ブドウ品種を知るシリーズ:シャルドネ種2016/09/13
「シャルドネは“鏡”」。
ページを開いて戴くために、ちょっと変わったタイトルにしてみました。
でも、『シャルドネ』と言うブドウ品種を一言で表現するとしたら、僕はいつもこの言葉を使っています。
土壌・気候など産地の環境、生産者のフィロソフィーと能力・センス、それらをそのまま映し出してしまう「鏡」と言う意味です。
『シャルドネ』というブドウの香りや味わいを端的に定義することは、もしかしたらブドウ品種の中で最も難しいかもしれません。
このブドウ品種は、本来的には「最もニュートラル」な場所に位置づけられる、突出した分かり易い特徴・強烈な個性があるとは言えない品種。
だから、生育環境や造り手のポリシー、力量によってその印象をころころと変えてしまう。
そんな「鏡」のようなブドウ品種だと言う訳です。
最初にブドウ品種としての概要を簡単に・・・。
シャルドネ種のDNA分析(カリフォルニア大学)の結果によると、この種はピノ・ノワール種と、クロアチア原産の「Gouais Blanc種(グエ・ブラン)」との交配種である、という学説が出ています。
ローマ時代にクロアチアからフランスに運ばれたグエ・ブラン種が、ピノ・ノワールと交配して生まれた、とのこと。
カベルネ・ソーヴィ二ヨンと同様、シャルドネもオリジナルな品種ではなく交配種なんですね。
参考までですが、このGouais Blanc種は様々な品種の原種となっており、アリゴテ種、ガメイ種などもこの種が起源のようです。
この一交配種が、今や「主要産地」を言えないほど世界中どこでも栽培されている白の代表品種となりました。
フランス・ブルゴーニュ&シャンパーニュを代表として南フランスにイタリア・スペイン、北南米からオセアニア、アジア、アフリカまで、カベルネ・ソーヴィ二ヨンとほぼ同じように分布しています。
シャルドネ種も比較的栽培しやすい品種で、しかも白ワインを代表する人気品種ですから、世界中のワイン生産者誰もがこぞって栽培したがるのも当然のことでした。
さて、ではそんなシャルドネ種の特徴を挙げていくとどうなるのか。
今回は、シャンパーニュ地方の南部、コート・デ・ブランで造られるシャルドネ100%のシャンパーニュ「ブラン・ド・ブラン」を例に、その両極端とも言える2タイプを比較してみましょう。
まず一つめは、ステンレスタンク発酵で樽をかけていないブラン・ド・ブランです。
レモン・ライムのような溌剌とした柑橘類や蜜リンゴの香りに、硬水のようなタイトなミネラル感があります。
これは、シャルドネ種をベースにして生産者が表現し、目指すスタイルが全く違うという事。
だから、シャルドネというブドウ品種を正しく理解するというのはつまり、「完成形の多様性を知る」という事なのだと思います。
この産地=テロワールで、この人がこういう風に造ったら、こうなる。
別の産地=テロワールで、あの人が違ったやり方で造ったら、こうなった。
産地や製法によってある程度の方向性があり、それが指針となります。
それを把握しておけば、どれほど振れ幅の広い品種でも自分好みのものを選び取れます。
今日のまとめは、「シャルドネを知ることは、テロワールと製法を知るという事」、でした。
例えシャルドネが覗いたものをそのまま映す鏡だとしても、その覗いている人がどんな人かが分かっていれば、そんなに悩まなくて大丈夫、ということです。
THE CHAMPAGNEには様々なブラン・ド・ブランの取り扱いがあります。
是非、色々と試してみて下さい。
THE CHAMPAGNE by Firadis WINE CLUB 店長 五十嵐 祐介
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