「アッサンブラージュ」の意味するもの。
Column
今回はシャンパーニュ造りにおいて非常に大切な工程である「Assemblage(アッサンブラージュ)」について説明をさせて戴きます。
一般的には「ブレンド」として知られている作業ですね。
この言葉は英語でも同じ綴りですが、ただ「混ぜる」という意味合いよりは「集合させる」「組み立てる」というニュアンスが強い言葉。
その作業の手順と、意味合いについてをお話ししていきます。
それではまず、ブドウ畑がどうなっているのか、を思い浮かべて下さい。
THE CHAMPAGNEには、どのシャンパーニュにも必ず畑の写真が掲載されていますので、それらを見て戴いても良いです。
ワイナリーは基本的に、ブドウ品種ごとに作付する区画(や、植え付けの列)を分けています。
この道からこっちはピノ・ノワール、こちらはムニエ、という具合です。
区画毎に細かく地質調査などを行い、ブドウ品種それぞれと適合性の高い土質を持つ場所に植え付けをしていくことで「品種毎の区画」が出来ていきます。
そして、品種毎に分けた大区画の中に「樹齢の若い樹の区画」と「古木の区画」等の細分化があり、日当たりや土壌の非常に細かい違いによって区画が更に細分化されていたりもします。
そしてそれらの細かい区画には、分類・管理をするために、時に名前が付いていることがあります。
シャンパーニュでも「畑名ワイン」と呼ばれる「畑の名前が付けられたワイン」は、細かく分けられたひとつの区画から収穫されたブドウで造るワインです。
狭く限定された区画から生まれたワインほどその産地のテロワールが純粋に表現される、というわけですね。
それでは具体的にワインの仕込みとアッサンブラージュの手法に入っていきましょう。
ワイン生産者は基本的に、この「区画」毎にブドウを収穫し、まずは品種・区画単位などに分けて別々にワインを仕込んで行きます。
仕込みタンク毎に、「ピノ・ノワールA区画」「ピノ・ノワールB区画」などと分けて、何種類もの原酒を造っていくイメージです。
ですから、規模が小さくても丁寧に造っている生産者では、醸造所に沢山の仕込みタンクが並んでいます。
例えばシャンパーニュでブドウを3品種使っている蔵で、各品種で区画が5つずつに分かれていたとしたら、3品種×各5区画=15本のタンクが必要、ということです。
この例だと、まずはこれらの細かいタンクで15種類のワインを造ります。
この一つ一つのワインが「Cuvee(キュヴェ)」。
「キュヴェ・○○」という商品名が付いたワインが沢山ありますが、この「仕込んだお酒ごとに付けてあげる名前」が「キュヴェ」という言葉の由来です。
各キュヴェが出来上がると、これらの原酒を混ぜ合わせて最終的なワインに仕上げていくアッサンブラージュ作業が本格的にはじまります。
ワインメーカーはその年に収穫されたブドウの状態から、どの品種を何%使うのか・どの区画をどう使うのか、などを判断し、自分たちが理想形とするワインに少しでも近付けるように配合を行います。
このブレンド作業の際に、その年によって出来の良かった品種・区画の比率を増やしたり、やや熟度が足りなかった品種は減らしたり・・・と配合量を細かく調整するため、最終的に出来上がるワインは年毎にブドウ品種の構成比が変わっていきます。
それは、ノンヴィンテージのシャンパーニュでも同じ。
毎年の品種毎、区画毎のワインの出来上がり状態に合わせて、使用比率を変えていくということです。
混ぜていくのではなく、一つの作品となるようにブドウ品種や区画毎のワインを集合させ、組み立てていく。
反対に、とても極端な例も挙げておきましょうか。
今まで散々お話ししてきた「品種・区画毎に細かく別々にワインを仕込み、最後に出来たワインを混ぜる」という手法を完全に覆し、一つの畑に様々なブドウ品種を一緒くたに植え付けておき、収穫はまとめて一緒に、仕込みも当然一つのタンクでやってしまう、ということを実施している生産者も存在します。
一見乱雑な造り方のように見えますが、これも昔は立派なワインの仕込みだったと思います。
こういった自然に任せた製法の方が、その土地やヴィンテージの特徴、というものが明確に出るのかもしれません。
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