<フィラディス繁盛店インタビューNo.1>L’AS / CORK 田辺公一シェフソムリエ

<フィラディス繁盛店インタビューNo.1>L’AS / CORK 田辺公一シェフソムリエ

【フィラディス繁盛店インタビュー】 フィラディスの営業がお客様とお話しする中でよく聞かれるのが、「今どんな店が流行っているの?」という質問です。お客様が求める情報をご提供するのが私たちの仕事!・・・ということで、今消費者に支持されている繁盛店2店にインタビューを行い、フィラディスの視点で分析させていただきました。お役立ていただけますと幸いです。


2012年2月のオープン以来、予約困難な人気店として話題となっているL’AS(ラス)。

2013年11月末には、店舗を移転するとともに新店舗CORK(コルク)をオープンさせた。CORKでは、“ワインからアプローチするマリアージュ”をコンセプトとして、通常マリアージュと言うと料理が先にあってワインを合わせるが、ワインを起点として料理を合わせるという逆転のマリアージュという新しいスタイルを提案している。今回は、シェフソムリエを務める田辺公一さんにお話を伺い、その繁盛の秘訣を探った。

 

L’AS -お客様に強い印象を残し、“また行きたい”と思わせる仕掛け

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L’ASの店内に入ると、まず客席と一体になったオープンすぎるほど距離感の近いキッチンに驚かされる。また、テーブルの引き出しに収納されお客様自身で取り出すカトラリーなど、独特の感性が光る店づくりが特徴である。

L’ASで提供する料理は、ランチ・ディナーともに5000円のおまかせコースのみ。ワインのデギュスタシオンコースを追加しても1万円と、分かりやすい価格である上に手頃で安心感がある。この価格設定は、お客様がフレンチレストランに対して感じる敷居の高さをぐっと下げ、行き慣れていないお客様でも気軽に訪れることが出来るため、間口の広さにつながっていると考えられる。

また、料理は全て3週間で変えているという。短期でメニューを変えるとすると、その料理の完成度に不安が出てもおかしくはないが、逆にL’ASの兼子シェフであれば完成度を高められるという自信の表れでもあるだろう。お客様は、毎回違う料理にワクワクさせられるし、何よりリピートしたくなるというメリットがある。

しかし、ただ単純に3週間でメニューを変えるのではなく、お客様に“刺さる”料理は変えない。L’ASのスペシャリテであるフォワグラのクリスピーサンド(フォワグラをハーゲンダッツのようなクリスピーサンドにして、個別の袋に入れて提供)は、誰でも知っている高級食材であること、料理名、提供の仕方の全てがキャッチ―でお客様の印象に残るし、他の人にも伝えたくなる。メディアにとっても、代名詞となるメニューがあることで取り上げやすくなるだろう。

このような“お客様への印象付け”は、メニュー以外にもあらゆるところに見られる。前述のテーブルの引き出しに収納されたカトラリー然り、マグナムで提供されるシャンパーニュ然り。ワインについても、食材の産地や個性を考慮し、その料理に合うものを選んでいるため色々な国・品種の個性的なワインを多く扱う傾向にあるとのことだが、そのワインのラインナップ自体がお客様への印象付けにも一役買っている。一つ一つは小さいことではあるが、お客様にとっては初体験の連続で新鮮に感じるだろう。こういった印象的なパフォーマンスがしっかりとお客様の記憶に残り、好意的な口コミやリピートにつながっているのだと感じた。

 

効率を追求

<効率の良さを追求したシステム>

おまかせコース1本のみというスタイルは、当たり前ではあるが、準備する材料も仕込み作業も1コース分だけで済むため非常に効率が良い。そのため、5,000円という価格でも、使いたい食材を使ってクオリティーの高い全力の料理を作り、お客様に還元出来ているという。お店は無駄なものを極力削減することが出来、お客様は驚くほどコストパフォーマンスの高い料理を楽しむことが出来る。また、ワインリストはコースに合わせた5種類のみ(ボトルワインは多数用意がある)と、普通のレストランでは考えられないほどの小ささだが、お客様にとっては選びやすく、お店にとっては在庫を抑えることが出来る。

効率の良さは店舗デザインにも言える。L’ASのキッチンは通常の店舗であれば隠すような部分までも全てオープン。お店の面積をうまく使うことと、お客様にしずる感を感じさせて食事に集中させることの両者へのメリットとして機能している。また、隣接するCORKの料理は、全てL’ASに併設されているキッチンで作っているが、2店舗分の料理を1つの厨房で作ることで、面積を抑えて席数を増やし、働くスタッフの数も削減出来ている。

L’ASで追求しているのは、お客様に我慢を強いるのではなく、お店にもお客様にもメリットとなるような効率の良さであり、今の時代に受け入れられる新しい形であると感じた。

 

<新しいサービスの形>

L’AS/CORKでは、料理のサーブはシェフも担当するが、お店のサービスという意味では、2名で60名をまわすことができるという。これは従来のフレンチの常識からすると驚きであろう。それを実現する要素としても当店特有のシステムが機能している。カトラリーを引き出しに入れることで8往復分のサービスを削減出来、メニューやワイン数を絞ることでスタッフ全員がお客様への説明を高いレベルで行うことが出来るようになる。ここでもお客様に不自由を強いずに、効率的なサービスが出来ているのである。

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また田辺氏は、過剰なサービスや常連客への特別視は行わず、全てのお客様に情報は不足なく伝えながらも平等に接することを心がけているという。適度なサービスはお客様にとって居心地の良いものであるだろうし、L’ASのシステムや雰囲気とかみ合っているのだと思われる。更に、特定のスタッフがいるから通おう、というお客様が多くなることは強みにもなるが、お客様がその店の顧客になった訳ではないため弱みにもなる。L’AS流のサービスであれば今後の店舗展開も可能になるだろうし、今後の展開も見据えた戦略のようにも聞こえた。

 

L’AS特有のしずる感×効率UPでお客様満足度を高める

今回L’ASを取材させて頂くなかで驚きとともに見えてきたのは、無駄を徹底的にそぎ落とし効率を重視する当店のコンセプトと、そのコンセプトから生まれたおまかせ1本のみのメニューが、多くの効果を生み出しているということだった。店舗での効率性の向上と、お客様が感じる印象やしずる感というのは従来のフレンチレストランであれば相反することも多いが、L’ASではしっかりとかみ合っている。いや、かみ合う以上に双方が双方を相乗的に可能にしていると感じた。

極限まで削ぎ落とし、効率を上げることで生み出した余裕や余分は、食材やワインに充てることでお客様に還元し、お客様に最大限の満足感をもたらしている。

L’ASという名前には、「一番手」や「第一人者」といった意味があるという。L’ASのスタイルは、ただ何となくそうなったというのではなく、目指す店の形が明確で全くぶれておらず、その思い切りの良さや潔さには心地よさを感じるほどである。L’ASで鮮烈な先手を打ったあとには、次の手としてCORKをオープンさせた。CORKでは、“ワインからアプローチするマリアージュ”というコンセプトのもと、ワインを選ぶことで、そのワインのためだけに作り上げられた一皿を提供するという新しいスタイルの提案に挑んでいる。

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★ 田辺シェフソムリエのマリアージュ哲学 ★

ワインは、シャルドネやソーヴィニヨン・ブランなど取りあえず置くのではなく、料理によって変えている。

料理に使う素材や調理法に合わせ、“これじゃないといけない”という理由があるワインを選ぶ。例えば、標高が高いなら高いなりの、暑いなら暑いなりの、海沿いなら海沿いの、内陸なら土の香りなど内陸らしさ、フランスならフランスらしさ、イタリアなら黒オリーブの香りや土地の食材の香り、スペインならパプリカやトマトのニュアンスを持つなど、そのワインが造られた土地の本来あるべき姿やテロワールが表現されているワインでないと、料理とのマリアージュは良くならないと考えている。

 

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!