Krug の“クレマン”とは??これまでに出会ったマニア垂涎の『激レアワイン』をご紹介します!(ファインワイン担当 曽束 仁寿)
私は15年近くワイン輸入会社に勤めており、特に古いヴィンテージのワインやレア&高価なファインワインを多く扱ってきました。ここ数年は買い付けも担当しており、海外のサプライヤーから毎日届くたくさんのオファーに目を通しています。そんなオファーの中には、「え?!」と驚くレアアイテムが稀に現れてきたりもします。 今回は15年の間に取り扱った、もしくは見かけた激レアなワインをご紹介したいと思います。
シャンパーニュメゾンに“クレマン”があることはご存知でしょうか?
現在シャンパーニュ地方では製造が認められていませんが、70年代までは通常の気圧より低くしたものがクレマンとして販売されていました。これは1975年にクレマンがAOCで 規定されたことでシャンパーニュではクレマンを称することが出来なくなったためだと推測されます。
弊社内で極秘に保管されていたものの中に、なんとKrugのクレマンが!!Krugでは、世界大戦前後と1974年から数年間だけしか製造していなかったようで、Cuvee Private(Grande Cuveeの前身)より安価な設定となっており、ごく一部のレストランと特別な個人顧客のみが入手可能でした。
このKrugとG.H. Mumm、Moet & Chandonのクレマンをテイスティングしてみました。レアワインついでに、自家消費用として造られているらしいシャトー・ラトゥールのロゼも抜栓します!
① N.V. Cremant de Cramant / G.H. Mumm
わざわざ村名のCramant(クラマン)まで出してきたのはCremant(クレマン)とかけているのか?!フランス式ダジャレの為に造ったのかなと思える商品名です(笑)。造られた年は分かりませんが、60年代くらいのものだと思います。
味わいは、舌の上に細やかな泡の刺激が感じられ、素直に美味しいと言えるものでした。完全に熟成しているためアタックは熟成感が顕著です。熟成したシャルドネ特有のカラメルプリンの香りが出ており、その後非常に優しい甘みが旨味として感じられました。しかしアフターには50年以上も熟成したようには思えないフレッシュ感がありました。
② N.V. Cremant Demi-Sec / Moet & Chandon
こちらも60年代くらいのものだと推測されます。香りはカラメルが顕著で、言われれば感じる程度の泡の刺激。口に入れると最初は果実由来の甘みが来ますが、中盤以降は熟成した甘口ならではの穏やかなクリーミーさがありました。残念ながら、比較的未成熟な果実をこのDemi-Secに仕立てていたのか、アフターにゴロゴロとしたタンニンが残ってしまいましたが、熟成したシャンパーニュのような甘美さも若干ながら味わうことができました。
昨今世界的にドサージュ量は減らす傾向にありますが、改めてドサージュが多いワインの熟成は素晴らしいものだと感じました。
③ N.V. Champagne Cremant Krug / Krug
一瞬トップノーズに青い香りを感じられましたので、比較的格下のブドウが使われていたのだと思います。Grande Cuveeよりドサージュ量は低く抑えられているようで、今回試飲したクレマンの中では最も酸を感じさせ、デリケートな味わいでした。Krugの試飲はボリュームのあるMoet & Chandonの後だったため、最初は弱く感じてしまって良さに気づけませんでしたが、 再度試飲してみると、やはり天下のKrug。ブドウのポテンシャルの高さを感じ、果実の甘み、 強さ、バランスが見事で力強さを感じさせるものでした。1本ゆっくり時間をかけて飲みたいと思う逸品です。社内スタッフの人気投票の結果も断トツの1位でした。
④ 2001 Bordeaux Clairet / Chateau Latour
自家消費用として造られているようで、今回は2001年ですが、1961年にも造られていたのが確認できました。右の写真で確認できるように、ロゼとしてはかなりしっかりとした色をしています。残念ながら抜栓したボトルはブショネでしたが、果実の厚みが十分にあり、それに負けないタンニンがあって骨格がしっかりとしたワインで、余韻の長さも秀逸でした。
余談ですが、大昔のボルドーは醸造技術が現代に比べると未熟だったため、今回のような色のワインが赤ワインとして流通していました。ボルドーの別名はクラレットと言いますが、色見本にある「クラレット」も「ボルドー」よりも若干薄く明るい赤みのある色を指す言葉になっています。
【激レアワイン番付】
試飲は叶いませんでしたが、以前取り扱いをしたワインで記憶に残っているものをピックアップしました。激レアワインの為、詳細は公表されていないことも多く情報は少ないのですが、いずれも存在していたワインです。
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