャール・フリニョーを評してこう言っています。
“ぼくが最も心に留めているシャンパンハウス”。
気取って飲むときではなく、リラックスした癒しの時間にふさわしい、がんばった自分にご褒美をあげたい時にこそ選びたいシャンパーニュ、そんな思いからのコメントだと思います。
『アイ』村のピノ・ノワール。
シャンパーニュに包み込まれたいな、と思ったら、この村を選んでみてください!
Firadis WINE CLUB 店長 五十嵐 祐介
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