いま狙うべきボルドーのオフヴィンテージはどれだ?確かめてみました! (営業 池松 絢子)

いま狙うべきボルドーのオフヴィンテージはどれだ?確かめてみました! (営業 池松 絢子)

突然ですが、昨今のボルドーの価格、やっぱり高いですよね。2000年のCh. Cos d’Estounelが今の卸値で、いくら位だと思われますか? 2万円オーバーです。高い。そんなにするの?という声が聞こえます。1994なら1万円ちょっと、2002、1998なら1万3千円弱と、ほとんど半額です。


いわゆるグレートヴィンテージがとにかく高い原因はご存知の通りいろいろありますが、それをここでいくら考えても解決はしません!いま私たちが考えるべきことは、このような状況の中で、どうやってお客様に楽しんで頂ける、価値あるワインを見つけ出して、おすすめできるかではないでしょうか。

その視点で見ると、いま狙うべきボルドーは、安心な王道“グレートヴィンテージ×有名シャトー”ではなく、少しマイナーなシャトーに目を向けることや、いわゆるオフヴィンテージと呼ばれるヴィンテージへの外しテクニックを使わずして見つけることはできません。では実際どのヴィンテージが狙い目なのか、フィラディスが徹底的に試飲実験を行いました!その結果をご報告致します。

 

オフヴィンテージ、それぞれの今

■ 果実味溢れる若さが魅力の2004 ■

一般的に“青さがある”というイメージの強い2004。「あれ?」と思う程、“青さ”という要素は感じられません。適度な熟成によって消えつつある要素なのでしょう。全体的に若干タンニンのごわつきがあるものの、しっかりと果実が熟すのを待てたシャトーやメルロ比率の高いシャトーが特にレベルが高く、あと少し置けばもっと飲み頃に近づくものもあれば、ちょうど最初の飲み頃に入ったと言えるものも。果実味がしっかりとあるということは素直な美味しさを感じる上で大切な要素。それを若さ故にわかりやすく実現しているのが今の2004のおすすめポイントです!

 

■ 控え目に美しいまとまりを見せる2002 ■

曇りがちで小雨のある冷夏となった2002。やや弱さや水っぽさを感じるものではありましたが、おそらく単体ではそこまで感じることはないレベル。秋の天候が良かった為か、収穫をしっかりと待てたカベルネソーヴィニョン主体のシャトーは小柄ながら美しいまとまりを見せてくれました。ふんわりと柔らかく上に持ちあがるような軽やかさも共通した特徴。

右岸は若干イメージよりも熟成が進んでいますので、早めに楽しまれることをおすすめします。

 

■ ボルドーのエレガントさを重視するなら2001 ■

固さがまずイメージされるタイトな2001の最大の特徴は酸にあります。極めて少なかった雨と低い気温から、そのまま冷涼さを感じる味わいになっていました。酸は本来のボルドー最大の魅力であるエレガントさを感じるのに不可欠な要素。特におすすめなのは左岸の安定感があるシャトーたち。そこそこ安く、熟成もまさにちょうど良いタイミングで、ボルドーにエレガントさを求める方には素晴らしい選択になると思います。

 

■ 熟成による甘みとこなれたタンニンがまさに飲み頃な 1999 ■

9 月がとにかく乾燥し、サンテミリオンが受けた雹害と 9 月末の大雨で、散々なイメージが強烈なヴィンテージ。アフターに少しドライさを感じるタンニンが特徴ですが、ここ数年でぐっと飲み頃に入った狙い目のタイミングです。難しいタンニンがようやくこなれて親しみやすい表情を見せてくれています。ジューシーに感じる熟成からくる甘さも心地よく、価格を見て弊社スタッフもみんな特にお買い得なヴィンテージとして納得でした。右岸より左岸の方が良いセレクトかもしれません。

 

■ とにかくメルロ比率が高いものを選べばOKな 1998 ■

8 月の熱波によってぶどうが受けたストレスで酸が弱く、タンニンがごわっと感じられてしまう 1998。豪雨がカベルネの収穫期に降ったことで果実が水膨れ、凝縮感に欠けてしまいました。その前に収穫を終えているメルロ主体の右岸にとってはグレートヴィンテージとして知られています。よって右岸については、もう少し置いて飲みたいですし、値段も安くないです。狙い目は左岸でメルロ比率の高いシャトー。その中でPichon Lalandeは試飲でも人気が高かったです。

 

■ 柔らかい熟成感が楽しめる 1997 ■

ずっと優れない天気に見舞われ、多湿で健全なぶどうが育ちにくかった 1997 は、 “特徴がなくとにかく安い”。大きなマイナス点がないともいえ、結果としてとても柔らかい質感でほっとできる味わいになっています。熟成が進み、まさにピーク。さすがに本当にもう今飲むべきタイミングに来ているようです。シャトーによる完成度の差が大きいので、試飲をした上で良いものが見つかればまだまだ低価格で熟成感が楽しめる、買うべきワインになるはずです。

 

■ 特徴的なタンニンでがっつりお肉が食べたくなる 1994 ■

夏の乾燥から来るタンニンの強さがアフターに残る 1994 ですが、それが熟成で落ち着いてきました。1997 のような年に比べ果実味が弱くない 1994 は枯れた印象が一切なく、芯のしっかり通った“使えるヴィンテージ”だと思います。更に安心なものを選ぶなら、9 月に続けて降った大雨の影響を受けなかったメルロ比率の高いシャトーをおすすめします。

 

■ 甘みをじんわり感じる狙い目のナンバーワン 1993 ■

今回の実験で私たちに一番の驚きを与えてくれたのがこの 1993 でした!とにかく雨が良く降り、多くの方に避けられてきたヴィンテージ。酸がしっかりあるのですが、それが熟成による甘みをきれいに引き出してくれ、伸びやかで立体的な味わいになっています。水膨れから来る若干の薄さはありますが、そのやわらかさやおおらかさは良い点とも思える程。香りも華やかさがあり、あまりシリアスではない明るい印象を受けます。もうあまり出てくることがないのが残念ですが、あればぜひ狙っていきたいお勧め度No.1 のヴィンテージです。

 

まとめ①やっぱり格付けは侮れない

ヴィンテージを越えて、恐るべき安定感を見せたシャトーが、Leoville Bartonでした。

またそのほかにもどのヴィンテージでも高評価を得るのがMontroseやPichon Lalande、 Cos d’Estounel、少しマイナーなDufort Vivensなども含めた 2 級の面々。160 年近く前でいくら古いとはいえ、長きに渡って定着してきた格付けはやはり侮れません。テロワールも技術もやはり優れているということなのでしょう。

これを考えると、ひとつ明確なポイントが「安く出てきたオフヴィンテージの格付 2 級は絶対に買い」ではないでしょうか。これは新たな王道と言っても過言ではないかもしれません!

それともう一つ。いわゆる果実味重視のモダンな造りのシャトーのオフヴィンテージはひときわ難しさが増すようです。どうしてもイメージからして味わいの密度の低さや要素の弱さが気になってしまうのです。その点でも古くから評価が確立しているシャトーは、違います。

 

まとめ② 繊細な味わいも楽しめる日本人で良かった!

オフヴィンテージの大部分が雨の多さから来る味わいの密度不足や欧米人の味覚から見た弱さを持っていますので、いわゆるオフヴィンテージを楽しむためのひとつの要素に、エレガントさや繊細さに美点を見出せるかということがあります。その点についてはもう日本人の得意分野ではないでしょうか。

私たち日本人は、世界のワイン愛好家の中でまだ低価格でボルドーを楽しめる、幸せな人たちだということができますね!日本人で良かった!

 

まとめ③タイミングと使い方次第で、オフヴィンテージは活かせる!

今回の実験を通してはっきりと分かったこととして、飲むタイミングを正しく見極め、飲むシチュエーションや合わせる料理を考えれば、活かせないヴィンテージはないということです。

繰り返しにはなりますが、1994 や 1999 のようなタンニンに特徴のあるヴィンテージはそれぞれの個性に合ったお肉料理と合わせることで素晴らしいマリアージュになりますし、2002 や 1997 のようなやや凝縮感に欠けると思われるヴィンテージは、単体で楽しみやすいですし、あまり強いワインが得意ではない方には親しみやすい味わいになります。

ボルドーの価格を巡る苦悩は絶えませんが、それに負けず今回の試飲の結果を活かして、またこれからも積極的に試飲を重ねて、フィラディスではお客様目線で皆様のお役に立つボルドーワインを探してご紹介していきますので、ぜひご期待下さい!

 

試飲ワイン一覧

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CTA-IMAGE ワイン通販Firadis WINE CLUBは、全国のレストランやワインショップを顧客とするワイン専門商社株式会社フィラディスによるワイン直販ショップです。 これまで日本国内10,000件を超える飲食店様・販売店様にワインをお届けして参りました。 主なお取引先は洋風専門料理業態のお店様で、フランス料理店2,000店以上、イタリア料理店約1,800店と、ワインを数多く取り扱うお店様からの強い信頼を誇っています。 ミシュラン3つ星・2つ星を獲得されているレストラン様のなんと70%以上がフィラディスからのワイン仕入れご実績があり、その品質の高さはプロフェッショナルソムリエからもお墨付きを戴いています。 是非、プロ品質のワインをご自宅でお手軽にお楽しみください!