【フィラディス ワインリスト研究 第5弾 前編 】~ O2 大竹智也ソムリエ & L`AS 光武聡ソムリエ ~

【フィラディス ワインリスト研究 第5弾 前編 】~ O2 大竹智也ソムリエ & L`AS 光武聡ソムリエ ~

今回のワインコラムプロは、現在活躍中のソムリエお二人に、同一の料理テーマでワインリストを作成いただき、構成内容や選んだ基準、考え方などをじっくり覗いてみようという人気企画「フィラディスワインリスト研究」の第5弾をお送りします。

ワインリストにはそれぞれのお店の個性が反映されるのはもちろんですが、何よりもワインセレクトを任されるソムリエの感性や哲学がそのまま投影されます。登場いただくお二人のソムリエがどのようにワインリストを作るのか、ぜひご注目ください!

※前編ではソムリエが選んだ仮想ワインリストをご紹介し、後編にて実際に食事とワインを合わせた結果をお届けします。

大竹智也さん
O2 
1993年生まれ、練馬区出身。調理師専門学校卒業後、神楽坂のイタリア郷土料理店で5年勤務。フランスにてバックパッカーの経験を経て、帰国後にO2のソムリエに就任。大津シェフの個性あふれるメニューに合わせてワインをセレクトしている。
O2 https://o2otsu.wixsite.com/o2info

光武聡さん
L’AS シェフソムリエ

1986年生まれ、東京都出身。代官山のバーやカフェの運営等を経験後、ソムリエとして南青山L`asにて勤務開始。一度離れ、中目黒にある一つ星フレンチ“CRAFTALE”にて支配人兼シェフソムリエを2023年まで務め、同年戻る形で南青山L’ASにシェフソムリエとして着任。
L’AS https://las-minamiaoyama.com/

基本条件

お題:タイ料理レストランのワインリスト

メニュー

※タイ料理店の定番メニューを想定

 

ワインリスト

  • 基本的にフィラディスのエージェントアイテムから選択、 ない場合は他社アイテムも選択OK
  • ワインの産地は問わない
  • 構成:

  − グラス販売 赤2種類、白2種類、泡1種類以内

  − ワインリスト 泡白赤トータル15アイテム以内(グラスのワインを含む)

  • ボトル売価9000円まで。最低ラインは3000円代後半、ボリュームゾーンは4000〜5000円代をイメージ
  • グラス売価は1000円以下
  • 原価は40%まで

大竹ソムリエ ワインリストの方向性とポイント

ボトルワインリストは、どんな味わいの好みの人がいらしても全体的にカバーできるようメジャーな品種は押さえ、国は問わずに選びました。
まずは今回の料理にペアリングさせるワインを選びましたが、ペアリングを記載してないワインは、特にどの料理ということではなく、広くカバーできる味わいだったり、他種の味わい、値段帯を考慮し含めてみました。


光武ソムリエ ワインリストの方向性とポイント

地鶏を使用する等食材のレベルが高く、中級以上の価格を狙ったタイ料理店であると推測し、さらに私がテイスティングしたことのあるワインを優先してセレクトしました。
全体感としては、ワインビギナーの方にはリーチしやすいネームバリューがある産地のワインを、ある程度の知識をお持ちの方には名前から想像しやすいものをチョイスしたつもりなので、品種からペアリングを想像してワクワクしてもらえるようなワインであることをベースにしております。その他、2名様で1本のワインを通すシーンや、4名以上で3本以上飲むシーンも想定しました。
スパークリングワインはシャープさやドライさを前提に選んだため、シャルドネ主体もしくはドサージュゼロが多くなっています。タイ料理の“とりあえずビール”からの脱却を強く意識しました。
白ワインはフィラディスのラインナップから幅広く選べたため、特にアロマに違いを感じる5アイテムをチョイス。
ロゼとオレンジ各1本ずつ入れたかったのですが、オレンジがなかったためロゼのみオンリストしました。
赤ワインはメインディッシュに脂質の多い素材がないことと、タイ料理において牛よりその他の淡白な肉類が多いため、重たすぎずタンニンに収れん味が強くないものをチョイスしております。


考察

全体の構成を見てみると、大竹ソムリエは泡2種類、白8種類、ロゼ1種類、赤4種類と白ワインに大きく比重を割いています。光武ソムリエは、泡5種類、白5種類、ロゼ1種類、赤4種類とスパークリングを種類豊富に取り揃えました。タイ料理はハーブやスパイスが多用されており、甘味・酸味・辛味が特徴で、それほど脂質が強くない料理が多いため、お二人とも泡・白・ロゼが活躍すると想定されていることが分かります。

スパークリング :

竹ソムリエはロゼとブルゴーニュの2種類と非常にシンプル。タイ料理に確実に合わせられるアイテムを選んでいます。
武ソムリエは5種類のスパークリングワインをセレクトしており、産地や品種、価格帯すべてにおいて幅広く非常にバリエーションに富んでいます。“とりあえずビール”から脱却したいと考えていらっしゃるのもとても興味深いです。

白ワイン :

竹ソムリエは8種類もの白ワインを様々な産地・品種から選択しています。ソーヴィニヨン・ブランが2種類にゲヴュルツトラミネール、ジュラのシャルドネなど、アロマティックなワインが多いのが特徴で、ペアリングを精緻に考えていることがコメントから分かります。
武ソムリエも世界各地から香りに特徴のある5つの異なる品種のワインを選びました。それぞれがお料理とどんなマリアージュを見せてくれるのか、想像がかき立てられ、ワクワクするラインナップです。

ロゼ&赤ワイン :

赤ワインに関しては、ボルドー、ブルゴーニュ、トスカーナのサンジョヴェーゼをお二人ともセレクトするというところまでは同様で、竹ソムリエはもう1本はリオハを、武ソムリエはカベルネ・フランを選択しています。ここまで方向性が似るのはめずらしいですが、それだけお二方の経験値から導き出されるペアリングの可能性が明確なのかもしれません。どちらも産地や品種はもちろん、味わいのタイプが異なる4種類ずつの赤ワインをオンリストされています。


今回のワインリスト研究前編ではワインリストの内容だけを見てまいりましたが、 お二人ともそれぞれにテーマや理念を持ってワインを選んでくださっているのがとてもよく分かりました。
実際にタイ料理にはワインはどのように合うのか、どんなポイントを気をつけるべきなのか、また今回のリストからどんな素晴らしいマリアージュが生まれるのか、とても気になりますね!
後編では、お二人のソムリエとともにmango tree tokyo様で行う検証会のレポートをお送りしたいと思います。ぜひご期待ください!

 

CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!