「グラン・クリュの各村を識る」第1回:ピノ・ノワールの聖地、ヴェルズネイ
Column
今回からのコラムでは『シャンパーニュの産地、特にグラン・クリュの各村について深く識る』をテーマに、グラン・クリュ格付で押さえておくべき村を一つ一つ解剖します。
まずは、シャンパーニュ地方におけるブドウ栽培地の全体像を捉えるために、地図を見ておいて戴ければと思います。
シャンパーニュというワイン産地は、実はフランスに旅行に行った時にパリから最も行きやすい、そして一般の見学者の受け入れが一番進んだ地域。
フランスに旅行される方がほぼ100%訪れ数日滞在されるパリから、シャンパーニュの中心都市「Reims(ランス)」までは電車でわずか1時間程度!
モン・サン=ミシェルよりもずっと近く、パリから日帰りで気軽に行けるワイン産地です。
観光地としても発展しているランスの街にはホテルも多くありますし、何と言っても街中に見学できるシャンパーニュ生産者の蔵が数多く存在するのが良いところ。
ボルドーやブルゴーニュでワイナリー訪問をするには市内から車での移動が必須ですが、シャンパーニュなら、ランスの市内に滞在して徒歩やレンタサイクル、バスで様々な生産者を訪問、一般向けの見学プログラムで簡単に参加できます。
しかも生産者によっては日本語通訳などもありますから、安心して見学できます。
さて、シャンパーニュを代表する銘醸地は、この「ランス」を北端として南に向かって広がっています。
(先程のページの地図でも、一番北に「■Reims」の表記が見つけられると思います)
そしてこの地図では、シャンパーニュで最も素晴らしいブドウが収穫できる産地「グラン・クリュ」として認定されているのは17の村を「●」で地図上に表記してあります。
今回からはこの17村の中の1つの村をピックアップし、テロワールの特徴やブドウの個性、出来上がるシャンパーニュのスタイルなどをご説明して行きます。
毎回の最後にはその村からフィラディスが選んだ優良生産者のシャンパーニュを1本ご紹介して、実際に飲んで戴いて産地に対する理解を深めて戴く、という流れです。
このシリーズを全て読んで頂けば、今まで「銘柄・ブランド」を軸にシャンパーニュ選びをしていた方も、味わい特徴などの明確な指標でシャンパーニュを選んで戴けるようになるはずです。
土壌や地形など、若干マニアックな内容も入ってきますが、味わいに与える影響などを細くして出来るだけ具体的にご説明させて戴きます。
それでは早速第1の村から。
「ヴェルズネイ」村のご紹介です。
この村が位置するエリアは、ランス南の丘陵地帯「モンターニュ・ド・ランス(ランスの山)」地域。
地図上では、●Bouzy(ブジー村) ●Ambonnay(アンボネイ村)という村までを範囲とする、ピノ・ノワール種に適した栽培地域です。
ヴェルズネイはその地域でも特に質の高いピノ・ノワールの産地として知られる村。
南西に位置する「●Ay(アイ村)」と並んで、ピノ・ノワール最高産地の双璧と言われます。
この村の地形は実は斜面が北向きです。
北向き斜面は日当たりが悪くてテロワールとしては良くないのでは・・・と思いますよね。
ですが、実はこの「暑過ぎない適度な日当たり」がブドウに好影響を及ぼすこともあります。
南向きの斜面よりも涼しい気候であること、そして白亜質の石灰土壌を豊富に含む土壌がきめ細やかな酸と十分なミネラルを作り出す。
出来上がるワインには、きれいな透明感や伸びやかさが感じられます。
シャンパーニュにおいて重要な上質な酸が、北向き斜面の最高区画ならではのバランスで生まれるということです。
この村で栽培されるピノ・ノワールは、大手有名メゾンがこぞって買い付ける最高ランク品。
例えば、KRUGやルイ・ロデレールの「クリスタル」、ボランジェの「ラ・グラン・ダネ」等はヴェルズネイ村のブドウ使用比率が高いことで知られています。
こういった大手メゾンが、放っておいてもブドウが実りさえすれば高額で買い取ってくれるため、設備コストもかかりリスクも高い自家醸造に踏み切る栽培農家は決して多くありません。
実際、シャンパーニュ地方はワイン産地の中でもとりわけヘクタール当たりの収穫量上限が緩く、毎年作れば作っただけ確実に買い取ってもらえるのですから、収穫量を絞ってブドウのクオリティを更に上げ、数年は現金化が出来ないシャンパーニュ造りに手を出す生産者が少ないのも致し方ないことかもしれません。
それでは、今回はそんなヴェルズネイ村のシャンパーニュを1本推薦させて戴きます。
あの「ボランジェ」や「ランソン」等に直接供給する質の高いブドウを栽培しながら、徐々に完全自家醸造にシフトしつつある代表的な生産者『ジャン・ラルマン・エ・フィス』のご紹介です。
ヴェルズネイ村の北斜面中腹の、最も良い4haの区画を所有しているごく小さな生産者ですが、有名メゾンがトップキュヴェに使用するブドウを供給する栽培家。
並の栽培家が収穫量上限ギリギリまで栽培して出来るだけ売上を上げようとするところ、ブドウ樹1本から最も状態の良いひと房しか収穫しないという徹底した完璧主義で信頼を獲得してきました。
自家醸造を初めたのは1951年、ロバート・パーカーの「5つ星」評価を始め世界中で高い評価をされてきましたが、少量生産のため入手困難な状況は続いていました。
近年やっとメゾンへのブドウ販売契約が終了。
今後は自家醸造に完全シフトするので少しは生産量も増えそうですが、何分4haしかありませんので、奪い合いの状況はあまり変わらないかもしれません・・・。
とにかく頑固なシャンパーニュ職人(見た目からもそんな感じがひしひし伝わる方です)による、シャンパーニュの派手なきらびやかさとは無縁の、地に足のついた質実剛健な作品。
是非とも知っておいて戴きたい造り手です。
ヴェルズネイ村の個性をより深く知って頂くための1本をジャン・ラルマンから選ぶとすれば、
『ジャン・ラルマン・エ・フィス ブリュット・レゼルヴ ヴェルズネイ・グラン・クリュN.V.』をお薦めします。
ロバート・パーカー5つ星生産者!!
最高区画に植えられた樹齢60年のヴィエイユ・ヴィーニュを使用。
職人気質のジャン・ラルマンらしく、そのテロワールを精緻に表現したまっすぐな、男性的な潔さ、力強さを持った1本に仕上がっています。
ジャン・ラルマンは日本ではフィラディスが独占販売契約を獲得しました。
入荷量は決して多くはありませんが、品質に比して信じられないくらいのお買得な価格。
特別価格の機会に、ぜひお試しくださいませ。
Firadis WINE CLUB 店長 五十嵐 祐介
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