ワイン主要評価誌 最新事情(ファインワイン担当 曽束 仁寿)

ワイン主要評価誌 最新事情(ファインワイン担当 曽束 仁寿)

現在、弊社でお送りしている『在庫リスト』の備考欄に評価点を記載しているワイン評価誌は、「WA (Wine Adovocate ワイン・アドヴォケイト)」、「IWC (International Wine Celler インターナショナル・ワイン・セラー)」、「AM (Allen Meadow アラン・メドー)」、「WS (Wine Spectator ワイン・スペクテイター)」、「RJ (Richard Juhlin リチャード・ジューリン)」「MB (Michael Broadbent マイケル・ブロードベント)」の6誌です。


これらの評価誌を改めてご説明させて頂くとともに、少しずつ変わりつつあるジャーナリスト業界の最新情報をお送りします。

Wine Adovocate ワイン・アドヴォケイト

「WA」は皆さんご存じのWine Adovocate、いわゆるパーカーポイントです。創刊以来、外部からの影響を排除するため広告を受け入れずに評価を行っています。元々はロバート・パーカー氏一人で全てのワインを評価していましたが、徐々にテイスターの人数を増やし、2015年現在ではパーカー氏を含む8名のテイスターが各産地を分担するチーム制で評価点がつけられています。尚、今ではパーカー氏はほとんど評価を行っていないため、「WA」の点数はパーカーポイントと称されるものの、必ずしもパーカー氏本人のポイントではありません。

以前、スペインワインは高評価点が多いことから“均一性”という点で疑問視され批判もされてきたチーム制ですが、広範囲のワイン産地をカバーするためにはチーム制の方に利があります。実際に、評価されるワインの数は他の評価誌と比べて「WA」が最も多いです。

International Wine Celler インターナショナル・ワイン・セラー

「IWC」は以前とは様子が異なります。以前はステファン・タンザー氏中心の評価誌でしたが、2014年11月にアントニオ・ガッローニ氏主宰の「Vinous」と統合しました。

ガッローニ氏は「WA」でブルゴーニュ、シャンパーニュ等を担当し、パーカー氏の右腕として活躍してきましたが、「WA」が2012年末にシンガポールの実業家に買収されたのを期に、翌年自身の評価誌として「Vinous」を立ち上げたのです。ガローニ氏の「WA」時代の評価データは全て「WA」に置いてこなければならなかったため過去のヴィンテージのデータ量が不足しており、「IWC」と合併して「WA」に対抗出来うる総合評価誌としての道を選んだようです。

Allen Meadow アラン・メドー

「AM」はアラン・メドー氏のみの評価で、ブルゴーニュワインとシャンパーニュ、新世界のピノ・ノワール、シャルドネに評価を特化しています。ブルゴーニュワインの基準は一貫しており、村名格のワインが特級格に匹敵する点数がつく事はありません。また点数とは別に「Sweet Spot Outstanding」、「Outstanding」、「Outstanding Top Value」という記載をされる場合もあります。「Outstanding」は傑出したワインを指し、「Sweet Spot Outstanding」はそれ以上にアラン・メドー氏の心を打ったワインを指すようです。「Outstanding Top Value」はポイントとしては90点以下のものが多く、概して村名格以下のワインに付けられますので、価格以上のお値打ち感を表していると思われます。

ブルゴーニュの評価自体が少ない「WA」に代わって、最近では強い影響力を持っています。尚、「AM」の評価は、ミネラル感やタイトさ、エレガントさに重点を置いている点が特徴です。

Wine Spectator ワイン・スペクテイター

「WA」「Vinous(IWC)」「AM」が有料会員のみのサービスに対して、「WS」は月2回発行の雑誌の販売が運営の収入源となります。雑誌という媒体の特性上、数多くの紙面広告を受け入れており、それが評価点に影響がないとは言い切れません。そのため、「WA」などと比較して「WS」だけ高評価を受けているという事が稀にあり、特定のワインに対しては甘めに評価される場合があるとも言われていますし、商業的な側面があるのは事実です。

「WS」では、毎年末にその年のTOP100を決める目玉企画があり、新世界を含めてかなり広範囲にわたるエリアから選出されます。アメリカ、特に西海岸では大きな影響力を持ちますが日本での影響は非常に限定的です。

Richard Juhlin リチャード・ジューリン

「RJ」はシャンパーニュに特化した評価誌です。シャンパンのブラインド・テイスティングで50銘柄中43銘柄を的中させたとして注目を集めたスウェーデン人のリチャード・ジューリンは、「2000 Champagne」、「4000Champagne」と評価本数を増やし、 最新では「8000Champagne」を出版しました。圧倒的な古酒の評価量からいって、シャンパーニュの大家と言ってよいでしょう。

大きな評価を得た「4000Champagne」以降の彼の活躍により、古酒シャンパーニュが高騰したのも事実です。著作が「2000」、「4000」、「8000」と倍々で出版されているので、次回作は「16000」になるのか、それとも「12000」辺りで出版されるのかも気になる点です。

Michael Broadbent マイケル・ブロードベント

「MB」は1927年生まれ、御年88歳のマイケル・ブロードベント翁。オークション・ハウス、クリスティーズのワイン部門を世界的に育てたワイン鑑定家です。半世紀以上に渡ってワイン業界に携わり、古くは18世紀末のワインから書き記した著書「Vintage Wine」は、パーカー出現前の古酒を知るには大変貴重な一冊です。

さすがにもうワインの評価は出されていませんが、2011年に1995年のCh. Mouton Rothschildをテイスティングされている動画がYou Tubeにアップされており、まだまだご健在のようです。

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