カベルネ・フラン最上の地において、「シノンにおける最高の生産者」としてゆるぎない地位を築いたシャルル・ジョゲ。鋭い洞察力と、既存にとらわれない行動力により、区画ごとの独自のテロワールを反映し、あるべきシノンの姿を描いている。
ロワールを代表する赤ワインの産地、シノンはトゥーレーヌ地区西部に位置する。アペラシオンはロワール河の支流となるヴィエンヌ川の両岸にある19のコミューンに広がり、その面積は約2300haにも及ぶ。この規模からも分かる通り、同一アペラシオン内でも土壌や地勢が多彩で、様々なテロワールを抱えている。シャルル・ジョゲは、各畑が持つこの独自性にいち早く焦点をあてたワインを手掛け、一代でシノンのトップ生産者にのぼりつめた。16世紀に活躍したシノン近郊出身の作家、フランソワ・ラブレーが微笑むラベルが印象的な生産者だ。
シャルルは元々、パリで絵画と彫刻を学ぶ芸術家志望の若者だったが、父親の死を機にシノンのアペラシオンにある畑を継ぎ、1957年に自身の名を冠したドメーヌを設立した。先代の頃は収量を多くしてブドウをネゴシアンに売っていたが、彼は少量の良質なワインを造るべく畑仕事を始めた。代々受け継がれた畑を知るにつれ、そのポテンシャルを確信した彼は、自身のワイン造りのノウハウを向上させたいと強く願うようになった。その際、栽培・醸造の様々な面で手を差し伸べてくれたのが、高名なエノロジストであるジャック・ピュイゼ博士や同じシノンの生産者たち。彼らのサポートを得て、シャルルは1960年代から1970年代にかけてシノン最上の畑と名高いクロ・デュ・シェーヌ・ヴェールをはじめ、複数の単一畑に植樹を行った。また、ピュイゼ博士らと協力して1975年にピジャージュを行うためのステンレスタンクを初めて開発し、収穫でも、ブドウをつぶさないように容量20kgのカゴを用いるようになった。加えて、シャルルには乏しいワイン造りの経験を補って余りある鋭い洞察力と既存の体制にとらわれない行動力があった。ドメーヌ設立直後から、ブドウは何としても区画ごとに収穫、醸造、瓶詰することをワイン造りの信条とし、それを実践した。異なる区画からのブドウはそれぞれ独自のテロワールを反映しており、また樹齢の違いも個性をもたらすと考えていたためである。彼はこの考えをブルゴーニュの生産者から得たが、多くの生産者が様々な区画からのワインをブレンドしていた当時のロワールでは斬新だった。
ロバート・パーカーも「シノン最上」と認め、このアペラシオン最高の生産者として揺るぎない地位を築いた彼だが、ドメーヌ設立からちょうど40年目となる1997年に引退を表明した。若かりし頃の夢であった芸術の世界に戻るためである。しかし、1980年代から来るべき引退を考えていたシャルルは、自らが構築したワイン造りを後世に伝えるため、盤石の態勢を敷いていた。1985年から経営のパートナーとしてドメーヌに参画したジャック・ジュネが新たなオーナーとなり、栽培・醸造はシャルルが右腕と見込んだミシェル・ピナールと、シャルルの下でワイン造りを学んだ経験豊かなチームが引き継いだ。2006年には、ケヴィン・フォンテーヌが栽培・醸造責任者に就任し、設立者の意思を受け継ぐチームの一員として、現在のドメーヌの指揮を執っている。
区画ごとの個性を表現するため、昔から除草剤は使っておらず、畑の土を耕し、畝と畝の間は自然の緑で覆っている。2008年からはビオロジックの手法を導入しており、ブドウ栽培は病害虫の防除を基本とする。畑の健全な環境を保つことを最優先に、土中に成分が残留しない調剤のみを使用。健全性と同じくブドウの凝縮度も不可欠の要素のため、収量制限も行う。収穫は各区画の熟度を綿密に調査した上で開始。総勢60名の収穫チームが完璧に熟した健全なブドウのみを摘み取り、その後セラーでも選果台を用いてブドウを選別している。醸造・熟成はもちろん区画ごとに行い、キュヴェによりステンレスタンクや木製の発酵槽、バリックを使い分ける。
シノンといえば、収量の多い未熟なカベルネ・フランからくる青臭さが敬遠されるが、シャルル・ジョゲのワインにはそのようなネガティブな要素は皆無だ。このドメーヌでは、赤系果実がのびのびと表現され、各畑の違いを反映しつつ、緻密で気品ある本来あるべきシノンの姿が丹念に描かれている。ベーシックなワインですら、高いクオリティを誇る。シノンという産地を知る上で、必ず飲むべき造り手である。
≪ひとりのワイン職人の頭の中を覗く一問一答インタビュー!≫
『ワイン職人に聞く、10の質問』
シャルル・ジョゲの醸造家 アンヌ・シャルロット・ジュネさん
Q1:ワイン造りを一生の仕事にしよう、と決意したきっかけは何ですか?
⇒私が6歳の時に両親がワイン造りの仕事に携わるようになって、それ以来ずっとこのシノンで育ってきた。(続きは、ワインのページで!)だから、ワイン造りという仕事がどれだけ素晴らしくて価値あるものか、子供の頃から自然と刷り込まれていたんだと思う。そして…私はフランスのワインや食文化の歴史を本当に愛し、誇りに思っていて、人生をそれに捧げよう、と決心したの。
Q2:これまでワインを造ってきて、一番嬉しかった瞬間は?
⇒私自身が手掛けた最初のヴィンテージの収穫、そしてそのブドウのジュースをはじめて口にした時。毎年の収穫は勿論素晴らしい瞬間だけど、同時にブドウ樹が年を経る毎にフィネスや表現力を増していくことは、長年かけて取り組み見続けるワイン造りのような仕事では最大の喜びだと思う。
Q3:その反対に、一番辛い(辛かった)ときは?
⇒どうにもならない悪天候の時…霜や雹、そして嵐。1年間かけて育ててきたブドウが、たった数時間で消えてしまうのを見るのは、本当に辛いこと。
Q4:ワイン造りで最も「決め手になる」のは、どの工程だと思いますか?
⇒90%は、収穫されたブドウの品質。畑での努力や工夫は必ず良い結果に繋がると思う。私たちはチーム全員で細かく注意深くブドウの状態をモニタリングしていて、少しでも長い時間を畑での仕事に費やすことで、素晴らしい状態の果実を手に入れることが出来ていると思う。
その後の醸造プロセスでは、テロワールの個性やその年の気候を尊重して、出来るだけ余計な手を加えないようにしている。過剰なマセラシオンや樽熟成は、ワインをアンバランスにするだけだから。ワイン造りで人間が完璧に管理すべきだと思うのは、衛生面だけね。
Q5:あなたにとっての「理想のワイン」とは?
⇒バランス、エレガンス、そしてフィネス。テロワールやその年の気候が正しく映し出されていることも大切。
そして何より、味わいがジューシィで、長い余韻の中にもフレッシュさが感じられるワイン。
Q6:今までに飲んだ中で最高のワインを1本だけ選ぶとしたら?
⇒たくさんのワインを、色々な機会に楽しんできたから、一つを選ぶのは本当に難しい!私は今も新しいヴィンテージの新しいストーリーに出会い続けているから。でも、自分の好みの産地なら言えるかな…それはブルゴーニュと、バローロ。ロマネ・コンティを初めて飲んだ時は、本当に息を飲む素晴らしさだった!
Q7:自分のワインと料理、これまでに一番マリアージュしたと思った組み合わせを教えてください。
⇒ちょうどよく熟成した豚肉をハーブやスパイスでシンプルに調理して、きのこを添えたもの。シノンと素晴らしい相性で楽しんで戴けるはず!Q8:もしあなたが他の国・地域でワインを造れるとしたら、どこで造ってみたいですか?
⇒うーん、全く違う環境でワイン造りをしてみたいから…例えば地球の反対側みたいなところ、そう、アルゼンチンかしら?
Q9:あなたの「ワイン造り哲学」を、一言で表現してください。
⇒常にブドウ畑の近くにいて、母なる自然の声に耳を傾け続けること。その声をしっかりと聞いていれば、土壌と気候がワインに正しいバランスを与えてくれる。そして、それぞれのテロワールが私のワインに最良のアウトプットとして表現されるの。
Q10:最後に…日本にいるあなたのワインのファンに、メッセージを!
⇒カベルネ・フランは、栽培された地域や土壌毎に驚くほどの多様性を魅せてくれる品種。味わいは深く豊か、ストラクチュアがしっかりしていて、飲みやすく軽やかなワインから長期熟成できるワインまで色々造ることができる。本当に大きな可能性を持った、いつでもどんな時でも楽しめるワインです。皆さんがシノンを好きになってくれて、いつか美しいロワール渓谷を訪れてくださることを、心から願っています!
味わいでセレクトされたフィラディスのワインなら、ワインにちょっとうるさいあの人も笑顔に!ギフトのご指定はご注文画面で受け付けております。
→紙箱、桐箱をご注文の方は無料の簡易のしを追加することができます。
→ギフトボックス1本用がぴったり入るサイズの手提げ袋です。
→お客様ご自身で簡単にお包みいただけるラッピングキットです。ご希望の方にご注文本数分、無料でおつけします。
ご購入商品へのレヴュー投稿で、100円分ポイントをプレゼント!
シャルル・ジョゲ シノン レ・プティット・ロシュ(仏ロワール産赤750ml)
カベルネフラン単体は初
カベルネ・ソーヴィニヨンの親だけあってよく似てるが子よりは軽やかなのかな
赤系フルーツと土の印象
多分平気な人にはいいワインなんだろうが、ちょいと苦手なタイプ
0
いいね
久々のカベルネ・フラン100。ブルゴーニュを飲まない我が家では思い出したころに飲みたくなる種です。メルカベ主体に比べて軽やかでエレガントさがあるもののピノ・ノワールとは全く違う香と味が期待通りでした。
ステンレスのおかげかピュアさがとても感じられ、果実味と酸味も良い塩梅でした。
**
2日目に☆4から3に変更。思いの外萎んでしまって少し残念でした。
0
いいね
鮮やかな赤紫~ルビー色。赤いベリーの後にコショウが香る。酸味とタンニンはまろやかで、一瞬ミントや青い葉っぱも感じられた。2日目は果実味がより深く、土っぽさも感じられてブルピノを感じさせる。カベルネ・フランの特徴なのかはわかりませんが、果実味豊かで飲みやすく美味しいワインでした。
0
いいね
香りのエレガントさ、味の奥行き。
とっても好みでした。
ワイン単体ですごく美味しいですが、お料理にも合わせやすいです。
ハイカカオのショコラテリーヌや濃厚なチーズケーキとも相性抜群でした。
リピートします!
1
いいね
カベルネ・フランの果実味と酸味のバランスがとても取れていて、大満足。
数あるシノンのワインを飲んできましたがトップレベルの造り手さんです。
他の※クロ・デュ・シェーヌ・ヴェール※レ・ヴァレンヌ・デュ・グラン・クロなど
セラーに入れてありますのでとても楽しみです。
0
いいね
飲んだときの私のコンディションに問題があったのかもしれませんが、CLUB30で扱われている同じ生産者さんの入門クラスのものと比べて、それほど大きな美点は感じられなかったような気がいたします。
0
いいね
レヴューを投稿するには、ログイン or 新規会員登録が必要です。
戻る
戻る
・税抜1万円以上、または商品6点以上のご注文は、送料無料です。
・セット商品、送料無料商品を含むご注文は、送料無料です。
【クール便:税込330円】
ご希望に応じて購入時にご指定いただけます。送料無料の商品もクール便の追加料金は有料です。明細上は「送料」として計上されますので、予めご了承ください。
※夏季はワインの品質を保つため、全便クール便となります。キャンペーン等の特例を除き、全ての配送でクール便料金を申し受けます。期間は6月上旬~9月末を目安としておりますが気温状況などにより多少前後致します。ご了承の上でご注文をお願い致します。
※一部離島へのお届けで追加料金を申し受ける場合がございます。ご注文後、当店よりご連絡を差し上げます。
戻る
Miho Kawakami
公式サイト: MIHO KAWAKAMI 川上ミホ
料理家。中目黒「5-quinto」オーナーシェフ/ソムリエ。2006年に日本ソムリエ協会認定ソムリエ資格取得、
2008年にイタリアにてイタリアオリーブオイルソムリエ資格取得。ワインバーやレストランでのソムリエ、
料理人を経て独立。書籍、雑誌などメディアでのフードスタイリング、企業の商品開発、
レストランプロデュースなど活動は多岐に渡る。
戻る
公式サイト: CONDIMENT inc.
素材の持ち味を生かしたオリジナリティあふれる家庭料理と、器のスタイリングが評判の料理家・フードスタイリスト。
2歳の娘と夫の3人暮らし。『STORY』連載「私の『いつもの料理』はまだまだ伸びしろがある!」ではレシピを提案。
戻る
戻る
お電話1本ですぐご注文!
通販専用フリーダイヤル
受付 / 10:00-17:00 (平日)
※お支払いは現金代引きのみ
※一般のお客様専用窓口です