アルザスワインは日本人の「味覚の琴線」に触れるワイン。それは、
1:華やかなのに決して強くは主張しない香り
2:端正で綺麗、上品な味わい
3:ほのかな甘さがある飲み口の良さ
などなど、日本人の価値観とも共通するような“美学”がそこに存在しているからだと思います。日本市場においてワインが一気に一般家庭に普及して楽しまれるようになったのは70年代、ドイツ産の白ワインからでした。残念ながらその後ドイツワインは人気の面で大分落ち込んでしまいましたが、味わい面で非常に近いものを持つアルザスワインが確実に日本人の「エレガントな白ワインを好む文化」を支えて来たと思います。ドイツワイン全盛の頃からワインを飲み続けてきたベテランのワインラヴァーは、皆さまアルザスワインに対しての親愛の情が深いですよね。
個人的には、例えばカリフォルニアの濃厚パワフルなシャルドネに「埋められない距離感」を感じることがあっても、アルザスワインにはそういった『心理的な距離』を感じることが決してありません。私が私がと声高に主張することはなくとも、態度と結果で示してくれるような誠実さと実直さ。控え目な中に自然と品の良さを感じさせてしまう、たおやかな白ワインがこの『エミール・ベイエ コート・デギスハイム』です。ニューワールド産のボリューム感・迫力重視の白ワインにはちょっと疲れてしまう方、このワインの優しさに癒されてください。



※関連のお薦めワインには、同じくフランス産の華やかさがある辛口白ワインを6本選びました。品のあるワインがお好きな方に、是非とも飲んで戴きたいワインばかりです！


≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタビュー！≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』
エミール・ベイエ オーナー・醸造家のクリスチャン・ベイエさん

Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか？
⇒まだ小さな子供の頃、ブドウ畑や蔵の中で父の仕事を手伝っていた時、ワイン造りという仕事と一生の恋に落ちたんだ。そして今…その時よりももっともっと大きな情熱を持っているよ。

Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は？
⇒それは勿論、瓶詰めをして熟成したワインをいよいよセラーの外に出すときだよ。丹精込めて作ったワインが、多くのワイン愛好家や友人たちに共有してもらえるようになる。毎年その時のことを楽しみにワインを造っているんだ！

Q3:その反対に、一番辛い(辛かった・困難だった)ときは？
⇒やはり、毎年一番適切なタイミングでブドウを収穫できるように神経を研ぎ澄ますこと。収穫が近付くと、本当に1日たりとも気を抜けない…毎年がチャレンジのようなものだ。

Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか？
⇒我々は今、オーガニックとビオディナミと2つの農法で栽培をしていて、やはりピュアで良質なブドウを造ることから全てが始まる、という考え方だね。そして、我々は自然酵母を使用しているので、やはり発酵のプロセスでのワインの状態を正確に把握することも非常に重要だ。

Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは？
⇒まずは、香りや味わいなどの要素が多く複雑であること。それでいてバランスが良く、ワインが生まれたその土地の個性がしっかり感じられることだ。

Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら？
⇒1921ヴィンテージのアルザス・リースリング。ラベルが殆ど剥がれてしまっていてどこの生産者のものか分からなかったのだけど、とにかく凄いワインだった。

Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒リースリングのグラン・クリュに、マトウダイのグリル。素晴らしいペアリングだった。

Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか？
⇒敢えてアルザスとは全く異なるスタイルのワインを造ってみたい。例えば、イタリアのピエモンテ…そう、「バローロ」だね！

Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒私たちのいる「エギスハイム」の自然環境に強く敬意を払いつつ、テロワールを精緻に表現すること。

Q10:最後に…日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを！
⇒私たちのワインがあなたの感情に強く響き、喜びの体験になりますように！！