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ボジョレーヌーボーはまずいって本当?

ワイン商社に聞いてみよう!ボジョレーヌーボーはまずいっていう人が居たけど、本当?だったら、美味しいワインってどれ?そもそもボジョレーヌーボーとは?そんな疑問に、お答えします。

ボージョレ・ヌーボーとは?

Beaujolais Nouveauと書きます。Beaujolaisは地名、Nouveauは新しいという意味。
つまり、フランスのボージョレ地区の、出来立ての新酒ワインのことです。
読み方はボージョレでも、ボジョレーでも大丈夫。ここでは「ボージョレ・ヌーボー」と表記させて戴きますね。ブドウ品種はガメイを使用します。


フランスのボージョレはここです↓

ボージョレの位置 

ボージョレ・ヌーボーの解禁日とは?

毎年解禁日は、11月の第3木曜日と定められているのですが、これは新酒を競って早く販売しようとする競争を避け、品質を維持するため。
とは言え、9月頃収穫したワインを11月半ばには販売するわけですから、相当な急ピッチで醸造しなければ間に合わせることが出来ません。
そこで「マセラシオン・カルボニック」と呼ばれる醸造法がとられます。これは醸造タンク内を炭酸ガスで充満させることで果実に圧力をかけ、色素等を素早く抽出するもの。
副産物としてボージョレ・ヌーボーのあのイチゴ・キャンディのような甘い香りが生じ、しっかりと色素を含みながらタンニン分の少ない、軽くフレッシュなワインに仕上がります。

↓二酸化炭素で泡立っている醸造中のブドウ

毎年話題になるボージョレ・ヌーボーのキャッチコピー

「今世紀で最高」「過去10年で最高」「果実味豊かな味わい」「本来の軽さを備えたこれぞヌーボー」
大げさと揶揄されることもありますが、ヌーボーはワイン業界とっては一年で最大のイベントの1つ。
普段ワインを飲まない方にも、この時ばかりは買ってもらおうと知恵を絞っているのです。
それにしても、果実味豊かに仕上がっても、反対に軽めに仕上がっても褒め言葉に落とし込むキャッチコピーの力って、すごいなと思ってしまいますね。

ボージョレ・ヌーボーの人気に陰り?

さて、ワイン業界でお仕事をしていると当然ワイン好きの方々に接する機会が多いのですが、 ボージョレの話題になると、あれは今イチね・・・とか、今更買わないとか、中にはマズイとバッサリ切り捨てる方もいます。
以前に比べると、随分と人気に陰りが出てきたように感じます。
実際に2004年のピーク期には1248万本あった輸入量が2016年には約半分の600万本まで落ち込んでいるとのことです。
ただ、日本におけるワイン全体の消費量自体は上がって来ていますので、ワインが日常的に飲まれるようになってきたお蔭で年に一度のワイン・イベントの希少性が薄れてきている、とポジティブに考えることも出来ますね。

ボージョレ・ヌーボーを扱わない理由

実は、Firadis WINE CLUBではボージョレ・ヌーボーは全く取り扱っておらず、今後取り扱う予定もございません。
しかし、その理由は「ボージョレはまずいから」ではありません。ワイン業界にとってボージョレ・ヌーボーが大切なイベントであることも認識しています。
ただ、皆様になるべく、価格に見合ったしっかりとしたクオリティーのワインを飲んで戴きたいと考えた時に、 ボージョレ・ヌーボーはお勧めしにくいのです。一口にいってしまうと「コスパが悪い」と考えています。
以前ボージョレ・ヌーボー卒業宣言の中に書かせていただいた通り、 ボージョレ・ヌーボーにはどうしてもクオリティ以上に値段が上がってしまう理由があるのです。

  • 出来立てのワインを解禁日に間に合わせるために航空便で運ばざるを得ない
  • 解禁日直前の輸送が集中するため、航空運賃が高騰
  • 高額の運賃は当然ワインの代金として上乗せされる
このような避けられない事情により、どうしても「同じ値段ならもっと美味しいワインがあるなぁ」 という印象のワインになってしまうことが非常に多いのです。

ワイン輸送に関して詳しく知りたい方は、ワイン輸送を徹底解剖!もチェックしてみて下さい。

ボージョレ・ヌーボーの代わりにおすすめできるワインは?

ではボージョレヌーボーの代わりにどんなワインがおすすめできるのか。
ボージョレ地区では、実は急造りのヌーボーだけではなく、ガメイ種を用いて通常の醸造工程を経た赤ワインも生産されています。

  • AC Beaujolais(ACボージョレ)
  • Beaujolais-Villages(ボージョレ・ヴィラージュ)
  • Cru Beaujolais(クリュ・ボージョレ)

などの呼称が付いたワインがそれにあたります(下に行くほど品質は上がります)。ラベルをチェックして、トライしてみるのも良いでしょう。
ただし「ボージョレといえばヌーボー」のイメージが浸透している日本ではあくまでマニアックな存在。お店ではそれほど見かけることがありません。
どこのお店でも手に入りやすく、ボージョレーとタイプ的な共通項がありつつ、それを凌ぐ満足感のあるワインといえば・・?
やはり、地理的にも近く銘醸地として名高いブルゴーニュ・ピノ・ノワールの他にはないでしょう!
ブルゴーニュ・ピノ・ノワールも当たりはずれはありますが、ワイン専門商社等でしっかりと味わいから選ばれた生産者のものであれば、安心してお買い求めいただけます。

特に最近人気のある生産者は、フィリップ・ジャノ
どこか懐かしい野生のベリーを思わせるアロマ、じんわりと旨みの広がるスタイルです。
フィリップ・ジャノ ブルゴーニュ・ピノ・ノワール
またフランソワ・ゴーダールも良質なピノ・ノワールをリリースしています。
品よく調和の取れたこのエレガントなスタイルこそ、ザ・ブルゴーニュ!
フランソワ・ド・ゴーダール ブルゴーニュ・ピノ・ノワール
もう少しお買い求め安い価格帯なら、ブルゴーニュを外して穴場産地の南仏を狙うのもアリです。
比較的温暖な産地で育ったピノ・ノワールは、ジューシーさが前に出て親しみやすくなるので、ボージョレ・ヌーボーのようなジューシーなワインに慣れている人には案外しっくりと来ると思います。
シャトー・アントニャック クロズリー・デ・リ ピノ・ノワール
まだまだ話題になることの多い、ボージョレ・ヌーボー。
お祭りとしてフレッシュなワインを友人たちと楽しむのももちろん一興ですが、お家では少しステップアップして、本格的なピノ・ノワールを楽しんでみてはいかがでしょうか?

記事:Firadis WINE CLUB 西岡