<フィラディス繁盛店インタビューNo.3>有限会社ガルス 附田眞武 代表

<フィラディス繁盛店インタビューNo.3>有限会社ガルス 附田眞武 代表

【フィラディス繁盛店インタビュー】 フィラディスの営業がお客様とお話しする中でよく聞かれるのが、「今どんな店が流行っているの?」という質問です。お客様が求める情報をご提供するのが私たちの仕事!・・・ということで、今消費者に支持されている繁盛店にインタビューを行い、フィラディスの視点で分析させていただきました。お役立ていただけますと幸いです。


ミシュランの星付きレストランも数多く存在する北の食都、札幌。食に対するこだわりの強いお客様が集まるこの地で、多様なジャンルのレストランを展開し、繁盛店を次々に生み出してきたのが有限会社ガルスの代表・附田眞武氏だ。

 

多彩な5店舗を展開

札幌の高級住宅地、円山に1店目となる「焼き鳥&ワイン シロ」をオープンさせたのが2004年。焼き鳥店で修業を積み、独立を考えていた職人との出会いがあり、彼をサポートする形で出店した。スタイリッシュな空間でこだわりの焼き鳥とワインを提供するというスタイルは、今でこそたくさんあるが、この当時はそう多くはなかったという。「シロ」の魅力は、美味しい焼き鳥はもちろんだが、何といってもヴィンテージワインまで豊富に揃ったワインリストと、“価格破壊”とも言うべきワインの価格にある。

翌年には、ススキノに「ワインレストラン BLANC」を開店するが、ここでも本格的かつ独創的な料理はもちろん、素晴らしいワインが手頃な価格で楽しめる。

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3店舗目には、1階がフレンチで2階がフレンチ焼き肉の「ル・クロ」をオープン。2013年にはシェフの交代に伴って、イタリアン「バル・クロ」に業態を変え、着飾ったイタリアンではなく本場スタイルのイタリア料理を提供している。

その後、4店舗目には中華料理「yinzuインズ」を、5店舗目には姉妹店という位置付けでベトナム料理「AGO-HIGE」を出店。どちらも修行を積んだ料理人を起用し、食材や調理法にこだわった美味しい料理とワインを楽しむお店として人気を得ている。

 

お店のコンセプト&ワイン

店舗毎のコンセプトを伺っていくと、どの店舗も共通して『女の子を口説ける店』であり『自分が行きたい店』であること、という答えが返ってきた。何よりも自分目線が大事で、価格も店の雰囲気も全て含めて行きたい、と思えることを大切にしている。ジャンルが多彩なのも、「自分が毎日色々なものを食べたいから、食べたい料理のお店を作っているんだよね。」と笑う。

これがワインについての話になると、一気に熱量が増す。全ての店舗のワインの仕入れは、附田氏が一人で担当する。「バル・クロ」の地下がワインセラーとなっており、全店舗分のワインを買い付け、仕分けして配送まで行っている。各店のスタッフから欲しいワインのタイプなどは聞く そうだが、ワインを中心にお店を展開している以上、ワインのラインナップがお店の生命線であり、他の人には任せられないと断言。もちろん、全店舗分を一気に仕入れることでスケールメリットも生まれ、交渉がしやすくなるという利点もある。

 

ワインを中心に店舗展開を行う理由

そもそも附田氏が飲食店をやろうと思ったきっかけは、ずばり「ワインにハマった」からだ。日本酒が大好きでのめり込むうちに、興味がワインにまで広がりコレクションするようになった。コレクションが数百本単位になってくると、自分自身では飲みきれないからいっそのことお店をやってしまうか!という軽いノリから始まっている。ヴィンテージワインを豊富に取り揃えるのも、附田氏自身がヴィンテージワイン好きで、彼女の誕生日に彼女の生まれ年のヴィンテージを開けるような店がやりたかったからだ。

もう1つワインを中心としたお店を展開するに至った理由がある。それは10年以上前の札幌のワイン事情が関係している。当時の札幌は、フレンチレストランだろうがイタリアンレストランだろうが、どんな店でも酒屋さんがつくったワインリストを置いていて、価格も一律だった。価格競争が無いため非常に高く、置いてあるワインも似たものばかりで、ヴィンテージワインも限られていた。

附田氏はそんな状況が嫌で、消費者目線で価格破壊を行い、どんなワイン好きも納得させる圧巻のワインリストを置いたのだ。1店舗目の「シロ」は、適正な価格という意味でのワインの安さとそのワインに合う焼き鳥で評判になった。フレンチではなく、焼き鳥店に充実したワインリストがあるというギャップもインパクトになったことだろう。2店舗目の「Blanc」は、ソペクサ主催の「ブルゴーニュワインリストコンテスト」で最優秀賞を受賞するほどのワインリストを置いている。その後の店舗でも、飲みたいと思えるような価格で提供される種類豊富なワイン+美味しい料理というのが、附田氏のスタイルになっている。

このスタイルでの成功は、約7,000円(「AGO-HIGE」以外の全店)という、札幌では非常に高い客単価の水準に表れている。ワインマニアの彼が行ったワインの価格破壊と独自のコレクションに美味しい料理が融合することで、お客様に高い満足度をもたらしているのだ。

 

“人”在りきの店づくり

通常、レストランを開業する際には、店をやろう!と決めてからスタッフを探す、あるいは料理人が自分の城を作ろうとして始めることが多いのではないだろうか。しかし附田氏は、全ての店舗でシェフやサービスが決まってから店づくりを考えている。全ては“人”在りきで、惚れ込んだ料理人やサービスがいなければ何も始まらない。

そして、料理やサービスは、惚れ込んだその“人”に全て任せてしまう。スタッフ教育も含めて全てお任せで、会議も一切行わないと徹底している。頭となるスタッフが良いサービスをしていれば、下のスタッフは自然と真似をするため、自分が惚れて一緒にやりたいと思った人に任せれば間違いがないそう。オーナーが必要以上に店づくりに関与しないことが、働くスタッフの満足感と自信にもつながっているのではないかと感じた。

最後に附田氏に若手の方々へのメッセージを聞いたところ、「結局は自分が行きたい店を作るしかないんだ。」と笑っていた。実際に附田氏の好きなものをとことんまで突き詰める探究心は凄い。ただ、この言葉だけだと自分中心に全てを進める人のようにも聞こえるが、附田氏がそれ以上に大切にしていることは“人”との繋がりだ。自分が惚れ込んだ人を見つけてから、その人を活かす箱を作る。根底にある信頼関係が店の精度を高めているのだと感じた。

 

★ 狩猟する自給自足のオーナー ★

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附田氏は、30歳から18年間狩猟を続けている。

飲食店をやるようになってからは仕入れという仕事になったが、その前からジビエを獲っては東京の一流レストランに送っていた。

猟を始めたきっかけは、ジビエってなんでこんなに高いの?と思ったから。今食べている鴨とその辺にたくさんいる北海道の野生の鴨と、何か違うのかをシェフに 聞いたところ、全く同じだという回答だった。それなら自分で獲って食べてやろう!と決意したという。全ては自身の『食べたい』という欲求から始まっている。

10月初めから1月末まで鴨やキジ、ハトなど鳥類、3月まではエゾ鹿、4月から山菜採り、5月初めから11月初めまではキノコ採りを行う。キノコは、モリーユからポルチーニ、椎茸、松茸、舞茸、タマゴダケ(イタリアではサラダなど生で食べる)、タモギタケなど種類が豊富。鮮度が命、採れたてが素晴らしく美味しい!と熱く語ってくれた。

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CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!