『シャンパーニュ グランクリュ プロジェクト』
ークラマン村 自社畑の近況ー
- 2023.02.02
- コラム 産地訪問
- シャンパーニュ, シャンパーニュ グランクリュ プロジェクト
私どもフィラディスは、2021年5月にシャンパーニュのグランクリュ、クラマン村に合計0.25ヘクタールの畑を購入し、同年夏より『シャンパーニュ グランクリュ プロジェクト』を始動させました。クラマン村という素晴らしい産地で、日本人による日本人の味覚に合った理想のシャンパンを生み出そうという挑戦的で心踊るプロジェクトです。
当初は畑づくりに最低でも3年かかると踏んでいましたが、比較的畑とブドウの木の状態が良かったため、ブドウの収穫もしながら畑の改善に努めています。2021年と2022年のヴィンテージや現状の畑の状況について、ご報告させていただきます。
2021年ヴィンテージ
2021年はシャンパーニュ地方のほとんどの地域にとって非常に困難な年でした。
春先の霜、開花時期の大雨、ミルランダージュ(結実不良)などが至るところで発生した上に、ベト病や雹の被害も甚大で、多くのワイン生産者にとって絶望的な年となりました。
フィラディスの畑は、グランクリュの中でも最も石灰質の多いクラマン村に位置しており、2021年はそのポテンシャルと優位性が明らかになりました。チョークが水分を吸収するため湿度が上がりすぎず、カビのリスクを減らしてくれました。さらに、シャルドネはムニエよりカビに耐性があるので、健康で良いブドウを収穫することができました。チョークの白い土による反射光がブドウの木を暖め、ブドウがより良く成熟するのを助けるという効能もありました。
しかし、たとえ理論上は健全なように見えても、それぞれの区画でブドウを衛生的に保ち、最もバランスのとれた収穫日を見つけるには、多くの注意を払う必要がある年だったと言えます。
私たちの畑の日々の管理やワイン造りは懇意にしている現地の生産者にお願いしていますが、彼らは週に2回区画内を歩き、病気の可能性のある悪い房を切り、ブドウを拾い、分析し、適切に対処を行うなど、多大な努力をしてくださいました。そして、2021年は経験豊富な彼らのワイナリーでも過去に類を見ないほど収穫期間が長かったと報告がありました。
結論として、クラマン村のブドウについては、不順な気候にも関わらず、その素晴らしいテロワールのおかげでポテンシャルを存分に発揮することができました。それに加え、繊細な畑仕事や適切なケアを行うことにより、非常にバランスのとれた健康なブドウが得られています。
収穫されたブドウはワインとなって429本のボトルと22本のマグナムに瓶詰めされ、2023年1月現在セラーで眠っています。どのように発展していくのか、とても楽しみです。
2022年ヴィンテージ
2022年は「奇跡」の一言に尽きます。奇跡的なヴィンテージです。
天候は一年を通して理想的で、夏に雨が非常に少なかったものの、必要な時期に恵の雨が少し降ったため、ブドウは干ばつの影響をあまり受けず、衛生状態も完璧に近く保つことができました。
このヴィンテージの唯一の欠点は、バランスの見極めが非常に難しかったことです。理想的なブドウを収穫するためには、2種類の熟成のバランスを取ることが重要になります。1つは最初の熟成であるフェノールの熟成で、糖分と酸のバランスを司ります。もう1つはアロマの熟成です。アロマは青っぽい香りからジャムのような香りへと変化していきます。2022年は、1つ目の熟成がすでに糖分のほうに傾いていたのに、2つ目の熟成がなかなか達成されませんでした。
フェノールの成熟とアロマの成熟のバランスをどう見極めるかは、それぞれのワイン生産者が自身の経験から解決しなければならない最重要問題です。私たちの戦友は、酸は少し落ちるものの、グリーンアロマを取り除くために少し遅めに収穫するという決断をしました。そして貴重な酸を最大限に生かすため、ワインのほとんどをマロラクティック発酵させないという選択をしています。
2022年のワインは、まだ1月現在ステンレスタンクの中におり、SO2を添加するのではなく、冷却によってマロラクティック発酵を防ぐ処置がされています。
ブドウ木の植え替え
比較的畑の状態は良かったものの、一部の区画ではブドウの木の植え替えを行う予定です。
植え替えが必要な区画の畑自体はテロワールを大いに表現する良いものなのですが、ブドウの木がかなり古く、一部が欠けている上に、以前の生産者がそれらを植え替える代わりに通常より横に長く仕立ててしまったことで、収量が少なく、木に負担がかかってブドウに悪影響を与えていました。さらに、樹勢が弱くなることで葉が少なく小さくなるため光合成がしにくくなり、ブドウの木の寿命が短くなるという問題もあり、区画を一新することになりました。
植え替え作業についてはまた追ってご報告したいと思います。
当初の想定よりも順調に進んでいるというご報告ができてとても嬉しく思います。納得のいくシャンパーニュとして完成するまでにはまだまだ時間がかかりますが、ご期待いただければ幸いです。
また進捗状況をご報告させていただきます!
-
前の記事
高級中華の定番『フカヒレの姿煮』にマリアージュするワインを徹底検証!(広報 浅原有里) 2023.01.06
-
次の記事
みんな大好き♡餃子に合うワインを大決定!(広報 浅原 有里) 2023.03.02