【このワインについて】
ガストン・コラール。所有畑はグラン・クリュであるブジー村にすべて所有する、当店随一の人気シャンパーニュ生産者です。ブジーというグラン・クリュは、南向き斜面で昔から赤ワインが造れたというくらい、日照量が多く熱がこもり、力強いピノ・ノワールが生産されます。それはダイレクトにシャンパーニュのスタイルにも表れていて、ブジーのピノ・ノワールを使ったシャンパーニュは基本しっかりしている。いわゆるリッチなタイプが多いです。そんなブジー村のピノ・ノワールを100%使用した、珍しくかつ贅沢なロゼ・シャンパーニュです。

ロゼのシャンパーニュのなかでも全体でも1%に満たないのが、マセラシオン・ロゼです。しかもピノ・ノワール100%というのはとても珍しいです。
マセラシオン・ロゼは果皮と一緒に漬け込んで発酵させるというロゼのスタイルです。発酵を最初24時間一緒にして、そのあとは果皮を分離させて果汁だけで発酵させていきます。いわゆるセニエとも言いますが、あくまでセニエ方式のロゼは力強い赤ワインを産み出す過程でその副産物としてできるものをさすんですが、シャンパーニュの場合は別に赤を作っていないので、あくまでマセラシオン・ロゼと呼びます。

【テイスティングコメント】
色合いですけど、すごい濃いですよね。俗にいうウイユ・ド・ペルドリ色。ヤマウズラの真っ赤な目の周りを連想させるんで、フランス人はウイユ・ド・ペルドリ色って言ったりするんですけど、深紅のルビーのような色合いをしております。

香りは独特です。マセラシオンで醸して漬け込んでいる分、果皮からの赤系果実のフレーバーがしっかりするんですけど、クランチーなクランベリー、フレッシュなサクランボといったフレッシュでパリッとした皮をもったフルーツを連想させます。お花の香りもしっかりあって。バラ、ローズマリー。非常に華やかで特徴的です。赤系フルーツを持っていると、トーストの香りは少し感じづらいんですが、ほのかに感じる少し樹皮っぽいような白檀を連想させる香りがあります。こういった香りがマセラシオンロゼらしいシャンパンなのかなと思います。非常にスモーキーといってもよいと思います。

口に含むと瑞々しい果実が爆発します。けっこうすごいですね。クランベリー、サクランボ、他にも酸を連想させるルヴァーブといったフレーヴァーが口に含んだ瞬間に爆発します。非常にユニークなロゼシャンパーニュといえます。漬け込んでいる分、タンニンが少し出るので若干ビターなタッチもあり、これが甘いフルーツの印象と見事にマッチしています。

マセラシオン・ロゼはどれを飲んでもそうなんですが、泡は荒いです。これはもともとタンニン、渋みの成分は泡の生成を阻害する動きがあって、だからどうしてもマセラシオン・ロゼと言うのは、荒くなってしまいます。この荒さがユニークさをもたらしますし、絶対にシャンパーニュでは合わないという料理に意外とあったりするのが魅力です！例えば辛い料理。辛みは味覚と言うより刺激なので、刺激と泡という刺激をぶつけることによってカウンターバランスをとるというペアリングというのが存在します。韓国系やチリ系、メキシカンなどのタコスとの相性が良いというのが、このマセラシオン・ロゼです。難しく考えずに気軽に食事に持っていける、ガストロノミックなシャンパーニュ。ファインダイニング等で合わせるのであれば、赤身の魚。マグロも合いますけど、藁焼きにしたカツオ。牛のカルパッチョ。甘い醤油につけた馬刺しとも合うっていうのが面白いところです。普段シャンパーニュでは可能ではないペアリングを実現させるこのマセラシオン・ロゼは、ワイン会に持っていくときっと喜ばれると思いますよ！

【おすすめの楽しみ方】
グラスは赤ワインと同じ扱いでよいと思います。中ぶりの大きめのボウルをもったグラスがおすすめです。ただシャンパーニュですので、温度を上げすぎると泡が抜けますしバランスが崩れる部分があるので、大ぶりはあまりおすすめしません。泡をしっかりバランスを保つためには中ぶり位のほうが温度も上がりづらくよいかと思います。最初の温度自体も高すぎず、タンニンが少し含まれるのでビターさと酸味が目立たないように（冷やすとビターと酸味が目立つのがワインなので）、ふくよかさを楽しんでいただくには10-12度くらいがおすすめ。または、14-15度近くも試してみると、マセラシオンロゼの面白さも見えてくるかと思います。最初は普通のシャンパンとして飲んでいただいて、後からは温度を気にしないで、中ぶりのグラスで飲んでいただくのも良いです。ただこのおすすめの楽しみ方はあくまでセオリーです。特にこういった特殊なワインについて、ご自身でぜひいろいろ実験していただくととても面白いと思います。