生産者の紹介
弁護士からエノロゴへの異色の転身
ウディネ市街から南東に20kmほど下った場所にマンツァーノがある。2020年、美しい丘陵地帯が広がるこのエリアに彗星のごとく現れたのが、ロンク・プラタットだ。周辺には、ミアーニの本拠地ブットリオや、ロンコ・デル・ニエミツが拠点を構えるロザッツォなど、フリウリを代表するカリスマ的ワイナリーが鎮座するエリアが広がる、フリウリでも有数の銘醸地と言えるだろう。ワイナリーが位置する小高い場所からは隣国のスロヴェニアを臨むことができ、スロヴェニアの山脈地帯からは冷涼な風が吹き抜ける。この若きワイナリーを率いるのは、フリウリ出身のトンマーゾ・ザヌッティーニである。彼はイタリア屈指の名門大学で法律を学び、ミラノで弁護士として活躍したのち、エノロゴへと転身した異色の経歴を持つ。弁護士としての華々しい道を手放し、ウディネ大学で醸造学を学ぼうと決意したのは、ワインへの並々ならぬ情熱と、地元フリウリに貢献したいという強い思いからだった。そして、そんな彼の熱意に心を動かされ、惜しみない支援を寄せたのが、ロンコ・デル・ニエミツのセレーナ・パラッツォーロやクリスチャン・パタ、ドゥエ・デル・モンテのミラン・ブジネルといった、フリウリを牽引する地元の偉大なエノロゴたちだった。
自然なアプローチで品種と畑の個性を引き出す
所有畑の大半はフリウリ・コッリ・オリエンターリに属している。土壌は塩分とミネラルを豊富に含む、ポンカと呼ばれる泥灰岩と砂岩で構成されており、この地を代表するこの土壌は、ワインに豊かなミネラルのノートと酸味、そして複雑なアロマを与え、長期熟成にも耐えうるポテンシャルをもたらす。単一品種キュヴェでは、フリウラーノやリボッラ・ジャッラといったフリウリの土着品種をはじめとした品種の個性を異なる畑のブレンドで最大限に昇華し、単一畑キュヴェでは、標高や土壌といったテロワールが生み出すユニークな個性を表現している。そしてラベルにはそれぞれの畑が位置するエリアに由来する、時計台や鐘楼、礼拝堂といった地元の神聖なシンボルたちが描かれている。ロンク・プラタットのワインは、トンマーゾが敬愛する地元のワインと同様、極めて自然な環境下で造られる。畑では化学薬品を一切使用せず、ボルドー液や硫黄、海藻由来の資材といった自然由来のアプローチに留めている。醸造方法も発酵から熟成までバリックを使用するなどあくまで古典的な方法に忠実ながら、区画ごとに醸造を行うことで畑の個性を最大限に引き出している。そのように造られたワインは品種と畑の個性が映し出されたピュアな果実の中に、クリスタルのようなミネラルと美しい酸が光る。
ガレージから世界へ
設立間もないこのワイナリーには最先端の醸造設備や大規模な生産体制はない。最低限の機材が雑多に並んだガレージのような施設から、ごく少ない仲間たちと共に生み出される宝石のようなワインたちに思わず重ねてしまうのは、イタリア・カルトワインの頂点として君臨するミアーニのワインだ。フリウリの小さな醸造所から誕生したミアーニのワインが世界でカルト的な人気を誇っているように、この若き才能が世界から注目される日はそう遠くないだろう。
みんなのワインレビュー
ロンク・プラタット シャルドネ (伊フリウリ産白750ml)
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