このボルドー赤…正直言いまして特に目立ったストーリーや背景は何もありません。先日ご案内した「ムートンとラトゥールに挟まれた畑」「20年熟成！」等、いわゆる「ネットで売れるキャッチーな要素」は一切ないワインです。オフィシャルサイトは一応ありますが、シンプルで最低限の情報しか出していないほど。(画像を見て戴くと2個ほど金色の丸いのが付いていますが…そこは敢えて無視します)

ではなぜこのワインが選ばれたかと言うと、決め手は「価格からは想像もできない上品で優美なバランス」でした。飲んで戴かないことにはなかなか伝わらないのが難点ですが、ワインをシンプルに味だけで選んで美味しいものをご提案しようとなると、そういうワインの方が明らかに多いんですよね。
だから、僕はこのワインに関してはただ「味の良さ」だけで推していきたいと思います。僕はFiradis WINE CLUBでご案内するワインは必ず3回以上テイスティングし、最後の1本は自宅で2日間に渡ってじっくりと検証する、という確認作業をしています。

『シャトー・ロラン 2015年』。初めてテイスティングした時に即「これは採用！」と一目惚れしたワインでしたが、2回目、3回目と重ねるごとにその真価が分かってきた気がします。無名で誰も知らないけど、ただただ、おいしい。そんなワインを沢山知っている人が、実は最も幸福なワイン好きであるということを、改めて気付かせてくれた1本です。
是非、皆さんもこの「ただ、おいしいボルドー」で、幸福なワイン時間を満喫してください。
ということで、僕が3回飲んで考えた、このワインのもっとおいしい楽しみ方、ご紹介させて戴きます！

【シャトー・ロラン オー・メドック クリュ・ブルジョワ 2015年を自宅でもっとおいしく楽しむには…？】
≪こんな香り･味わいのワインです≫：
赤系果実・黒系果実の「イメージ対比」がきれいに50:50で分かれている印象。香りの時点からバランス面で傑出したワインだろう、と予見させてくれました。赤系果実は完熟したあまおうイチゴのような実に濃厚なイメージ、黒はフレッシュなカシス。2015年という暖かな年でまだ若いこともあり、今の段階ではとにかく豊かな果実味が前面に出ている印象です。

飲み口はとにかく優しく優美、そして滑らか。メルロ＆カベルネほぼ半々のアッサンブラージュが、とても分かりやすく忠実に「フルーツ感」x「ボディ感」の均衡を保っています。ボルドーワインに「硬い」とか「がっしり」というイメージを持っている方がいたら、僕はこれを進めてその誤解を解きたい。そんな風に思わせてくれる1本でした。

≪このワインとのマリアージュ料理は？≫：
料理は少しソースが濃いめの肉料理が良いですね。シンプルに肉を焼いて、肉汁にこのワインを少し足して煮詰めたら、それが一番贅沢にマリアージュするソースだと思います。

≪良い状態で楽しむには、いつ抜栓する？≫：
開けたての状態から、比較的早くおいしくまろやかになっています。2015年という温暖なヴィンテージが、甘やかな果実の香りを初っ端からしっかり保証してくれます。時間が経つにつれて、甘みに旨みがじわじわと加わってくる印象。早めに開けられるようでしたら、1時間ほど前に開けておくとベターだと思います。
2日目もかなりいい感じです…是非、最初に開けた日は少しだけでも残しておいてみてください！

≪このワインがもっとおいしくなる温度設定≫：
少し冷やすべきタイプのボルドー。とても甘やかでゆったりとふくらみのある果実味が肝のワインですので、温度が高いとちょっと緩々過ぎるように感じると思います。
セラー保管だったら冷蔵庫で20分くらい、常温保存だったら飲む前30分冷蔵庫、または5分ほどアイスバケツで冷やしてから。

≪おすすめのワイングラス形状･サイズ≫：
ボルドーのクリュ・ブルジョワだから当然ボルドー型グラス(縦長、口細)…と思いつつ飲み比べてみると、意外なほどにブルゴーニュ型バルーングラスが豊かな果実味を素直に引き出してくれました。ご自宅にある、出来るだけ大きなワイングラスでお楽しみ戴ければ、どんなグラスでもとても美味しく楽しんで戴けるはずです。



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