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≪知っているとちょっとお得なワインマメ知識≫ よく耳にするワイン用語、ちゃんと知っておきましょうシリーズ①「原産地呼称」って何??2016/06/11

さて、通勤中や週末の空き時間にちょこっと読んでワインに少しずつ詳しくなれるマメ知識コラム、

今回から新シリーズです!

前回まではブドウ品種シリーズということで、8種類の主要ブドウ品種ひとつひとつについてお話し致しました。

まだまだブドウ品種は沢山あるのですが(ワイン用ブドウ品種は世界に800品種以上と言われています!)、

そろそろ違った切り口に入るタイミングかな、と思います。

 

今回からは、『良く聞くワイン用語、ぼんやりとは分かっているけど詳しくは・・・』

となりがちな幾つかの用語について、整理をしておきたいと思います。

これまでもそして今後も非常に良く出てくる用語ですので、それを分かっておくだけで理解の深さが変わります!

 

ということで新シリーズ「説明できるようになろう」、最初は『原産地呼称』についてです。

AOPだのDOCGだのという言葉は良く耳にしますが、

説明してと言われたらちょっと困る、と言う方のための確認です。

そんなの聞かなくても知ってるよ、と言う方も、

こうやって説明すると知らない人でも分かりやすい、という例を出しますので是非ご一読を。

 

まず『原産地呼称』とはそもそも何なのか、ということから始めましょう。

これは、ある特定のワイン(チーズ等にも同じ制度があります)の「原料の産地がどこまで特定できるか」

を表示し、消費者がその商品の味わいやクオリティを判断出来るようにするための制度、です。

 

今回は例として『ロマネ・コンティ』を例にとってお話ししましょう。

『ロマネ・コンティ』は皆さんもご存知ですよね。

仏ブルゴーニュのヴォーヌ・ロマネ村に「ドメーヌ・ド・ラ・ロマネ・コンティ=DRC」社が所有する、

僅か1.8haの畑「ロマネ・コンティ」(このワイン名は、畑の名前です)

で栽培されたピノ・ノワール種100%で造るワイン。

ヴィンテージ初リリース時の価格が世界一高いワイン、として有名ですから、どなたでもご存知ですよね。

1.8haは18,000㎡ですから、大体135m四方程度のとても狭い畑からごく少量造られるワイン、ということ。

毎年の平均生産本数は6,000本程度なので、1坪弱あたり1本しか造っていない計算です、すごい!

 

このワイン、今書いたように原料の産地を極限まで細かく絞り込んでいくことが可能です。

ピラミッドの一番下を「フランス産ワイン」として段々ピラミッドの上に登って行くと、

⇒その中の「ブルゴーニュ地方」のワイン

⇒その中の「ヴォーヌ・ロマネ村」のワイン

⇒その中にある「ロマネ・コンティ」という畑のワイン

⇒その畑で「DRC社」が造るワイン(「ロマネ・コンティ」は単独所有で他の生産者はいませんが・・・)

が頂上にあるという構造です(*下のピラミッド図を参照してください)。

そしてその段階が高くなるごとに、使って良いブドウ品種や栽培条件(収穫量など)、

醸造法等の制限が厳しくなっていく、というのが制度の基本構造となっています。

原産地統制呼称制度の根本には、

「農産物には、その場所で特定の条件で造られた時にしか現れない個性がある」

という考え方があります。

(これがいわゆる『テロワール』の概念なのですが、これは次回以降のコラムでご説明致します。)

「フランスワイン」という最も大きな括りでワインを作る時には、

使って良いブドウ品種も栽培条件も、造り方も自由度が非常に高くなります。

 

これが一段階狭まって「ブルゴーニュワイン」になると、

例えば赤ワイン用のブドウ品種は「ピノ・ノワール」「ガメイ」の2種しか使えない、という制限が加わります。

これは、ブルゴーニュ地方の気候や土壌、ワイン生産の歴史的な背景までを考慮し、

最大限の品質が発揮できるふさわしい品種を選んだ結果、と考えれば良いと思います。

石灰質土壌の多いブルゴーニュ地方、勿論カベルネ・ソーヴィニヨンを栽培することは出来ますが、

決して最も素晴らしい品質のカベルネ・ソーヴィニヨンにはならないからです。

 

そして、更に一段階上がって「ヴォーヌ・ロマネ村」産の『村名ワイン』になると、

ブドウ品種はピノ・ノワールのみに、収穫量の上限設定などがより厳しくなっていきます。

これが、畑名になると更に厳格に制限されていく、という具合です。

そして、各段階の制限を守ったと認められたワインだけが、その地域名村名や畑の名前をラベルに書くことが出来る。

これが、「アペラシオン=原産地」表記をした、「原産地呼称保護ワイン=AOPワイン」というわけです。

 

このアペラシオン認定は、フランス全土のワイン産地を分析し、

ふさわしい品種や栽培方法、醸造法などを規定する組織「INAO(国立原産地名称研究所、イナオ、と呼びます)」

が存在することで制度として確立されています。

INAOはワインだけでなくチーズやバターなど、産地が品質の判断基準となる食品も管轄しています。

農業大国であるフランスから世界中に輸出される食品の品質の高さを担保するために、

国がここまで緻密な規定をしているということに、感心しますよね。

 

日本は今も、この原産地統制呼称制度が確立されておらず、産地表示も曖昧なまま。

例えば「国産ワイン」と書かれていても、原料の果汁はアルゼンチンやチリ産、というものが数多く存在します。

格安のブドウ濃縮果汁をタンクで輸入、日本で発酵から先の製造工程を経て瓶詰めすれば「国産ワイン」、

なんていう網の目を抜けるようなやり方、どう思いますか???

 

今回は「原産地呼称」の仕組みについて、のマメ知識でした。

次回も引き続き「説明できるようになろう」シリーズを続けていきます!