【このワインについて】
フィラディスのワインをご紹介するこの仕事をする前から、私が大ファンである生産者です。この生産者の魅力としては、カジュアルな価格帯から素晴らしい品質を持っていることです。こちらのアンドローは最もカジュアルな価格帯のアイテムですが、どうしてこの価格帯でこんなにまとまっているんだろうって思ってしまうくらい、これは太鼓判というか、間違いなくお勧めできるワインだと思っています。

【テイスティングコメント】
第一印象は華やかです。注いだ瞬間から香りを感じられる驚きがあります。熟した黄桃、かりんシロップ、スイカズラ、マルメロなど。一般的にリースリングは柑橘の香りや酸の高さが際立ちますが、このギイ・ヴァッハのリースリングは完全にトロピカルフルーツを思わせる甘い香りというのが特徴的です。そこにリースリングの特徴的な香りであるヤマユリみたいな香りとか、オイルの香りもあって、非常に魅力的だと思います。後は種子系のスパイス、コリアンダーシード、ナツメグなどのそういう香り高い雰囲気もあります。この生産者はリースリングの良さを出すのがうまいです。リースリングの良さとは、骨太な酸味もありますが、やっぱりアロマティック品種ならではの、華やかさと味わいの丸みですね。リースリングって酸味が強くてスッキリっていう印象が強いですが、アルザスのグラン・クリュの畑で作ると、アルザス地方の40度を超える暑い夏、そうゆう気候を思わせるような厚みというのがしっかり存在しています。このリースリングもまさにこの厚みが感じられるワインです。

【おすすめの楽しみ方】
これは開けたてから芳香力のある華やかなワインなので、すぐに飲んで楽しめます。ソムリエのこだわりとしてはピンポイントで10度をお勧めしたいですが、ご家庭では冷蔵庫から出して、そのまま机に置いて、ぬるくなったなと思ったらまた冷蔵庫に戻す位で良いと思います。このまろやかさというのがすごく魅力だと思うので、キリキリに冷やしてしまうと、そのテクスチャーが失われてしまいますし、高いと高いで、アロマティック品種ってダレてしまいます。グラスについては、通常アロマティックの白品種は細いグラスで、シャルドネみたいに大ぶりのグラスに入れる必要がないって言われますがこちらは両方楽しめると思います。お勧めとしては丸みのあるグラスです。どのワインでもそうですが、丸みがなくて上にすーっと伸びてるグラスだと香りが抜けてしまいます。香りを楽しむという意味では少し丸みのあるグラスが良いと思います。ただあまりに大ぶりすぎると、香りが発散してしまうので、中ぶりぐらいが一番ベストなのかなと思います。