ワイン造りの根底にあるのは、自然なブドウ栽培にサスティナビリティの概念を取り入れ た「テラファクトゥム」という独自のコンセプト。果実の暖かさや濃厚さといったカンプタルの魅力を持ちながら、あくまでもエレガントでピュアな酸とミネラルが光るワインを造る。
オーストリアはアルプスのイメージから冷涼な国と思われがちで、実際ブルゴーニュのボーヌからシャンパーニュのランスに相当する北緯47~48度帯にあるものの、16を数えるブドウ産地は温暖な東部に集中している。地形は東に行くほど平原になり、パンノニア平原からの暖気によって気候も暖かい。一方で、ブドウ産地北西のエリアでは冷気が山を越えて降りてくるため、季節間と日中間の寒暖の差がひときわ大きくなる。この北西エリアにおいてオーストリアの神髄ともいえるグリューナー・ヴェルトリーナー(以後GV)とリースリングの最高の産地となるのがヴァッハウ、クレムスタル、カンプタルの三つである。
この内最も東に位置するカンプタルは、温暖で雨量も若干多く、分厚いロス (黄土)が堆積する比較的肥沃な土壌を持つことから、リースリングと比べて高い温度を好み、渇水を嫌うGVにとってまさに理想の産地と言える。石がちなヴァッハウにみられる強固なタイトさはなく、程よいパワフル感がありながらも染み入る様な旨味・塩味があり、上品な酸とミネラルが織りなす絶妙なコンビネーションが楽しめる。ヴァッハウが世界中の愛好家の舌をうならすオーストリアワインのフロントランナーであることに議論の余地はないが、GVの個性を最大限引き出す土壌という点ではカンプタルの右に出る産地はないと言っても過言ではない。それでいて、ヴァッハウよりもはるかに良心的な値段で入手できるとなれば注目しない理由はない。
この地区で最も重要なエリアはランゲンロイス村であり、この地にワイナリーを構えるのがヴェスリである。建物の起源は1679年まで遡ることができ、代々ソンマリャー家によって引き継がれてきた。当時は農業を営んでいたが1900年代後半にブドウ栽培のみに焦点を絞り、ワイナリーに改築した歴史を持つ。現オーナーであるデイヴィス・ヴェスリはこの地に魅せられた一人で、足しげくカンプタルに通う内にソンマリャー家と知り合い、意気投合。2011年にワイナリーを購入するとともに「ヴェスリ」に改名し、新体制のもとでスタートした。
ワイン造りの根底にあるのは、従来よりソンマリャー家が行ってきた自然なブドウ栽培にサスティナビリティの概念を取り入れた「テラファクトゥム」という独自のコンセプト。ワインの個性が形成されるのは畑であるため、そこに息づく多様な生物を育み尊重することが品質に直結すると考える。例えば、希少な渡り鳥の一種であるヤツガシラのために巣箱を設置しているが、暖かい気候を好む彼らの習性のため所有畑の中でも急斜面で南向きの石垣で囲われた温暖なシェンケンビヒルを選んでいる。除草剤や化学肥料は1990年から使っておらず、2015年よりオーガニック栽培に転向した。
現在畑は村の周辺約30haに広がり、GVとリースリングを栽培している。土壌は大部分がロス(黄土)だが、一部角閃岩や石灰岩も見られる。ブドウは全て手で収穫され、空気圧式で全房を丁寧にプレス。その後、温度管理機能付きのステンレスタンクで天然酵母により自然発酵が始まる。熟成は区画ごとに行われステンレスタンクと一部の上級キュヴェには古い大樽も用いる。
繊細優美なヴァッハウにはない、果実の暖かさや濃厚さといったカンプタルの魅力を持ちながら、あくまでもエレガントでピュアな酸とミネラルが光るヴェスリのワイン。WA初掲載時に「間違いなくニーダーエスタライヒ州の中で最も上質で興味深いワインの一つであり、熟成のポテンシャルは偉大である」と大絶賛を受ける。近年ようやくカンプタルの名は耳にするようになってきものの、まだまだ世界の注目がヴァッハウに集中している中、驚くほどの品質をリーズナブルに楽しめるヴェスリのワインは、まさに今買うべきオーストリアワインで ある。
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタビュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』
ヴェスリ オーナー・醸造過家 デイヴィス・ヴェスリさん
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒僕は以前ワイン造りとは全く違うビジネスに携わっていたのだけど(※訳注 IT系の会社経営だそうです)、会食の機会などで沢山の素晴らしいワインに出会い、その虜になっていったんだ。特に、長い時間をかけて熟成したワインの素晴らしさには、鼓動が早くなるくらいだったよ 笑そして同時に、僕はオフィスに籠っているよりも、自然の中で働く人生を望んでいた。だから、この美しいカンプタルという土地でワインを造ることを選んだことについて、僕の人生においてこれ以上の正しい道は無かった、と思っているよ。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒ワイン造りの中に素晴らしい瞬間は幾つもある。でもその中でも絶対的に特別なのは収穫の時だ。
その年最初のひと房を摘み取り、一粒目のブドウを口に含む…その瞬間にこのブドウを使ってどんなワインを仕込もうか、というアイディアが溢れ出る。それが一番幸せな時かな。
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒僕たちは、人間ではなく自然が100%の全てを支配する世界で仕事をしているわけだが…毎日それを痛切に感じるね。ワイン造りは大半の時間が楽しくハッピーなのだけど、いつでも自然が引き起こす最悪のシナリオを思い描いていなければならないんだ。
例えば、遅霜や雹なほんの数分でそれまでの努力を全て台無しにしてしまうのだけど、それすらも常に想定し、どうやったら防衛できるかを考えていなければならない。いつもそうやって樹を貼っていなければならないのが一番大変なことかな。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒それはとてもシンプルだね…ただひたすらに畑でブドウと触れ合い、ブドウの言葉を聞くことだ。土や樹は、我々ワインの造り手が必要とすることを全てか語ってくれている。それを正しく捉えるためには、出来るだけ多くの作業を自らの手で行い、畑と正しいコミュニケーションをすることだ。
自分の経験から言って、自分が自然に対して余計な介入をしないほど、良いワインが出来る。ワインにも人格や人生があって、僕たちと同じようにいい日もあれば悪い日もある。我々は自分のワインを信じ、忍耐強く待たなければならない時間こそが、偉大なワインを創り出す最高の道具なんだよ。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒理想のワインは「その時自分が開けたいと思うワイン」。
人の味覚がそれぞれ異なるように、時と場所によって飲みたいワインも違うだろう?
今日のランチで素晴らしくおいしく楽しんだワインが、明日のディナーでも一番ふさわしいワインでは無い、ということだよ 笑
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒人生の中で沢山の偉大なワインに出会ってきたから、1本選ぶというのはかなり難しいね!でももしどうしても1本・・というなら、長期熟成させたオールドヴィンテージのグリューナー・フェルトリーナーを始めて飲んだときのもの。このブドウ品種にここまでの長期熟成ポテンシャルがあるのか、と大いに感銘を受けてね。忘れられないワイン体験になった。
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒決してお世辞じゃなく、僕は日本の料理こそが自分のワインに最も合うと思っているんだ。
新鮮な食材そのものを生かした丁寧な日本料理を楽しむのは、何度体験しても感動するよ。
自分の造るワインも、いつでもフレッシュでピュア、クリアなスタイルでありたい。それが、グリューナーで素晴らしいワインを造る本質だと思う。だから素晴らしい日本の料理と自分のワインを合わせることが、僕の一番大好きなペアリングだよ!
Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒僕は人生の中で一度ワイナリーを立ち上げたから、もしもう一度別の地域でワイン造りを始めるとなったら、もう1回の人生が必要だな 笑
でも、もしその機会がもう一度もらえるとしたら…それでも僕は迷うことなくここオーストリアのカンプタルでグリューナーを育てると思う。僕はこのブドウを本当に愛しているし、
この産地で仕事をすることに人生を捧げたいと思っている。
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒自分が心からやりたいようにワインを造って、どっしりと構えて待っていること。時はいつでも、偉大なワインを造ることに味方してくれるものだよ。
Q10:最後に…日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒フルーティで少しだけスパイシーなグリューナーは、本当に様々な料理と合わせやすいワイン。若くフレッシュなタイプ、熟成したタイプなどさまざまなワインを飲んで、自分の好みの料理に合うワインを探して欲しいな。それは好奇心をくすぐられるような食体験で、グリューナー・フェルトリーナーの多様性にきっと魅了されると思う。
そしてもしオーストリアに来る機会があったら、僕のワイナリーを是非訪れて欲しい。ウィーンから車で1時間くらいと、それほど遠くないから。日本からのお客さんを迎えられることを、心から楽しみにしているよ!
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ヴェスリ グリューナー・フェルトリーナー・ケーファーベルク
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Miho Kawakami
公式サイト: MIHO KAWAKAMI 川上ミホ
料理家。中目黒「5-quinto」オーナーシェフ/ソムリエ。2006年に日本ソムリエ協会認定ソムリエ資格取得、
2008年にイタリアにてイタリアオリーブオイルソムリエ資格取得。ワインバーやレストランでのソムリエ、
料理人を経て独立。書籍、雑誌などメディアでのフードスタイリング、企業の商品開発、
レストランプロデュースなど活動は多岐に渡る。
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公式サイト: CONDIMENT inc.
素材の持ち味を生かしたオリジナリティあふれる家庭料理と、器のスタイリングが評判の料理家・フードスタイリスト。
2歳の娘と夫の3人暮らし。『STORY』連載「私の『いつもの料理』はまだまだ伸びしろがある!」ではレシピを提案。
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