「グラン・クリュの各村を識る」第3回:肉厚・パワフルなピノ・ノワールを産み出す小村「ブジー村」

Column

ジャン・ラルマン・エ・フィス

3回目となりました『シャンパーニュ・グラン・クリュの各村を識る』。
これまで2回、シャンパーニュ地方北部モンターニュ・ド・ランス地区内の、代表的なピノ・ノワール産地「ヴェルズネイ」「アンボネイ」をご紹介してきました。

『精緻さ・骨格・透明感』の、「ヴェルズネイ」。
『柔らか・ふくよか・軽やか』の、「アンボネイ」。
まずはこんな言葉で、各村のキャラクターを把握しておいてください。

そして、今回紹介するこの地区最後の村「Bouzy ブジー」村は、また異なるキャラクターのピノ・ノワールを産み出します。
そのキャラクターを端的に表現するならば・・・『力強さ・肉厚・濃密・そしてスパイシー』、等の言葉がふさわしいでしょうか。
シャンパーニュ地方で随一のパワフルなピノ・ノワールを産み出す偉大な土地、それがブジー村です。

アンボネイの西に位置するこの村には、ほぼ真南を向き豊かな日照に恵まれる斜面が横長に続いています。
そしてその土壌は、表土に分厚くどっしりと広がる粘土、深い部分には石灰質。
十分な日当たりで完熟する果実は、土壌由来の肉厚な力強さも獲得しています。
この村で取れる黒ブドウは赤ワイン醸造にも十分なボリューム感があり、実際にブジーのピノ・ノワールは「アッサンブラージュ法」で造るロゼ・シャンパーニュ用の赤ワインとしても重宝されています。

ブジーのブドウは大手メゾンのラグジュアリー・キュヴェに使用されるケースは多くありませんが、素晴らしいレコルタン・マニピュランが存在する村として知られています。
その代表格が、「Pierre Paillard(ピエール・パイヤール)」や「Paul Bara(ポール・バラ)」。
ボリューム感を持て余してしまうことも多いブジーのピノ・ノワールに調和とエレガンスをもたらすことのできる優秀な造り手たちが、注目を集めるようになってきました。

今回はブジーの力強いシャンパーニュを識るための1本として、『ピエール・パイヤール レ・パーセル ブジー・ブリュット・グラン・クリュ N.V.(税抜4,980円)』をご紹介させて戴きます。
item/281/ ← 今回の一押しお薦めシャンパーニュのページはこちらです!

ベルナール・ブレモン

1768年からブジー村でブドウ栽培に携わるピエール・パイヤールは、正にこの村を代表する生産者。
所有畑は全てブジー村という、この村のテロワールだけに焦点を絞っている造り手です。

歴史の長い栽培醸造家であるピエール・パイヤールの利点は、この村には珍しいシャルドネの優良区画を所有していること。
村の全作付面積の僅か11%しかないシャルドネ区画の大部分を持っていることを生かし、力強さが全面に出がちなブジーのピノにフレッシュな酸と上品さをバランス良く調和させています。
この1本が、ブジーは黒ブドウにも白ブドウにも素晴らしいポテンシャルがあることを証明してくれます。

そして勿論、ピノ・ノワールの代表産地としてのアイデンティティも忘れてはいません。
単一畑・単一品種で造るピノ・ノワール100%のブラン・ド・ノワール『レ・マイユレット』では、エネルギッシュで深みのあるブジー・ピノ・ノワールの魅力を存分に引き出しています。
item/185/ ← 『レ・マイユレット』はごく少量の入荷ですのでお早めに!!

ピエール・パイヤールを飲むときに感じるのは、テロワールの個性を最大限的確に表現しつつも、「ありのままに」と放り投げてしまわない職人の『技』。
テロワールから得られる結果をコントロールしようとするのではなく、美しく整えるだけ。
饒舌では無い、静かなる『技』がビシビシと伝わってくるシャンパーニュ、是非飲んでみてください。