≪知っているとちょっとお得なワインマメ知識≫ よく耳にするワイン用語、ちゃんと知っておきましょうシリーズ②「テロワール」って何??その3:日照時間2016/07/02
さて、「ワイン用語をちゃんと知っておこう!」シリーズも4回目となりました。
そのうちテロワールの話で既に3回・・・でも、先にお伝えしますが実は今回でも終わりません。
概論的なお話だけでも結構長くなってしまうテーマなのですが、
テロワールの構成要素とその意味合いをきちんと知っておくだけで、
これからのワイン選び(=お店でじぶんでワインを選んで買うこと)が飛躍的にレベルアップしますので、
もうちょっとだけこの話にお付き合いください。
これまでの2回は①土壌②地形という“大地の力”についての話でした。
今回からは、“空からの力”・・・第3回はまず「日照時間」について知っていきましょう。
③日照時間
前回「地形」編のラストで、テロワールの重要要素として「斜面の向き」について少しだけ触れました。
太陽は、東から昇って南の空を通り、夕暮れに西に沈む。
南向きの斜面が一番日当たりに恵まれる、のが当たり前で、これは部屋探しの時と一緒ですよね。
では、東向きと西向き、午前中の日照と午後から夕方の日照では、何が違うのでしょうか。
このシリーズは毎回が「学生時代に帰って、理科の授業を思い出そう!」の連続・・・今回もそんな感じで進みます。
書いている僕も毎回、図鑑を見たりいろいろ確かめたりを結構楽しんでいます(^^)
『光合成』憶えてますよね。
「葉緑素」を持つ植物は、根を張った大地から吸い上げた水分、そして空気中から吸収した二酸化炭素から、
太陽の力=光エネルギーでデンプン(炭水化物)を合成し、同時に酸素を排出しています。
これは、何となく憶えていますよね。
小学生のお子さんがいらっしゃる方、4年生の教科書に出ていますので見てみてください。
植物はこの活動の繰り返しで成長をしているわけですが、
実は「光合成は午前中に活発で、午後にかけてどんどんエネルギー合成量が減少」します。
朝から午前中にかけて日光が当たる東向きの斜面では光合成がとても活発になり、
太陽の恵みを十分に生かすことができます。
一方で、正午以降西からの強い日差しを受けた植物は・・・
光合成で少ししかエネルギーが出来ない休眠時間なのに強い陽射しにさらされ、水分を失っていきます。
これは植物にとって大きな負担。
ブドウは非常に生命力の強い植物なので大丈夫ですが、弱い植物は枯死します。
特に、午前中に全く日が当らず西日だけ当たるような場所だと、健全な成長は見込めません。
ベランダなどで植物を育てていて、西日が強く当たる場所にある鉢など、弱っていませんか??
つまり、ブドウを植える場所は、
日光がいちばん適切に当たる南向き・東向きの斜面が最適なロケーションということです。
平地よりもずっと、日光の恩恵を受けられるわけです。
そして次に、日が当たる時間です。
ワイン用ブドウにとって最も重要なのは、
ブドウ生育期を4月から10月とした時に、期間中に太陽が照る時間の累計です。
これは当然気候(雨の日が多い少ない)によっても変わるのですが、そこは次回以降で。
そもそも、土地の緯度によって、日の出・日の入りの時間は変わりますよね。
この累計の日照時間が、1,500時間~2,000時間確保出来れば理想的。
最小限は1,300時間くらいでしょうか。
地域によって日照時間にどのくらい差が出るのかをフランス国内で比較してみると、
例えばラングドック地方のモンペリエだと2,500時間以上。
ボルドー、ブルゴーニュで丁度2,000時間程度。
アルザス最北部では1,600~1,700時間というように、同じ国内でも大きく差があります。
但し、これは少ないとダメで多ければ多いほど良い、ということではありません。
日照時間の影響は果実の糖度や色素に大きな影響を与えます。
熱く太陽に恵まれた地域のブドウは、涼しい地域のものよりも糖度が2~3%高くなります。
南仏や南イタリア、スペインなどの暑い地域で産出されるワインに、
果実のフルーティな甘味を強く感じるのはそのためです。
高い糖度に恵まれてアルコールも豊かになるのに、それでもまだ果実の甘味が残るんですね。
ただ、糖度の上昇は同時にブドウの「酸」を減少させると言う側面も持っています。
暑い地域ではブドウの酸度は0.2~0.3%程低い、というデータもあります。
ワインの「長期熟成のための土台」である酸の含有量が少ないわけですから、
これらは自然と「とっつきやすい果実の甘味がある、早飲みで美味しいカジュアルワイン」になるわけですね。
ブドウと太陽の関係は、味わいにダイレクトに出て来ます。
フルーツ感たっぷりのワインが好きなら、南のワインを。
酸がきりっとしていてエレガントなワインが好きなら、北のワインを。
このワイン選びは、実は最も基本的で簡単な選び方。
自分の好みを掴むときに、まずは産地の場所を地図で確認してみると、分かりやすいかも知れませんよ!!
それでは今回はこのあたりで・・・・次回も引き続き「テロワール」がテーマです。
土壌⇒それを形成する地形⇒それに影響される日照時間や日当たり、
と来たら、次の流れは当然「気温」です。
『有効積算温度』なんていう言葉があるのですが、聞いた事ありますでしょうか・・・???
次回は、ブドウの育成期間中の温度変化の影響、についてお話をしたいと思います!
今回の「メルマガセミナーに関連したワイン」。
お薦めするべきはやはり「暑い地域で生まれた、フルーツ感たっぷりの濃厚ワイン」ですよね。
というわけで、WINE CLUB30で扱っている中で、産地が最も赤道に近いワイン!をご紹介したいと思います。
先々週から、赤ワイン人気ランキングずっと1位の
「ボコパ コンデ・デ・アリカンテ カベルネ・バリッカ 2013年(税込1,674円)」です。
item/4/ ← 「灼熱と情熱の赤ワイン」こちらです!!
このワイン、実は一番最初の最初にWINE CLUB30の30本に選ばれたワインでもあります。
ワイン専門誌で「旨安ワイン大賞」を受賞し、フィラディスのレストラン顧客様からも
「安いのにパワフルでインパクトがあって、グラスワインに最適!」という評価を頂いています。
恵まれた日照により十分に完熟したカベルネ・ソーヴィニヨンの凝縮感。
これぞスペインワインの醍醐味!!と言える1本です。
飲む30分前からは冷蔵庫(抜栓は2時間前には!!)で冷やすこと忘れずに。
そのまま常温で飲むと、重厚感に引っ張られ過ぎて果実味のバランスが崩れてしまいます。
少し冷えてワイン全体が引き締まってまとまった時、その果実味のボリューム感がしっかりと分かりますよ!!
今回も長いコラムを最後までお読み頂きありがとうございました!
Firadis WINE CLUB 店長 五十嵐 祐介
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