【歯科医インタビュー】ワインによる歯の痛みと着色の悩みをズバッと解決!(広報 浅原 有里)

【歯科医インタビュー】ワインによる歯の痛みと着色の悩みをズバッと解決!(広報 浅原 有里)

ワインに関わる方に共通する悩みと言えば、“歯”ではないでしょうか。 一つは痛みです。試飲会など一度にたくさんのワインをテイスティングするような場面で、歯がしみたり、ズキズキ痛んだりといったお声をよく耳にします。私もそのひとりで、30種類以上をテイスティングするような時には、段々キーンと歯にしみるようになり、その後3日間くらい食事や歯磨きの時に痛みを我慢することになります。 もう一つの悩みは着色です。濃い赤ワインをテイスティングすると歯は真っ黒!歯磨きでその場ではキレイになりますが、少しずつ汚れは蓄積されていきます。弊社の社員も含め、長年ワインを飲んでいる方の歯は一般の方よりもくすんだ色になっている場合が多く見られます。


この2つの悩みの解決法を探るため、歯に関する世界の最新データや治療法に詳しいパシフィックデンタルクリニックの伊藤裕人院長にお話を伺いました。

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歯の痛み ‐酸蝕症さんしょくしょうのコワ~イ話‐

ワインは、実は歯にとってはリスクの1つです。

歯は酸にとても弱く、pH5.5より低いものを口にすると表面のエナメル質が溶け始めます。ワインのpHは約2〜4ですから、かなりの酸性です。

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歯の大敵といえば虫歯ですが、虫歯は虫歯菌が糖分を食べて排泄物として酸を出し、その酸により歯が溶けるために起こります。ワインを飲んだ時には、虫歯菌を介さずに虫歯と似た状況を作ってしまっているのです。飲食物などの酸によって歯が溶けることは「酸蝕症」と言って、最近世界的に注目されてきています。

ただ、人の体はうまく出来ているもので、食べ物や虫歯菌の酸などで歯が溶けてカルシウムイオンやリン酸イオンが抜け出してしまったとしても、私たちの唾液の中にそれらのイオンが含まれており、修復(再石灰化)してくれます。食事や間食の度に、口の中では歯が溶けて唾液で修復するということが毎回行われているのです。

修復が充分に行われて強い歯を保っていれば多少ワインを飲んでも問題は起きないはずですが、試飲会で1時間以上ワインを口に含み続けたり、レストランで数時間かけてワインを飲んだりすると、口の中はその間ずっと酸性の状態になり、歯が溶け続けてしまいます。ワインを飲んだ時に感じる歯の痛みは知覚過敏(虫歯でもないのに歯にしみて痛いと感じる症状)の一種なのですが、こういった長時間のダメージにより知覚過敏が起こるのです。

さて、このワインによる知覚過敏は、個々人の歯の状態によるところが大きく、どんなにワインを飲んでも全く痛みが出ないという人もいます。私たちには“ワインを飲まない”という選択肢は考えられませんので、痛みを取り除くためには歯の状態を改善する必要があります。では、どのような改善方法があるのか?テイスティングの最中、テイスティング後、日常的なセルフケアの3段階でご説明します。

 

● テイスティング中

ワインの酸に対抗するものとして最も効果的なのは唾液ですが、試飲会時にワインを試飲する度に唾液での保護を待っていたら時間が掛かりすぎてしまいます。であれば、手っ取り早く酸性状態の口の中を中性に近づけてしまえばいいわけです。

一つはアルカリ性の食品であるチーズを食べること。特にハードチーズ系がオススメです。チーズに含まれるカルシウムにより、歯の表面に保護膜を作ってくれる働きもあることが分かっており、歯の状態を改善するためにはとても効果的です。

もう一つは、飲料水で口をゆすぐ方法です。厚生労働省の定める水道水の基準はpH5.8~8.6、販売されているミネラルウォーターにはpH9~10のアルカリイオン水などもあり、テイスティングの合間に10秒ほど口に含んでおくと歯の酸蝕を防いでくれます。

とはいえ、試飲会などのテイスティング時には、チーズも飲料水も邪魔となってしまうため取り入れづらいのが難点です。

 

● テイスティング後

テイスティングの後は酸で歯がすり減りやすくなっており、傷を付けてしまう可能性があるため30分~1時間くらいは歯磨きを控えてください。

一番オススメなケアは、歯磨き粉を薄く歯に塗っておくことです。え?歯磨き粉が口に残って気持ち悪いのでは・・・と思われた方、少々お待ちを!大抵の歯磨き粉にはフッ化物(フッ化ナトリウム)が含まれているのですが、このフッ化物には、歯質を強くして虫歯予防や酸で溶けた歯を修復する効果があり、しみるのを 止める効果が期待できるのです。現在の歯磨き指導では、歯磨き後のうがいは最小限にして、歯磨き粉が口に残った状態で置いておくことが推奨されているほどです。フッ化物入りのジェルやうがい薬などでもOKですので、ぜひ試してみてください。

尚、知覚過敏対策として販売されているシュミテクトには、フッ化物に加え、神経にバリアを作って痛みを予防するカリウムイオンが含まれていますので、シュミテクトを塗っておくのでも良いでしょう。

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● デイリーケア

日々のケアとしては、まずは日々フッ化物が入った歯磨き粉を使用した歯磨きで歯を強くすることが重要です。歯科で行っているフッ化物コーティングを活用するのも一つの手です。

また、唾液が出にくくなるような口内の乾燥やタバコは要注意です。タバコは歯茎を固くすることが分かっており、歯茎から唾液が出にくくなります。その他、歯に傷や虫歯があったり、歯周病で歯茎が衰えて歯の根元が露出していたりすると、知覚過敏は起きやすくなるので、歯を健康な状態に保つことが大切です。

 

ホワイトニングにはどんな方法があるの?

ワインを飲んで歯が黒くなる・・・この歯の着色には、個人差があります。歯石がたまっている場合や、歯の表面に傷がある場合は着色しやすくなります。日常的に着色を防ぐには、定期的に歯科でクリーニングをしてもらって歯を健康に、ツルツルの状態にしておくことが重要です。

そうは言っても着色してしまった歯はどうすればいいのか?ホワイトニングには3種類の方法があります。

① 歯磨き

外から付いた汚れを落とすにはまずは何と言っても歯磨きです。手磨きでも問題はありませんが、電動歯ブラシ、特にフィリップスのソニッケアーは手磨きよりも磨き残しが少なく着色が落ちやすいそうでお勧めされていました。ちなみに、ホワイトニングを謳った歯磨き粉もたくさんありますが、残念ながら通常のものと効果はさほど変わらないようです。。。

 

② 薬剤によるホワイトニング

薬剤を塗ったマウスピースを寝ている間に装着する方法や、薬剤を塗って光を当てるような方法のホワイトニングです。 どちらも薬剤を歯の内部(エナメル質)にしみ込ませて、歯磨きではとれない歯のエナメル質を白くすることが可能です。しかし、いきなりパッと白くなるわけではないので、根気強く続ける必要があります。

また、ワインを扱うお仕事の方だと難しいのですが、効果を高めるためには、ホワイトニング期間中(マウスピース型だと1回2週間程度)は出来るだけ着色するような飲食物は口にしないことも重要になります。相場価格は2~3万円です。

 

③ ラミネートベニア

芸能人の真っ白な歯、その多くはこの方法を取っています。歯の表面を薄く削って、表面に薄い板を貼付ける方法です。自分の歯を覆ってしまうので、すぐに白い歯を実現できます。1本あたり約5~10万円と非常に高額なことに加え、一度自分の歯を削ってしまっているので一生リペアなどのメインテナンスが必要になります。長い付き合いになるので、信頼できる実績のある先生を選ぶことが重要です。

 

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今回伊藤先生にお話を伺ってみて、酸蝕症による痛みにしても着色にしても、根本的に歯を健康でツルツルの状態に保っておくことが何より大切だと実感しました。

ワインは一生付き合っていく大切な人生の親友ですから、トラブルとは無縁に、美しく楽しんでいきたいですよね。今回の情報を皆さんのワインライフにお役立ていただけたら幸いです。

 

<ご協力>

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パシフィックデンタルクリニック

日本では歯科医院というと悪くなってから歯を治すために通う所というイメージがあります。しかし、そういった対処療法的な治療ではむし歯や歯周病を退治することができず、やがては歯が失ってしまう人が大変多いのが日本における歯科治療の現実です。

本当に重要なのは、歯を失わないようにクリーニングをはじめとする日頃のメインテナンスを行うこと。それにより、生涯自分の歯で食事やおしゃべりをすることができます。

パシフィックデンタルクリニックでは、歯科先進国である欧米では当たり前となっているメインテナンスを最も重視したシステムを採用し、いつまでも自分自身の歯で健康な暮らしをしていくための治療に全力で取り組んでいます。

〒248-0014 神奈川県鎌倉市由比ガ浜2丁目16-2 サンフローラ2F
TEL: 0467-39-6707
https://pacific-d.com/

 

NPO法人「最先端のむし歯・歯周病予防を要求する会」
https://www.honto-no-yobou.jp/

 

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!