世界有数のシャンパン消費国としてのイタリア (営業 西崎 隆太)
7月5日付けの日本経済新聞で、世界のスパークリング・ワイン市場でイタリア産のプロセッコがシャンパーニュを超えて1位になったと報じられていました。それほど世界的に人気が高まりつつあるイタリアの代表的なスパークリング・ワインですが、3月のイタリア出張(ヴィニタリー訪問のため)の際に食事をしたリストランテで意外な出来事に遭遇しました。
まず種類豊富なシャンパンのリストに圧倒されました。大手メゾンだけでなくレコルタン・マニピュランの生産者にも注目している事が伺えるラインナップ。またシャンパンだけではなくブルゴーニュワインの取り扱いも非常に多く、著名生産者はほぼ全てと言ってよいほどイタリアワインと同様に豊富に揃えてありました。
この要因として、イタリアワインで補う事が出来ないカテゴリーがシャンパンとブルゴーニュであることが考えられます(ボルドーの位置づけとしてはトスカーナがあります)。特にシャンパンについてはイタリアでの需要の高さが際立っており、上述のリストランテだけではなく、しっかりとしたワインリストを持っているようなリストランテには豊富に取り揃えられていました。
イタリア人は元々“泡モノ”好きで有名で、プロセッコやフランチャコルタといった有名どころはもちろん、他の州でも多くのスパークリング・ワインが作られています。イタリアのレストランでは様々な産地のスパークリングを置いて地域性を色濃く出す事が可能ですし、イタリアワインの楽しさの一つにもなっています。しかし、シャンパンと比べると価格の差と同様、味わいの違いが歴然としてあるため、シャンパンを日常的に飲む文化が確立しているのです。
実際にシャンパンの輸出量で見ても、2013年度のイタリアへの年間輸出量は世界第7位で、20歳以上の1人当たり消費量では5位にランクインしています。自国で“泡モノ”が大量に生産・消費されているにも関わらず、これだけシャンパンの消費量が多いというのは驚くべきことですし、イタリアは世界でも有数のシャンパン消費国だと言えると思います。
一方、ブルゴーニュワインを豊富に取り扱うお店はまだそれほど多くはありませんが、一部の優れたソムリエやこだわりを持つお店が注目して使い始めているという印象を受けました。今後、シャンパンのように増えてくるかもしれません。
一昔前のイタリアンレストランではフランスワインを置く事さえはばかれる時代もありました。現在でも、地元意識が強く地域密着型(郷土料理)のレストランでは、地元のワインのみでワインリストを構成している所は数多く存在しますし(モンタルチーノ村ではモンタルチーノを中心にトスカーナ州のワインのみなど)、歴史的背景や国民性からくるそんな頑なな姿勢もイタリアの魅力です。しかし、さすが食とワインを貪欲に楽しむ国!今回の出来事に見られるように、自国に無いカテゴリーは需要に応じて積極的に取り入れ、新たなトレンドやオリジナリティを作り出していくのもイタリアのまた別の魅力だと感じました。
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