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≪知っているとちょっとお得なワインマメ知識≫「ワインの保存環境について」2016/02/29

前回から続く「ワインの飲み頃」に関連したお話をさせて戴きます。
ひとつ前のコラムでは、ワインには造られた時点でそれぞれ異なる飲み頃が設定されていること、
でも保存環境によってその設定された飲み頃に到達するタイミングは変化する、という話を致しました。

では「保存環境」の違いというのはどういう考え方でしょうか。

皆さんは、CLUB30や他のワインショップで購入されたワインを、どのような場所で保存していますか?
ワインセラーを持っている方は、ワインが届いたらすぐにそこに入れていらっしゃるかと思います。
または、セラーではなくても、キッチンに近い収納庫に入れたり、冷蔵庫の野菜室に入れたり。
様々な場所で、でも今現在ご自宅で最大限「ワインの保存に適していると思う」
場所で保存されていると思います。
(先に言っておきますが、「こんなとこに保存しちゃダメ!そんなのも絶対ダメ!ワインが可哀想!」
 みたいなお話ではありませんので、ご心配なく・・・)

まず前提として、ワインの保存環境を構成する要素には様々なものがあります。
例えば、「温度」「湿度」「振動・音」「光」「匂い」などがその要素として挙げられます。
今挙げた5つの要素はどれも、保管中のワインに大なり小なり何らか影響を与える要素です。

これを見れば、どんな場所が「ワインの完璧な保存環境なのか」というのは、
容易に想像ができるのではないでしょうか。
そう、ワイナリー写真でよくある「地下セラー」です。
例えば、フランス国内のワイン生産者や有名レストランの地下セラーは、
地域にもよりますが年間通じて温度は「12-15度」、湿度が「70%前後」が自然に維持されています。
だから、フィラディスのワインセラーは13度の部屋と15度の部屋の2種類、湿度は75%に設定しています。

地下深いため光は入らず、誰もいなければ音もしない。地震が少ないので振動もない。
ここで保存・熟成をされたワインが、最初の「設計図」通りに飲み頃を迎えていくわけです。

そこで・・・これを100点満点の完璧な環境、とした上で保存環境について再度考えてみましょう。
家庭用のワインセラーは、基本的には地下セラーと同じ温度&湿度に設定されているかと思います。
温度は大体14-15度、湿度75%。
ワインを出し入れする際の開け閉めで温度・湿度の変化があることを除けば、ほぼ理想的な環境です。
振動・音・光も、大部分は遮断されているでしょう。
開け閉めによって若干の変化は避けられませんが、
それでも日本国内の家庭(地下セラーが無い場合)で保管するとき、これ以上の環境はなかなか考えられません。

ここまで読んで頂いた方、「じゃあ自宅にワインセラーが無いとすぐにワインはダメになってしまうんだ」
と思ってしまったかもしれませんね。

でも・・・実は大丈夫です、非常に繊細な古酒などを除けば、そんなことはありません。
良いブドウを使って丁寧に造られたワインは、そこまでヤワではないですよ。

もちろん、常温の収納庫に入れたままで日本の真夏を超えて更に何か月、何年も保存するのはさすがに難しいです。
でも、買ったワインを飲むまでしばらく家で置いておくくらいなら、そこまで徹底的に管理しなくても大丈夫。
熟成がちょっと早めに進む、くらいだと思っていてください。
逆に、少し風の通りがあったりして温度が軽く上下するくらいのほうが良い、という説もあるくらいです。
だから、あまりワインの保管に神経質になり過ぎず、
思い込みから解放されて、ワインを日常的に気楽に楽しみましょう!

そう言えば、僕がソムリエ試験を受けた1990年代の後半、試験対策のセミナーで某ベテランソムリエが、
「皆さんもまだワインセラーは持っていないでしょうから、玄関の下駄箱に入れるといいですよ。
玄関は家の中では空調の影響を受けないし、湿気も十分、風通しも良いので・・・」という話をしていました。

会場の全員が、『(靴の「匂い」は・・・?)』という疑問を噛み殺していた空気が伝わりました(笑) 
大ベテランのソムリエさんだったので誰も突っ込みませんでしたが。
まだ今みたいに手頃な価格のセラーが無かった時代のお話ですから、
その有名ソムリエも気軽に「セラーは必須です!」とは言えなかったんでしょうね。
下駄箱はさすがに極端かもしれませんが、
玄関近くの収納は、日本の家屋の建物内では比較的温度変化が少なく風通しの良い場所としてはおススメです。

今回知っておいて戴きたいポイントは、ワインの理想的な保存環境について、でした。
次回も続けて、「ワインの熟成」についてお話ししたいと思います。

さて、本日もワインを1本おすすめさせてください!(^^)!
WINE CLUB30のワインは蔵出しからセラー入れまで全てリーファー定温管理をしているので、
話題的には全てお勧めなのですが、敢えて1本選ぶとしたらこれでしょうか。

前回の「シャトー・スオウ カディヤック・ルージュ」と同じ6年熟成!2009年ヴィンテージのフランス赤。
「シャトー・ド・ラングースト AOCミネルヴォワ」2009年、価格は1,600円と比較的手頃な南仏産ワインです。
こういったワインは通常早飲み向け、2-3年で飲み頃になるものが多いですが、
適正な環境で保管をすれば5-6年経ってきれいに丸く熟成した状態が十分に楽しめる、という好例です。
さすがに在庫本数も減ってまいりましたので、6年の熟成度合を楽しみたい方はお早めに!!

熟成が進んでいるワインですので、抜栓は出来るだけ早めに。
夕食に楽しむのに、お昼頃いったん栓を抜いて、コルクを軽く差しておけば良いと思います。
お食事中にゆっくり開いていくのを楽しみたい方は、90分前で。
90分前に抜いた場合は、コルクを差さずに開けたままで置いておいてくださいね。
そして、結構スパイシーでパワフルなワインですので、温度はやや低めに。
6年経っても、こんなに果実のジューシィさが残るんだ、と驚くこと間違いなしですよ♪

item/27/  ←「シャトー・ド・ラングースト」、そのきれいな熟成をお楽しみください。

今回も長文を最後まで読んで戴いてありがとうございました!

Firadis WINE CLUB 30 店長 五十嵐 祐介

*今回のテーマの関連資料として、
ラ・トゥール・ダルジャン・パリのシェフ・キャビスト(セラー管理責任者)林 秀樹氏と、
株式会社フィラディス社長石田が「ワインの保管・熟成、古酒の魅力」について語った対談動画があります。
お時間がありましたら、是非Youtubeでご覧ください。
https://www.youtube.com/watch?v=jX143hM27X0&feature=youtu.be  ←Part 1はこちらから。続けて2,3もご覧下さい♪