≪知っているとちょっとお得なワインマメ知識≫ よく耳にするワイン用語、ちゃんと知っておきましょうシリーズ②「テロワール」って何??その4:気温2016/07/04
『テロワール』についての話も、第4回目となりました。
土壌⇒地形⇒日照、と各要素に関連性があることも踏まえての流れでお話しをしてきましたので、
今回は日照時間と非常に強い関わりを持つ要素『気温』について、
ワイン造りの世界ならではの独特な判断基準をご説明したいと思います。
④気温
地球温暖化(Global Warming)の影響でワイン産地が拡大・変化している、という話を聞いたことがないでしょうか。
例えば英国が新たなワイン産地として注目され、
なんと最近は北欧スウェーデンでもワイン造りが盛んになっている、等の報道がありました。
この事実からも、ワイン造りと気温が非常に直接的な関係性を持っていることが分かるかと思います。
これまで、ワイン用ブドウの栽培が出来る地域は、
1.30度~50度線の間
2.20度~40度線の間
と言われてきました。
この範囲に入るのは、1なら南限が北アフリカのモロッコやアルジェリア、北限がドイツのライン地域やベルギー。
そして2に入るのはまさに南半球の生産国、チリ、アルゼンチン、豪州、NZ、南アフリカでした。
そして、この範囲を設定する判断基準となったのが『有効積算温度』という考え方です。
ブドウ栽培に適した年間の平均気温は10℃~20℃、
その中でも高品質なワインを産み出すエリアの平均気温は10℃~16℃くらいの範囲に入ります。
『有効積算温度』とは、ブドウの生育期間である4月1日~10月31日の期間中に、
ブドウ栽培に適する下限温度である「10℃」を超える日を抽出し、
それぞれの日の10℃を超えた分の温度を足し合わせる、という形で計算しています。
(例えば15℃の日だったら、10℃を超える5℃分だけを足していく、という計算方法です。)
ブドウ樹は地面の温度が10℃を超えたあたりから活動を活発にし、前回内容にあった光合成を始めます。
冬の期間中温度が低すぎるとブドウの根が枯死しますし、
逆に夏場が暑過ぎると植物としての生命活動に支障をきたし、
過熟によりブドウの糖度が上がり過ぎて酸を失い、品質面でバランスを損なう結果にも繋がってしまいます。
前述したブドウ栽培の可能な範囲内で、
最も有効積算温度が低い地域では約1,000℃、最も暑い地域で4,000℃と非常に幅広くなりますが、
いわゆる銘醸地と呼ばれる場所、
例えばシャンパーニュやブルゴーニュ、ボルドー、ローヌ北、イタリアのピエモンテ州などは、
だいたい1,500℃~2,000℃の範囲に入ります。
この範囲内がブドウ栽培~ワイン造りに最も恵まれた地域、というわけです。
現在は温暖化によりこの範囲が拡大し、
かつてはワイン用ブドウの栽培に適さない土地とされていた国が産地となり、
ギリギリで栽培出来る範囲だった国の品質が向上しているということです。
しかしその一方で、これまで伝統的に高品質なワインを産み出してきた地域の気温も上昇しています。
これまで繊細なバランスを持った上質なブドウを獲得できていた地域が、
気温上昇によりその品質を低下させてしまうケースも想定されます。
地球温暖化の進行により、
近い将来「ワイン銘醸地」は全く違うエリアに移動してしまうかもしれませんね・・。
それでは今回はこのへんで・・・
『有効積算温度』の考え方、是非覚えておいてくださいね。
次回はテロワール構成要素最後の一つ、「雨」についてのお話です。
そして最後に全体をまとめた『テロワール総論』的な内容で締めたいと思います。
今回の「メルマガセミナーに関連するワイン」。
以前、Firadis WINE CLUBのセミナーでも実施したことがあるのですが、
「南北シャルドネの同一ヴィンテージ飲み比べ」なんてどうでしょうか。
冷涼なブルゴーニュ地域(有効積算温度1,500℃前後)のシャルドネと、
灼熱のスペイン(有効積算温度3,500℃前後)のシャルドネ。
この2本を飲み比べれば、気温(その他の要素も勿論ありますが)がどのように影響するのか、
の違いがはっきりと分かるはずです。
<A.北の冷涼な地域のシャルドネ代表>
フランソワ・ダレン ブルゴーニュ・シャルドネ 2014年 item/44/
VS!!
<B.南の暑い地域のシャルドネ代表>
アナヨン・シャルドネ 2014年 item/61/
目隠しで、どっちがブルゴーニュでどっちがスペインか、なんて試してみるのも面白いですよ♪
是非、飲み比べにチャレンジしてみてください!!
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それでは、今回も長いワインコラムを最後までお読み頂きありがとうございました!
Firadis WINE CLUB 店長 五十嵐 祐介
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