タイムセール開催中!

終了時刻:2020年6月8日(月)午前09:59

【クール便推奨期間について】
2024年4月30日(火)12時より、ワインのコンディションを保つためにクール便にて配送させていただきます。また、当店が提携しております運送会社のクール便料金の改定に伴い、同日よりクール便料金を550円に改定させて頂くことになりました。

「アラビアガム」って何だ?? ワインの添加物について、ちゃんと知りたい③ - 知っているとちょっとお得なワインマメ知識2016/01/17

乾燥アラビアガム 今回のテーマ「アラビアガム」の樹脂を乾燥させたもの

今回もワインのマメ知識コーナーでは「亜硫酸塩」に続き、 「添加物」のお話をしたいと思います。
亜硫酸塩について2回に分けて掲載したコラムの反響が非常に大きく、
ワイン愛好家の方々が亜硫酸塩に対して強く興味を持っていらっしゃることが分かりました。
自分の体に入るものですから、どんなものなのかちゃんと知っておきたいと思うのが当然ですよね。
そこでこれから、ワインに含まれる幾つかの添加物についても同様にお伝えしますよ!

スーパーやワインショップの店頭に並んでいるワインのバックラベルを見ると、
大部分のワインは「酸化防止剤(亜硫酸塩)」とだけ表記がされていると思いますが、
中には様々な食品添加物が含まれている場合があります。
「ビタミンC」、「酸味料」、「ソルビン酸」、「ソルビン酸K」・・・等など。
今回はその中で最も「?」が付く 「アラビアガム」という添加物についてご説明したいと思います。
近年は大規模生産者のボージョレ・ヌーボー等にも使われているこの添加物、
一体どんなものなのでしょうか。

初めにCLUB30としての考えを明確に申し上げておきます。
今回の「アラビアガム」は、
亜硫酸塩のように伝統的に使われていて、正しく使用すれば良い機能も果たすようなものではありません。
CLUB30としては、これが記載されていたらそのワインを買うのは決しておススメしません、というものです。
なぜならこの添加物は、ワインに対して一種のドーピング的な役割を果たしてしまう物質だから。

CLUB30は、正しくフェアに作られたワインの中から、皆さんの好みに合うワインをご提案します!

自分好みのワインに確実に出会う方法

それでは、まずはアラビアガムとはどんなものなのか、というところから始めましょう。
アラビアガムは元々、 アカシア属の「アラビアゴムノキ」という植物の樹皮に傷を付け、
そこから流れ出た分泌物を乾燥させたものから作られる、非常に強い粘性を持った物質です。

食品添加物としては、「安定剤」や「乳化剤」といった形で清涼飲料水やアイスクリームなどに使われ、
食品以外の分野では絵具やインクなどにも使われています。
この物質について調べると必ず出てくるのが、「コーラ系飲料」の例です。
コーラ系飲料はアラビアガムが入っていないと甘味料が沈殿し、透明な飲み物になってしまうそうです。
つまり、沈殿や分離を防ぎ、様々な物質の混ざり具合を安定化させる機能を担うわけですね。

この添加物について、医学的な見地からアレルギー性や毒性などが検証されていますが、
今回のポイントは実はそこではありません。
この物質を加えることで 「ダメなワインをそこそこ良いものにしてしまう」ことが出来る、
というところに問題があります。

僕はこの「アラビアガム」という添加物がワインに使われているのを初めて認識したのは、
2007年~2008年頃、大手メーカーのスペインワインだったかと思います。
ワインを輸入する前には各商品の分析データや製造方法を確認する資料を取り付けるのですが、
それまで亜硫酸以外の添加物が使用されていなかった資料に、
ワインでは見慣れない「Arabic Gum」を添加する、という記述を見つけたのでした。

調べてみると「アラビアガム」という食品添加物はEUはじめ日本でも認可された安定剤で
乳製品などを中心に一般的に使われているものだということ。
使用している場合はバックラベルに「安定剤(アラビアガム)」と記載すれば良い、とのことでした。
ですが、そもそもワインには出来るだけ余計なモノを加えたくないですし、
「アラビアガム」なんて表記したワインを販売したくありません。
製造ワイナリー側に「日本市場向けは使用せず作ってほしい」と依頼したところ、
それでも良いが、このヴィンテージは使用しないと味が非常に軽くなってしまう、という回答があり、
非常に驚いたのを鮮明に覚えています。

「では、出来がイマイチだった年はアラビアガムを加えればそれなりに形になるということなのか?」
と疑問を持ったので、
「アラビアガムを添加したワインと添加していないワイン、2種類作って比較させて欲しい」
とワイナリーに頼みました。

そして実際に2種類のワインが届き、比較試飲をしてみて驚愕しました。
2種類のワインは、全く別物だったのです。
アラビアガム使用のワインは、甘い果実の味を感じて柔らか、口当たりに滑らかさを感じます。
一方で使用する前のワイン(これが「原液」ですね)は、
何ともやせっぽちで果実の膨らみも無い、赤ワイン風味の飲みモノ、とでも言いたくなるような、
がっかりするような代物だったのでした。

・・・これだったら、何でも手直し出来て、ヴィンテージなんて何の意味も無いじゃないか、
というのがその時の気持ちでした。
しかし生産者側としては、低価格で提供しなくてはいけないデイリーワインは、
毎年毎年味わいが変わることなくいつでも同じ品質・味わいをキープしたい、と思うのでしょう。

勿論、他の飲料水や食品も添加物や化学調味料でいつも同じ味わいを構築しているのだから、
ワインで同じようなことをしても良いじゃないか、と言われたらそれはそうかもしれません。
でも、それをしてしまうことで、
産地の個性や年々の作柄、造り手の情熱や力量等、
ワインの醍醐味である要素の多くが損なわれてしまうと思うのです
皆さんは、どう思いますか?????

CLUB30以外の店頭でワインを購入される時は必ずバックラベルを確認してみてください。
そしてそこに「アラビアガム」の使用表記があった場合には、
上記のように 味の「補正」がかかっていることを納得した上で、買ったほうが良いと思いますよ。
(最近は 「安定剤(アカシア)」と掲載している場合もあります。
 確かに「ゴム」よりはイメージが良いかもしれませんが・・・。)

最後にもう一度…CLUB30は、正しくフェアに作られたワインの中から、皆さんの好みに合うワインをご提案します!

自分好みのワインに確実に出会う方法

ワインの添加物については、今後も引き続き色々と書いていきますよ。

WINE CLUB 30 店長 五十嵐 祐介